フォルクスワーゲングループジャパンは2011年5月19日、上級セダン「パサート」とワゴンタイプの「パサートヴァリアント」をモデルチェンジし、5月30日から発売すると発表した。
新型パサートはB7型となったが、今回のモデルチェンジは従来のB6型のアッパーボディの刷新という形であり、プラットフォームはB6型と同じPQ46のままだ。
新型パサートB7型は2010年のパリサロンでデビューし、日本導入は半年遅れとなったが、今年から来年にかけてアメリカ用に特化したNMS(ニューミドルセダン。テネシー工場での生産)、中国市場用に中国専用B7(ロングホイールベース。第一汽車で生産)を展開する予定になっている。新型パサートはドイツでのNo1カンパニーカーというポジションにとどまらず、新たにDセグメントの世界戦略車として位置づけられていることが大きな特徴といえる。
エクステリアは最新のフォルクスワーゲンデザイン要素を取り込み、シンプルでクリーンであることと、ワイドでエレガントな存在感を主張している。特にヘッドライトから続くキャラクターラインは車全体にシャープかつクリアな印象を与えている。また、オプションのバイキセノンヘッドライトを選択すれば、LEDのポジショニングランプとLEDテールライトが装着され、存在感が一層高まる。
インテリアは、ダッシュボード中央にアナログ時計をシンボリックに配置し、木目パネルやアルミ素材をダッシュボードや内装に採用することで、Dセグメントでもトップレベルの上質さ、精緻さを実現し大きな魅力としている。さらに内装を充実させたハイラインのシートには、レザーの中でもソフトできめが細かいナパレザーシートを採用した。また、ゴルフ6と同様に遮音フィルムを挟み込んだフロント合わせガラスを採用。し、ボディ各部に吸音・遮音材を加えることで、Dセグメントでもトップレベルの静粛性を実現した。
パサートのパワートレインは1.4TSIから3.6LのV6、ディーゼルターボなど多数が存在するが、日本仕様はセダン、ヴァリアントともに1.4L ・TSIエンジンと7速DSGとの組み合わせ1種類に絞り込まれた。従来のB6型の4気筒TSI、V6というラインアップとは大きく変わっている。パサート用の1.4 TSI(シングルターボ)は1500rpmで最大トルク200Nmを発生し4000rpmまでそのトルクを持続させることができる低速トルク型である一方で、最高出力122psで燃費追求タイプになっている。
また新たに「Start/Stopシステム(アイドリングストップ)」と「ブレーキエネルギー回生システム」からなるブルーモーション・テクノロジーを全車に搭載することで、クラストップレベルの18.4km/L(10・15モード)という優れた燃費性能を実現している。このミドルクラスでありながら実用燃費ではハイブリッドカーと同等レベルの燃費になると考えられ、特に日本では燃費性能を重点的にアピールする。
さらに今回、フォルクスワーゲン初の安全装備として、居眠り運転による事故の発生を未然に防ぐ目的で、ステアリングホイールへの入力などからドライバーの疲労度を検出し、アラーム音と液晶表示でドライバーへ警告を促す、ドライバー疲労検知システムを全車に標準装備。クルーズコントロールも標準装備としている。
価格は、パサートコンフォートラインが324万円、内装を充実させ、17インチホイールを装着したパサートハイラインが374万円。パサートヴァリアントは、コンフォートラインが346万円、ハイラインが396万円と価格面でも戦略的である。