【VW】ゴルフ・バリアント試乗記 トップレベルの利便性とゴルフらしさを両立 レポート:松本晴比古

マニアック評価vol238

1.4 TSIエンジンを搭載するゴルフ・バリアント ハイライン
1.4 TSIエンジンを搭載するゴルフ・バリアント ハイライン

5代目となるゴルフのステーションワゴン、「バリアント」がデビューした。ゴルフ7をベースに開発された新型バリアントは、ベースのハッチバック・モデルより7ヶ月遅れての登場だ。もちろんフォルクスワーゲンのクルマ造りのモジュール戦略「MQB」に基づいて開発されている。

周知のように日本のステーションワゴンのマーケットは、セダンと同じように退潮の一途をたどっているが、最近になってこの潮流が変化を見せているとフォルクスワーゲン グループ ジャパンは言う。

それはプリウスα、フィット・シャトル・ハイブリッドなどが市場を押し上げているというのだ。その要素としては、従来からのステーションワゴンの魅力であるラゲッジスペースの使い易さ、スタイリング、そして乗用車と同等の走りの性能に加え、新たに優れた燃費性能が求められている結果だという。

もうひとつ、日本のマーケットで大きな一角を占めていたミニバンが勢いを失いつつあり、ミニバンからステーションワゴン・タイプへの乗り換え現象も起きているという。こうした背景のもとで新登場したゴルフ・バリアントは、これからのステーションワゴンのマーケットで高い競争力を備えているということだ。

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新型ゴルフ・バリアントは、全長が4575mm(+30mm)、全幅1800mm(+15mm)、全高1485mm(-45mm)、ホイールベース2635mm(+60mm)で、従来モデルに比べホールベースが伸び、全高が低くなっており、さらにAピラー位置が後退していることもあって、よりスマートでスタイリッシュに変貌している。また、ラゲッジスペースが605L、リヤシートを倒すと1620Lという圧倒的な容量が得られる。もちろんこの容量はスバル・レガシィを上回りクラストップになってる。

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新型ゴルフ・バリアントに搭載されるエンジンは2種類で、コンフォートラインには1.2L(105ps)、ハイラインには1.4L(140ps)のTSIエンジンがそれぞれ搭載されている。なお、この1.4 TSIエンジンはベースとなるゴルフの気筒休止タイプではない。また従来モデルの1.4 TSIは160psで、新エンジンは140psとダウンしているが、逆に最大トルクは10Nmアップの250Nmになっていることでより扱いやすさ、加速感、そして燃費は向上している。

トランスミッションは1.2 TSI、1.4 TSIのいずれも7速DSGが組み合わされる。燃費はコンフォートラインが21.0km/L、ハイラインが19.5km/Lと高いレベルにあり、特にコンフォートラインは国産ハイブリッド車と勝負できる燃費といえる。

気筒休止機構なしの1.4 TSIエンジン
気筒休止機構なしの1.4 TSIエンジン
コンフォートラインに搭載される1.2 TSIエンジン
コンフォートラインに搭載される1.2 TSIエンジン

 

グレードは2種類のみというシンプルな車種構成で、コンフォートラインは269.5万円、ハイラインは322.5万円で、価格的にも国産車に挑むことができるレベルになっている。。

オプションパッケージは、ディスカバープロ(ナビ+ETC)、DCC(可変ダンパーシステム)パッケージ、電動パノラマ・スライディングルーフ・パッケージ、レザーシート・パッケージが設定されている。またコンフォートライン向けのパッケージは、セーフティ・パッケージ、バイキセノンヘッドライト・パッケージも設定され、標準装備、オプション装備も含め、クラスのレベルを破る充実した仕様だ。

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試乗したのは1.4 TSIエンジンを搭載するハイラインだが、なにしろトルクが1500rpmから250Nmという2.5Lの自然吸気エンジンに匹敵する大きなトルクを発生し、思い通りの加速感がある。このため市街地では2000rpm以下で交通の流れに乗ることができ、高速道路でも100km/hの巡航は1700rpmとエンジン回転が低く、しかも余裕がある走りで、これがまさにダウンサイジングエンジンの醍醐味だ。

日常的な運転ではDSGは、早め早めにシフトアップし低いエンジン回転を使用することやアイドリングストップを行なうことで、当然ながら実用燃費もカタログ燃費と乖離しない。上手に運転すればカタログ燃費を上回ることもそう難しくないはずだ。

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1.2 TSIエンジン搭載のゴルフ・バリアント コンフォートライン

新型ゴルフと同様に、バリアントも走行中の静粛さ、乗り心地のよさもライバルを圧倒している。乗り心地は、しっとりしたストローク感とピッチングを抑えたフラットな乗り心地が両立され、こうしたレベルは上級車を上回るほどと言ってもよいだろう。

またハンドリングも確かなインフォメーション、正確な効き、直進時の安定した締まり具合など絶妙なチューニングで、安心感がある。また下はup!からハッチバックのゴルフ、そしてこのバリアントとVWファミリー共通の走りのテイストが実現していることも評価できる。

ステアリングフィール、ブレーキフィール、加速感などいずれも統一感があり、しかもそれは他車から乗り換えても違和感を感じさせない懐の深さが持ち味だ。

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ステーションワゴンとしての仕上げも緻密、上質だ。リヤのラゲッジスペースの内装の質感や、フロアボードの使い勝手、スライドカバーの脱着やフロア面への収納なども言うことなし。リヤシートバックは、ラゲッジスペースの側面に設けられたレバーで後方から軽いワンタッチ操作で折り畳むことができる。なお、ラゲッジスペースにゴルフバックは斜め積載となり、長いドライバーをバッグに入れた場合はリヤシートを倒して積載する必要がある。

ゴルフ・バリアントの走り、燃費、ステーションワゴンとしての質感や使い勝手、さらに上級車を明らかに上回るボディの精度の高さとそれがもたらす質感など、トータルでの評価は、やはり300万円前後のクラスの中のワゴンの中でトップに立つ存在と言ってよいだろう。

ゴルフ バリアント 諸元表

■ゴルフ バリアント価格
・コンフォートライン 269.5万円
・ハイライン     322.5万円

 

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