クルマのボディに関する基礎知識 クルマの性能を左右するインナーフレーム構造

この記事は2017年3月に有料配信したものを無料公開したものです。

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レクサスLCのホワイトボディ

クルマに興味を持つ人にとってエンジンやサスペンションについてはかなり気になるはずだ。馬力やトルク、サスペンションの形式などは、クルマ・マニアなら話題にすることが多い。しかし、さすがにボディとなると、カタログを見ても特に記載はないし、カタログ数字で比較できる物差しもない、実に地味な存在だ。

ボディの形式と基本構造
ボディそのものに踏み込む前に、まずはボディの形式を考えてみよう。クルマのボディの基本形はセダンで、セダンから発展したカブリオレ、クーペ、ステーションワゴンなどがあり、いずれも馬車の時代から存在している。

それ以外に近年では、2ボックス・ハッチバック、ワンボックス、ミニバンなどもボディ形式として加わっている。

しかし、ボディ形式は各種あっても、馬車の時代からボディの基本構造は、ベースとなるフレームの上にキャビン(コーチ)を架装するという方法で、馬車から自動車の時代を迎えても変わることはなかった。

戦後に生産されたメルセデス・ベンツ170。X字型のフレームを採用

つまり自動車は、はしご型(ラダー型)フレームや、X字型のフレームといった基本フレームにキャビン(アッパーボディ)を乗せる方法で造られた。この場合、路面からの入力を支えるのはフレームで、そのためには頑丈な木製、または金属でフレームが作られ、その一方で大きな強度を負担しないキャビンは、木製、あるいは木製骨格に薄い鉄板を張るといった構造になっている。

しかし、より革新的な自動車が第2次世界大戦前に登場した。シュタイヤー社のエンジニア、ハンス・ルドヴィンカはチェコのタトラ社に招聘され、1927年コンパクトカー「T11」に設計した。このT11はバックボーン・フレームを採用し、四輪独立サスペンション、フロントのエンジンからリヤデフへ繋がるプロペラシャフトはトルクチューブに内蔵され、そのチューブがフロアフレームを支える骨、つまりバックボーンを形成していた。

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