【フォルクスワーゲン】ゴルフGTIの伝統を守りつつ革新的技術を投入


2013年9月25日、新型ゴルフGTIが発表された。新型ゴルフ7をベースにしたスポーツモデルで、当然ながら「GTI」のロゴ、クルマの内外に採用されている赤色のカラーアクセント、タータンチェックのシート表皮などGTIの伝統を受け継いでいる。一方で、MQBモジュラー・コンセプトによる軽量化、新設計されたエンジンなど新たなテクノロジーも投入されたのが新型ゴルフ7GTIだ。

■新型ゴルフGTIの概要

ボディは、ゴルフ6 GTIに比べホイールベースが60mm延長され、2635mmと引き伸ばされ全長も65mm延ばされている。その一方でフロント・オーバーハングは12mm短縮されている。プロポーションは、Aピラーが後退し、キャビン全体がバックワードし、さらに全高が10mm低くなり1450mmに。全幅は10mm拡大されて1800mmとなり、従来モデルよりロー&ワイドな印象を受ける。なおMQBボディにより、車両重量は日本仕様で従来より10kg軽量化され、空力性能も改善されている。

GTIとしてのデザインは、フロントグリル下部の赤のストライプが左右のヘッドライトまで延ばされ、フロント両サイドの3本の黒いエアロフィン、スポイラー下側のスプリッターを備えるなど、フロントマスク全体の形もこれまでよりGTIとしての特徴付けを明確にしている。リヤも大型のスポイラー、大径エキゾーストパイプを採用。17インチホイールもGTI専用デザインで、オプションとして18、19インチが設定されている。

インテリアでは、フロントのシート位置が従来より20mm後退し、またペダル配置もアクセルペダルとブレーキペダルの間隔が16mm広げられた。これらはMQBボディを採用したおかげだ。またシフトレバー位置も少し高められている。

シート生地は、例によってタータンチェックが採用されているが、ゴルフ6では「ジャッキー」と名付けられていたのに対し、今回は「クラーク」と呼ばれる。これはタータン柄の故郷、スコットランドに対する敬意を示しているのだろう。そしてジャッキー・イクス、ジム・クラークにも。もちろんシート、ステアリングホイール、ギヤセレクター、などはすべて赤のステッチが使用されている。シートは手動ランバーサポート調整、高さ調整ができ、左右方向のホールド性も優れたスポーツシートだ。メーターパネルのデザインもGTI専用で、エンジン始動時には指針が時計回りに一杯まで跳ね上がる演出を採用。またインテリアは赤の間接照明も採用されており、夜間にはレッド一色でよりスポーツイメージが強まる。

センターディスプレイなどは標準ゴルフと同じ装備だが、周囲のパネルの仕上げなどはより高級感がある。またデュアルゾーン・エアコンは標準装備だ。パーキングブレーキは電子制御・電動パーキングスイッチ式。インテリアのスペースは標準ゴルフと共通で、スポーツモデルとはいえ高いユーティリティを備えている。

第3世代のEA888型2.0TSIエンジン。デュアルインジェクター、可変バルブタイミング&リフト機構を採用

搭載されるエンジンは第3世代のEA888型TSI、2.0L・4気筒DOHC、可変バルブタイミング&排気バルブ可変リフト機構を持つエンジンだ。シリンダーヘッドから内部パーツまで新設計され、ユーロ6適合となっている。排気ポートと水冷EGRシステムがシリンダーヘッドと一体型で、ターボも排気マニホールド一体式になっている。またアウディ系の技術であるポート噴射/シリンダー直噴両用のデュアル・インジェクターを採用してるのも特徴だ。大出力を狙うため吸気ポート径を拡大し、その一方で低負荷時にはポート噴射により生じるタンブル流を利用して燃焼速度を高めている。

排気カムのリフトを2段階切り替えシステムは、ターボへの排気ガス流速を負荷に合わせて切り替える役割を持っている。エンジン内部のフリクションの低減と冷間始動後のウォームアップを早めるために電子制御冷却システムを採用し、完全に冷却水を運転状況に合わせてコントロールしている新たな技術だ。エンジンの軽量化も追求され、シリンダーブロックの肉厚はわずか3mm。その他にバランスシャフト、クランクシャフトの軽量化、樹脂製オイルパンなどが採用されている。

この新型エンジンは220ps/350Nmと従来型を上回る出力を引き出す一方、スタート&ストップなども採用しJC08モード燃費は従来の13.0km/Lから15.9km/Lと18%も改善され、高出力・高効率になっている。

組み合わされるトランスミッションは従来通り湿式6速DSGだ。新型GTIの動力性能は0-100km/h加速が6.6 秒、最高速は246km/hまで伸びる。なお、ヨーロッパで設定されている230psの「パフォーマンスパッケージ」は日本には導入されない。

シャシーはスポーツ・サスペンションを備え、標準ゴルフに比べて10mローダウンされているのは従来通りだ。フロントはストラット式、リヤはモジュラー・パフォーマンスサスペンション、つまり4リンク式で、いずれも横剛性の向上と軽量化が図られている。フロントには「XDS+」が装備され、電子制御デフロック+ブレーキトルクベクタリングとして機能し、コーナリング中に内輪の空転を防ぎトラクションを高めるとともにアンダーステアを抑制する。サスペンションのセッティングは、従来よりさらに乗り心地を向上させ、路面の突起乗り越えなどのハーシュネスの入力を緩和し、マイルドになっている。

電動パワーステアリングは、今回からプログレッシブ・ステアリングを採用した。小舵角では穏やかに、大舵角ではクイックになるラック可変ギヤ比とし、ステアリングのロックtoロックは標準モデルの2.75回転から2.1回転になっている。またESCはスポーツモード付きになり、ESCスイッチを1回押すとトラクションコントロールがオフになり、3秒以上の長押しでESCスポーツに切り替わり、スポーツ走行でのESC効果が緩やかになる。またESCのオン/オフはカーメニューで行なうように変更されている。

18インチホイールとセットでオプション設定されるDCC(可変シャシー制御)は第2世代となり、エコ、コンフォート、ノーマル、スポーツ、インディビデュアルを選択できる。このDCCはホイールポジションセンサー、Gセンサーからの情報とクルマの運転状況検知によりダンパーの伸圧両方向の減衰力を瞬時に自動変更するシステムだ。

新型ゴルフGTIは、標準ゴルフと同様にシティエマージェンシーブレーキなど最新のドライバーアシストシステムを装備している点も特筆できよう。

VW GOLF7 GTI 諸元表

■ゴルフ7 GTI 価格
車両本体価格 369万円

DCC+18インチホイール・パッケージ  21万円
レザーシート・パッケージ         26.25万円
パノラミックサンルーフ           12.6 万円
特別色(オリックスホワイトPE)       6.3万円

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