2013年12月2日、ボルボは独自のコンセプトに基づき自動運転の実証実験を開始すると発表した。また2014年には自動運転の第一歩と位置付けられる操舵アシスト機能付きの新型XC90を発売することも発表した。
ボルボは2007年に「ビジョン2020」、つまり2020年にボルボ車による交通事故死や重傷者をゼロにすることを発表している。そのためにはドライバー支援システム、さらには運転の自動化が不可欠と考えている。また運転の自動車化は交通事故の低減だけではなく、CO2の削減にも大きな効果をもたらし、一定の条件化では燃費を50%向上させることができるとしている。したがって、未来のクルマは事故を起こさないというビジョンを達成するためには自動運転が必要とし、より高度な自動運転化の技術を追求していくと言う。
その第一歩となるのが、2014年に発売される新型XC90で、操舵アシスト付きアダプティブクルーズコントロールを搭載する。渋滞時に前方の車両が発進すると自動的に追従を開始し、操舵アシスト機能は路肩や柵などの境界線を感知し、道路から逸脱する危険性がある際には、自動的にステアリングを修正し、車線に復帰させる機能を持つ。
次のステップとなるのは、ドライバーが運転を監視しつつも、ステアリングを握ることなく高速で前方の車両を追従する技術を目指す。この技術はドライバーの裁量に基づいて車に運転を任せる、高度な自動運転車の導入への入り口となる。この自動運転技術の実験と評価が、ボルボカー・グループの本社があるイェーテボリで行なわれる「ドライブ・ミー(Drive Me)」プロジェクトとして実施される。2017年には100人の顧客が100台の自動運転機能を有するボルボを使ってこのプロジェクトに参加し、市内および近郊の特定の公道を走行する計画だという。もちろんこれはボルボカー・グループだけではなく、スウェーデン運輸管理局、スウェーデン運輸庁、リンドホルメン・サイエンス・パーク、そしてイェーテボリ市が共同で行うことになる。2014年にテスト車両の開発および共同評価が開始されるという。
革新的なプロジェクト「ドライブ・ミー:持続可能なモビリティのための自動運転」は、イェーテボリ市周辺の決められた公道約50kmで行なわれる。この指定された道路は日頃から通勤に使われている道路で、高速道路や渋滞が頻繁に発生する地点などが含まれるという。、ボルボカー・グループのエンジニア、エリック・コーリンは、「私達の狙いは、あらゆる交通シナリオにおいて自動運転車が対応できることであり、例えば何らかの理由によりドライバーが運転操作ができなくなってしまった様な状況でも、クルマが交通の流れから離れて、自動で安全な場所に停車することなども想定しています」と語っている。
なお、この実証実験車は「自動駐車」技術も取り入れており、ドライバーが車内にいなくても自動的に駐車する機能も提供される。車が自動的に空きスペースを見つけ駐車するため、ドライバーは先に降りて目的地へ向かうことが可能となる。したがって「ドライブ・ミー」に使用されるクルマはレーザースキャナーも備えていることがわかる。