【ボルボ】Drive-Eエンジン搭載のXC60 T5 R-DESIGN試乗記 滑らかさと強力なトルクに圧倒される レポート:松本晴比古

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新エンジン、8速ATを搭載したXC60 T5 R-DESIGN

ボルボXC60とS60、V60に新開発されたDrive-Eエンジンを搭載したT5グレードが新設定され、XC60 T5 R-DESIGNに試乗することができた。XC60シリーズはすでに2013年10月に2014年モデルにスイッチされ、エクステリアはバンパー、フロントグリル、ボンネットプレス形状、ヘッドライト、ドアミラーのデザインが変更され、縦型LEDポジションライトを採用している。またインテリアはV40から採用されているデジタル液晶メーターパネル、パドルシフト、新デザインのシフトノブを採用するなど大幅にグレードアップされている。

デザイン的な印象は、より洗練されプレミアムクラスにふさわしいエレガントさが感じられるようになったといえる。XC60のようなSUV寄りのクロスオーバーモデルは力強いデザインとエレガントさを両立させることは案外難しいはずだが、XC60の新しいルックスはそうした点が絶妙にまとめられていると感じた。

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今回のラインアップ変更により、T5シリーズが従来のフォード・エコブースト系列の2.0L、4気筒直噴ターボから新開発の2.0L・4気筒高圧直噴ターボに置き換えられ、トランスミッションが6速ATから8速ATに変更。価格も改訂されている。なおT6シリーズは全車AWDで、横置き6気筒エンジン、6速ATに変更はないが、ベースグレードにT6 AWDが追加設定されている。このグレードは599万円という戦略的なプライスとしているのがポイントだ。

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車両右寄りに搭載されるDrive-Eエンジン。左側に8速ATを配置

「Drive-E」と名付けられたボルボがゼロから自社開発した新しいエンジンは、高出力、高品位、低燃費といったこれからエンジンに求められる要素をすべて盛り込み、さらにバリエーション展開、ディーゼル化、さらには電動駆動との組み合わせなど、幅広い可能性を備えたエンジンと位置付けられる。

また、このエンジンとセットで組み合わされるアイシン製の8速ATも、6速ユニットとほぼ同レベルの軽量・コンパクトだが、低フリクション、クイックレスポンスと大幅な進化をを遂げ、当然ながら変速比幅も7.8と拡大されている。

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試乗車のXC60 T5 R-DESIGNのステアリングを握って軽くアクセルペダルを踏み込むと、気持ちよく発進する。クルマがわずかに動いただけでしっとりとしたステアリングフィールやボディのかしっとした重厚感が体感できる。狭い道路から郊外路までステアリングの操舵感はいうことなしだ。このXC60は電動油圧式パワーステアリングのためもあって、滑らかで気持ちよいフィーリングが実現しているわけだ。

エンジンもすこぶる滑らかで、しかも力強い。低速でゆっくり走っている上状態からアクセルを急に踏み込んでみても、エンジンや駆動系が動揺する気配が感じられない。しかしエンジンのトルクは急激に高まり、その急加速の瞬間にはトルクステアが発生し、軽くステアリングが左に取られるのを感じた。このあたりは大トルクのFF駆動であることが感じられ、感覚的には2.0Lエンジンではなく3.0Lくらいの感覚を味わえる。スペックを見れば分かるように1500rpmから最大トルク350Nmを発生するので、2000rpm以下でも十分に気持ちよい加速ができるのだ。

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R-DESIGNグレードのためスポーティでセンス、質感の高いインテリア

また郊外路での追い越し加速では、エンジンの吹け上がりの切れ味、振動感のないスムーズさから、さすが新世代エンジンと感じさせられ、直列4気筒エンジンと8速ATは、DCTと同じような小気味よさも感じられる。また信号での停止で作動するスタート&ストップも自然なフィーリングで文句なしのでき具合だ。

試乗車はT5 R-DESIGNというスポーツクレードのため、20インチホイールでタイヤはピレリ・スコーピオンゼロ(255/45R20)という大型SUV用タイヤを装着していた。もちろんR-DESIGNのためサスペンションもスポーツサスペンションが装着されているわけだが、乗り心地も高いレベルにある。路面の段差の乗り越えでも硬い衝撃の入力はまったく感じられず、それでいて接地感もしっかりしている。

高速走行では、ロードノイズはかすかで、風切り音が耳に入るようになるが、走りの安定感、しっかり感は心地よく緊張感がない。100km/h巡航時はエンジン回転数は8速/1500rpmあたりで、この低回転でのクルージングは8速ATの効果も大きい。言うまでもなく長距離ドライブでの疲労の大小はこうしたことが威力を発揮するのだ。

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インテリアも液晶メーターになり、よりモダンなセンスになっている。インテリアの質感もボルボらしい、いわゆるスカンジナビアデザインで、ドイツ車はもちろん、ラテン系のクルマとも明らかに違うセンスの良さが感じられた。

XC60はどしっとした重厚感、プレミアムカーらしいしっとりとした落ち着き、そして力強い加速感など、このセグメントに求められる要素はしっかりと、取りこぼしなく盛り込まれているのがこのXC60 T5 R-DESIGNの持ち味といってよいだろう。もちろん、その他にボルボならではのドライバー支援システム、特にプラス20万円のセーフティパッケージを装備すれば長い年月を愛着を持って乗ることができると思う。

XC60シリーズ 諸元表

XC60シリーズ価格

 

ボルボカーズ・ジャパン公式サイト

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