フォルクスワーゲン・グループは2020年5月8日、スウェーデンのバッテリーメーカーの「ノースボルトAB」との合弁事業の取り組みをさらに加速させています。フォルクスワーゲンのバッテリーセル組み立ての本拠地ザルツギッター プラントでは、合弁企業の「Northvolt Zwei (ノースボォルト ツヴァイ)」工場に必要な施設、インフラを建設することが決定したと発表しました。
事業計画
このプロジェクトには約4億5000万ユーロ(525億円)が投資されます。合弁事業の工場+生産設備をフォルクスワーゲンから借用する枠組みで、ここでのバッテリーセルの生産は2024年早々から開始され、初期の生産キャパシティは年間16GWhとなる計画です。
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フォルクスワーゲン・グループは電気自動車の大量生産戦略を採用するに当たり、電気自動車戦略の最重要要素となるリチウムイオン バッテリーの確保を重視し、バッテリーセル生産分野における技術ノウハウを積極的に蓄積しています。
またグループとして世界の各地域における供給を確保できるように、複数のバッテリー生産メーカーと戦略的提携関係を結んでいます。現在、LG化学、サムスン、SKIとの提携はヨーロッパ市場向け、そしてCATLとは中国、ヨーロッパ向けの提携となっています。
さらにSKIは今後アメリカ市場向けにもバッテリーセルを供給する予定としています。フォルクスワーゲンは2025年以降にヨーロッパ市場だけでも150GWh以上の年間需要を想定しており、アジアにおいても同等レベルの需要を予想しています。
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2019年9月に正式決定されたフォルクスワーゲン・グループと「ノースボルトAB」の合弁事業は、ヨーロッパ市場向けのリチウムイオン バッテリーの生産だけではなく、次世代のリチウムイオン バッテリーの研究・開発を行なうためでもあり、この合弁プロジェクトもいよいよ動き始めたと言えます。
フォルクスワーゲン グループ コンポーネント責任者であり調達担当取締役兼ノースボルトAB取締役のステファン ゾンマー博士は、「フォルクスワーゲン グループの戦略的ポジションの中で電気自動車用バッテリーという今後の最も重要な分野で、既存のサプライヤーからの供給に加え、新たに供給能力を整えて行きます」と語っています。
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