先日レポートしたボルボのコンプリートカーS60/V60ポールスターと同日に、試乗したもう一台のスペシャルカーのレポートをしよう。
V40 R-DESIGNカーボンエディション+ポースターパフォーマンスパッケージ付きという、てんこ盛りな限定車の試乗だ。この全部乗せモデルは全世界343台の限定車で、国内割り当て88台という希少車。
ガソリンのT5エンジンを搭載するV40R-DESIGNモデルがベースとなるこのクルマは、ルーフをカーボンにしているのがポイント。試乗車はさらにロムチューンのポールスターパフォーマンスパッケージも組み合わせているモデルだった。
ボディカラーはルーフのカーボンがよく映えるアイスホワイトの単色で、カーボンはルーフの他に、ドアミラーカバー、スカッフプレートなどに使用している。R-DESIGN自体が標準車をモディファイしているグレードなので、さらにここではV40初の19インチサイズのタイヤ&ホイール&カーボンルーフとなって、ベース車の価格にプラス20万円という超の付くお買い得車でもある。
ちなみに、ポールスターパフォーマンスパッケージは+18万8000円で、今回の試乗車の価格は478万8000円。パフォーマンスパッケージ抜きだと460万円。通常のT5 R-DEDIGNだと440万円というプライス設定だ(税込み)。ボディサイズは全長4370㎜×全幅1800㎜×全高1440㎜である。
エクステリアではやはりカーボンルーフとドアミラーが目を引き、19インチの大径タイヤも目に留まる。ドアを開けると赤いシートベルトが非常に目立っている。ブラック基調でまとまったインテリアに赤のシートベルトは非常にレーシーに映るのだ。もちろん後席のシートベルトも赤。
シートは本革で全体にシルバーとレザーを品よく配し、高級感のあるインテリアだ。センターには大きくエンジン回転と速度が表示され、センターメーターの左右に、燃料残量とエンジン回転が分かるように配置されている。
搭載するエンジンはボルボの次世代エンジン、Drive-EのT5で、2.0L 4気筒+ターボエンジンだ。245ps/350Nmがスタンダードだが、これにロムチューンが加わり、253ps/400Nmへと出力アップしている。間もなく試乗レポートできると思うが、同じく2.0LターボのD4(ディーゼル)も190ps/400Nmの標準に対し、ポールスターパフォーマンスパッケージは200ps/440Nmまで出力アップしたモデルが揃う。
このパフォーマンスパッケージの特徴は全体のパワーアップというより、実用領域の中間域でのトルクアップを狙っており、1500-3500rpm付近では+25ps/50Nm向上させている。もちろん、アクセルレスポンス、ギヤ変速速度のパフォーマンスをアップし、ドライバビリティが向上しているモデルだ。これにアイシンAW製の8速ATが組み合わされ、小気味良いシフトとパフォーマンスが楽しめる。
もちろんボルボと言えば安全の分野でも注目だが、全車にボルボ・アドバンスト・セーフティ/ドイラバーサポートを標準装備。ミリ波レーダー、デジタルカメラ、赤外線レーザーを搭載している。
◆インプレッション
試乗は市街地から箱根のワイディングへと向かう。V40にカーボンルーフ仕様は軽量化されるのか、乗り心地は固めだ。R-DESIGNのデビュー時も相当硬いセッティングだったが、年次改良でだいぶ乗り味は丸くなっている。それでも235/35R19のエアボリュームの少ないタイヤでは、乗り心地の点ではマイルドに仕上げるのは苦しい。
ワインディングに飛び込むと、このサスペンションが生き生きとする。高速になればなるほど、滑らかで気持ちよく減衰するサスペンションになる。チューンアップされたエンジンは急勾配も意に介さず、ぐんぐん上る。Cセグメントサイズのボディに440Nm というトルク自体が他に類を見ないハイパフォーマンスで、元気いっぱいの走りをする。ゴルフRですら380Nmだからそのトルクフルなエンジンが容易に想像できよう。
特に低速まで速度が下がった状態からのフル加速ではトルクステアを感じさせながら、加速を再開する。電子制御されたパワーステアリングでもそのトルクステアが感じるほどで、元気がいい。また、ブレーキのタッチは硬いフィールで、少しリニア感の薄いフィールだ。それでも減速ということでは不安はなく効きがよい。
全体にボディが軽いためなのか、タイヤのスペックの影響からなのか、跳ねるような場面もあり、とにかく元気で若い!という印象を受けた。S60ポールスターのコンプリートカーと同日の試乗であったため、S60は車格的にもDセグメントでプレミアムブランドをライバルとするコンプリートカー。
こちらはチューニングパーツをバランスよく装備したモデルという印象で、変更した箇所が感じ取れるモディファイモデルという印象になった。S60とは車両価格も比較にはならないので、難しい表現になるが、V40はやんちゃなイメージを持ったモデルというレポートになる。もっともカーボンルーフのルックスで穏やかであったら、逆にイメージダウンで、このあたりのさじ加減の落としどころということなのだろう。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>