マニアック評価vol219
2013年9月25日、新型ゴルフGTIが発表されたが、ひと足先にメディア向け試乗会があり、富士スピードウエイのショートコースを走行してみた。さっそくレポートをしよう。
■試乗レポート
今回は限られたコースでのごく短時間のテストドライブで、その範囲内での試乗レポートだが、新型GTIのステアリングを握って見ると、まず最初に軽快さ、俊敏さが実感できる。従来のゴルフ6 GTIの走りのしっとりとした質感に比べ、軽快さ、ボディの軽さ感が際立っているのだ。ボディ、ホイールベースは少し大きくなったが、イメージ的にはむしろ小型化したかという印象だ。
しかし、その一方で路面とのコンタクト感、路面の凹凸のいなし具合などは明らかに向上しており、乗り心地も高められている。軽快さとこの滑らかな乗り心地のフィーリングの組み合わせは今までになかった不思議な感覚だ。
エンジンの力強さ、トルク感は今までより明らかに向上しており、さらにアクセルペダルを踏んだ時のエンジンサウンドも従来より強調されている。サウンドに関して現在のスポーツモデルは抑制傾向にあるが、新型GTIはそうでもないらしい。
動力性能は、ワインディングでも高速道路でも十分なパフォーマンスで、恐らくアウトバーンでもよほど高価なプレミアム高性能車以外ならこのGTIが主役になることができるだろう。
スポーツ走行では、滑りやすい路面でもステアリングを切り込んだだけぐいぐい曲がり、大出力のFFモデルにもかかわらずアンダーステアもトランクションの低下の気配も見せない。このあたりはシャシー性能の高さだけでなく、シャシー電子制御技術の洗練具合もここまできたかと感じさせられる。
インテリアのディテールは標準ゴルフと比べて明らかに質感が高く、プレミアムクラスのクルマと遜色ない感じだ。ダークなインテリアの赤が多用されているのがゴルフGTIならではといえる。メーターパネルは、エンジン始動時の演出があるとはいえ、かなり保守的で凡庸なデザインだと感じた。
全体的に見ると、GTIとして変わっていない部分と、MQBにより新たなクルマ造りから生じたフィーリングという二つの顔が見える気がする。動力性能に関しては一段と向上していることは間違いないが、この新しいGTIを、旧来のGTIオーナーはどのように感じるのだろうか。