2014年10月14日、フォルクスワーゲン・ジャパンは日本の電気自動車市場で唯一、5ナンバーサイズの4ドアハッチバック「e-up!(イー・アップ!)」と、世界のCセグメントのベンチマークである「ゴルフ」のEV仕様「e-Golf(イー・ゴルフ)」の2モデルを2015年に日本に導入すると発表した。導入時期はe-up!が2015年春、e-Golfは2015年夏頃の予定だという。
フォルクスワーゲンは、化石燃料に依存しない次世代モビリティのためにEV、プラグインハイブリッド、CNG(e-ガス)、燃料電池車などの技術を展開しているが、EVはヨーロッパでは2013年秋に発売し、e-Golfは2014年から発売されている。
ドイツ政府は、2020年までに100万台のEV、PHEVを普及させる目標を掲げており、フォルクスワーゲンも2020年に、総生産台数の3%前後がEVやPHEVになると予測している。
フォルクスワーゲンのEVのコンセプトは、「e-drive for everyone. (電気自動車を特別なものにしない)」ということだ。ちなみにこれは同社の2018年までに、環境への負荷が小さいクルマ造りのリーダーとなる、という環境戦略ビジョンの一環であり、EVは環境負荷の少ない車両投入の一部を成すのだ。
今回発表されたe-up!、e-GolfともにEV専用設計とせず、MQBというプラットフォーム&モジュラー戦略の元で、ガソリン、ディーゼル、CNG、などと同様にパワーユニットの一つのバリエーションとEVを位置付けているのが特徴だ。フォルクスワーゲングループ全体で推進しているMQBは、もともと多様なパワーユニットに対応できることを前提に開発されており、EV化も当初から想定されていた。
▲EV用にデザインされた丸型メーターとドライブモードスイッチ
フォルクスワーゲンのEVのコンセプトは、内燃機関を搭載するクルマと同じように誰にでも容易に扱うことができ、気持ち良く運転できることなのだ。そのため、今回発表されたe-up!もe-Golfも、エクステリア・デザインは細部を除いてガソリンエンジン車と同じだ。インテリアのメーター部分も巧妙なデザインで普通のガソリン車のように見せている。
▲e-Golfのコンポーネンツレイアウトと、e-up!とは異なるバッテリーパックの配置
駆動モーターは内製の3相交流式で、e-up!は60kW/210Nm、e-Golfは85kW/270Nmの出力となっている。搭載するリチウムイオン・バッテリーは床下、リヤシート下にパッケージされている。なお電池セルは日本製だという。電圧は、e-up!が374V、e-Golfが323Vで、電力容量はe-up!は18.7kWh(重量は230kg)、e-Golfが24.2kWh(重量は318kg)。つまりe-up!の電池容量は三菱i-MiEVよりわずかに大きく、e-Golfは日産リーフとほぼ同等の容量だ。
航続距離は、JC08モードでe-up!が185km、e-Golfが215km。動力性能は、e-up!が0-100km/h加速が12.4秒、最高速は130km/h。e-Golfは、0-100km/h加速が10.4秒、最高速は140km/h。
フォルクスワーゲンならではの特徴として、ドライブモードがノーマル、ECO、ECO+の3モード、シフトセレクターを操作することで回生ブレーキ力が、ゼロから最大まで5段階で選択できるようになっており、エンジンブレーキと同様の使い方ができる。
充電は、200V充電と日本のチャデモ方式の急速充電に対応し、チャデモ充電はフュエルリッド部から、200V充電はe-up!はエンジンルーム内のソケットに充電プラグを差し込む。e-GolfはフロントグリルのVWエンブレムを反転させるとソケットが設置されている。またバッテリーの保証期間は8年/16万kmとなっている。なお、生産はe-Golfはウォルフスブルク本社工場で、e-up!はチェコのブラチスラヴァ工場で、いずれも既存車との混流ラインで組み立てられる。
■ e-up! 価格:366.9万円 (EV補助金により実質購入価格は300万円を下回る予定)
■ e-Golf 価格:未定 (EV補助金により実質購入価格は300万円台の予定)