【ボルボ】世界初の「i-ART」インジェクター・テクノロジーを発表 2013年秋に発売開始

気筒別に燃焼をモニターすることで超高圧噴射が実現

2013年4月8日、ボルボカー・グループは新たに開発している新エンジン「VEA(ボルボ・エンジン・アーキテクチャー)」のディーゼル・エンジン用に世界初の「i-ART」インジェクターを開発し、今秋発売されるエンジンに採用すると発表した。

このデンソーと共同開発されたi-ARTインジェクターは、従来のコモンレールのシングル圧力センサー式とは異なり、個々のインジェクターにセンサーを備え、インジェクターからの圧力のフィードバックを受け、連続的に各気筒の燃焼をモニターすることができるというもの。コモンレールの圧力を2500barという高圧にし、このi-ARTインジェクターを装備することでディーゼルエンジン技術は新たな世代に入るという。

左が従来方式、右が i-ARTインジェクター式

「i-ARTインジェクターは、1976年に触媒コンバーター用のラムダ(空燃比)センサーが発明されたことに匹敵する革新技術です。そしてこの革新的な技術はまたもボルボが世界で初めて実現しました」とデレク・クラブ氏(パワートレイン開発担当・副社長)は語る。

デンソーと共同開発されたi-ARTインジェクターの構造

このシステムは、個々のインジェクターに超小型のコンピューターを備え、これがインジェクターの圧力をモニターする。この圧力情報を取得することでi-ARTインジェクターは自己適合制御により個々の燃焼サイクルで最適な燃料噴射を行うことができるという。

従来より高圧の燃料圧力とi-ARTインジェクター技術の組み合わせにより、エンジンの燃費の向上、大幅な排気ガスレベルの低減、力強く好ましい排気サウンドとともに、より大きなパワーを実現できるとしている。

ボルボは、2013年秋にこのテクノロジーを採用したVEAエンジンと、新開発の8速ATを組み合わせ、抜群の走りと燃費レベルを両立させたモデルを発売する計画だ。もちろんコモンレール式ディーゼルエンジンと、ガソリン直噴エンジンは両方ラインアップするという。ターボ・チューニングの違いにより、数種類のパワー、トルクのバリエーションが展開されることはいうまでもない。

「新開発のエンジンによりさらにドライビング・プレジャーや俊敏性を高め、同時に8速ATによりスムーズで、レスポンスに優れショックのないドライビングが楽しめるでしょう」とデレク・クラブ氏は語る。

さらに「我々が作る革新的な新しい小排気量・高出力のエンジンはV8型エンジンを絶滅させる実力を持っています。我々の新たな4気筒エンジンは現在の6気筒エンジンに勝るパワーを引き出し、燃費は現在の4気筒を大幅に下回ることができます」と語っている。

なお、このエンジンはスウェーデンの最新のシュブデ工場で生産される。

ボルボカーズ公式サイト

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