スウェーデンのボルボ・カーズは、イェーテボリで実施する公道での自動運転実験「Drive Meプロジェクト」で使用する自動運転車の第1号車を完成させた。これに伴い、同プロジェクトを正式にスタートさせる。
自動運転車の第1号車は「XC90」をベースにしたもので、スウェーデンのトースランダ工場でラインオフされた。このXC90はファクトリーでの組み立て完了後、厳しいテスト工程で自動運転技術が設定通りに機能するかを確認。その後、「Drive Me プロジェクト」に参加するイェーテボリの一般ユーザーに引き渡され、公道での走行実験を行なうこととなる。
ボルボは現在、90シリーズのモデルに半自動運転機能(レベル2相当)となる「パイロットアシスト」を搭載。このテクノロジーは、緩やかなステアリング操作によって運転をアシストするもので、速度が時速130kmまでであれば、走行車線をキープしたまま走行することが可能だ。
「Drive Meプロジェクト」用のクルマは、それに加えて「自動運転頭脳(Autonomous Driving Brain)」と呼ばれる機能を搭載。イェーテボリ周辺に設定した自動運転ゾーンでハンドルから手を離したまま、またアクセルやブレーキの操作の必要もなく運転することができる。
ボルボ・カーズのアクティブセーフティ部門でシニアテクニカルリーダーを務めるエリック・コリン氏は、「これは『Drive Me』プロジェクトにとって重要な節目になる。実証実験は始まったばかりで、一般ユーザーが日常生活の中でこれらのクルマをどのように使うのか、またどんな意見が出るのかを楽しみにしている」と、ラインオフされるXC90を見守りながら語った。
ボルボは自動車安全技術を積極的に開発しており、AD(自動運転)テクノロジーの導入が自動車事故の減少に貢献すると考えている。さらに、ADテクノロジーは、交通渋滞の解消や大気汚染の防止への期待が高まるほか、ドライバーが車内での時間をより有効活用できるようになると考えている。
ボルボは今回のイェーテボリでの実証実験を皮切りに、2017年にはロンドンでも同様のプロジェクトを実施予定。さらに、今後数年以内には中国でも実施を予定しているなど、世界各都市に実証実験のフィールドを広げていく。
このところボルボの自動運転技術に関するニュースが多く、2016年8月には米国の配車サービス大手のウーバー(Uber)と新たな提携を開始。さらに、自動車安全システムサプライヤーの大手であるオートリブ(Autoliv)と合弁会社をスウェーデンに設立することを発表。自動運転技術の研究・開発を積極的に行なっていることが見て取れる。
そして、同社は2021年頃に自動運転技術を市販車へ導入することを目標としている。
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