2014年10月31日、ロールス・ロイスはゴーストのマイナーチェンジモデルとなるゴースト シリーズⅡを発表した。ゴーストは2010年にデビューし、今回は初のマイナーチェンジとなり、エクステリアを中心にモディファイされ、さらにオーナードライバー向けに「ダイナミックドライビング・パッケージ」も新設定された。デリバリーは11月から開始される。
コードネーム「RR04」と呼ばれるゴーストは2009年の上海モーターショーで発表され、同年秋からヨーロッパで、その他の地域では2010年から発売された。
ゴーストはベントレー・コンチネンタル・フライングスパーのライバルで、エクスクルーシブなフォーマルカーのファントムに比べ、やや小型(もちろんフルサイズ)で、実業家や業界リーダーなどのオーナーカー向けとされている。運転手付きに限定せずオーナー自らがステアリングを握るオーナーカー的な要素を盛り込んでいるモデルだ。オーナードライバーがステアリングホイールを握る、スーパーラグジュアリー・スポーツクーペのレイスとともに、ロールス・ロイスビジネスの2本柱となっている。
そして2014年にゴーストはアップデートを受け、シリーズⅡとして登場した。ラインアップはこれまで通り、標準ホイールベースモデル(3295mm)と、エクステンデッド・ホイールベース(3465mm)の2種類。装備は、全世界で80%、日本市場では実績からいってほぼ100%がビスポーク(オーダーメイド仕様)モデルとなる。
ゴーストのコンセプト、モダン、ラグジュアリー、ダイナミックという基本はもちろん守られているが、今回のシリーズⅡはよりモダンに、より大幅な技術革新を採り入れている。
その象徴がフロントのLEDヘッドライトだ。ダイナミックな形状にデザインを一新し、デイタイム・ランニングライトは、ゴースト シリーズⅡ のフロントマスクに鮮明な印象を与える。またこのヘッドライトはステアリングに連動し、対向車が出現したときにビームを可動式にしたアダプティブ・ライトとなっている。
ボンネット・マスコットのスピリット・オブ・エクスタシーの姿はわずかに前傾され、ボンネットの上を扇形に広がる「ウェイク・チャネル」はジェット機の飛行機雲を連想させる。
バンパーのデザインも一部変更され、より力強くゆとりある幅と高さを感じさせる。
ボディサイドは、ロールス・ロイスのアイコンである優美なワフト(そよ風)ラインも、より前傾させている。そしてサイドビューで目引くのは標準の19インチ、オプションの21インチという大径サイズのホイールで、ダイナミックさ、モダンさを表している。
インテリアではシートが一新されている。運転席と助手席は電動調節式サイドサポートを追加。シート構造も改良され快適性のレベルを高めている。リヤシートのデザインも変更され、後席ででビジネスを、あるいは純粋にくつろぐことを望む人に究極の快適性を提供する。
前後シートは、温度を3段階に調節できるヒーターが標準装備され、オプションでマッサージ機能も追加できる。サンバイザー・ライトはクローム仕上げとし、ダッシュボードの表面はソフトな手触りに仕上げている。さらに今回からオプションとして、贅沢なナチュラルグレイン・レザーをAピラー、Cピラーに装備できるようになっている。また注文仕様として、ウッド材は美しい木目を持つパルダオとウォールナット・バール・クロスバンドが新設定されている。
ゴースト・シリーズⅡは、ラグジュアリー、テクノロジー、コネクティビティを現代的に融合させた究極のクルマでもある。そのコントロールを行なうのがワンタッチ・コール・ボタンと手書き入力タッチパッド機能を持つ、クリスタルのロータリーコントローラーだ。そのコントローラーにはスピリット・オブ・エクスタシーがあしらわれている。マルチメディア、ナビゲーションは、新しい10.25インチ高精細ディスプレイに表示される。
注文仕様のハイエンドオーディオも新設定されている。18個のスピーカーを備え、劇場、スタジオなどを選択し個別にチューニングできる。またこのシステムは、高感度マイクを用いて車外の騒音を常にモニターしており、それに応じて音量と音質、周波数、位相の設定を自動微調節することで、完璧な性能が発揮される。オーディオ用のハードディスクは20.5GBの容量を備えている。もちろんオーディオだけではなく、iPad、iPhoneとのシームレスな接続、連携ができ、最高品位のインフォテイメントを実現している。
搭載エンジンは、6.6L・V12直噴ツインターボのBMW製のN74B66B型で、570ps/780Nmを発生する。ゴーストにふさわしく、1500rpmから最大トルクを発生。0-100km/h加速は4.9秒(エクステンデッド・ホイールベース車は5.0秒)、最高速250km/h(リミッター付き)で、高性能スポーツカーを寄せ付けない動力性能を備えている。
トランスミッションはZF製の8速ATで、レイスにも採用されているサテライト・エイディッド・トランスミッション(SAT)が標準装備となっている。プレビュー式AT制御のSATは、GPSデータを用いて現在位置よりはるかに前方の地形を認識。例えば交差点、ロータリー、高速道路の分岐点などを認識して、8速ATの最適ギヤが自動選択される。これによってドライバーは、ストレスなしにV12型エンジンのパワーを引き出すことができるのだ。
ゴースト・シリーズⅡは、サスペンション、ステアリングもドライビング・ダイナミクスと至高の快適性を求めて改良されている。コーナリング性能は大幅に高められ、より太くなったステアリングホイールを通じて、改善された最適なフィードバックが得られるようになっている。ダイナミック・ドライビング・パッケージを選んだ場合はよりダイナミックなコーナリング性能やアジリティを得ることができる。リヤ・サスペンション・マウントは油圧式となり、乗り心地はさらに高いレベルとなっている。
▲ビスポーク(Bespoke)は、オーナーがロールス・ロイスの担当デザイナーと協議しながら、好みのカラー、素材、刺繍や象嵌などのデザインを盛り込むオーダーメイドシステム。
■価格
ゴースト シリーズⅡ 標準モデル:3132万円
エクステンデッドホイールベース:3712万円