2013年8月26日、ルノージャポンは「カングー」のマイナーチェンジを行ない、8月29日から発売すると発表した。今回のマイナーチェンジは、ルノーのチーフデザイナー、ローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏が推進する新デザイン戦略のもとで、フロントのデザインを一新してる。
カングーは広い室内スペースと優れた機能性を持ち、ヨーロッパでは「LUDO SPACE(ルドスパス:遊びの空間)」と呼ばれて親しまれるのと同時に、日本でもライフスタイルを重視する多くの人に愛され、ルノージャポンのラインアップの中でトップセラーのポジションを築いている。ヨーロッパ以外の国で、日本のようにカングーが深く愛されている国は珍しく、ルノー本社のカングー開発チームの部屋の壁には日本の「カングー・ジャンボリー」の写真が貼られているという。
カングーは、多目的車(MPV)に分類されるが、厳密にはハッチバックではなく、ステーションワゴンでもない、ミニバンでもないという独自のポジションを備えている。優れたデザインでありながら、同時に広く、高く開放的な室内スペース、大容量の積載ができるなどカングーならではの機能を持ち、まさにライバルなしという存在だ。
もっとも、カングーは元々は多用途の商用車として企画されたクルマで、ヨーロッパでは商用車バージョンが60%、ファミリー向け多用途乗用車が40%という比率だ。業務用としては、ヨーロッパ各国の電力会社やガス会社のサービスカーなどが代表的な存在で、生活に密着し親しまれている。こうした業務用車(フリートカー)仕様として各種のスペシャル仕様があり、同時に各企業の指定ボディカラーも備えられている。ちなみに30台以上の台数であれば指定色に塗装することができ、その指定カラーの塗料はカングーの工場に保存されるため、他車ではありえない何100種類もの塗装カラーが手持ちにあり、そのためユニークなカラーの設定ができることもカングーの魅力になっている。
新型カングーは、ブランド&デザイン担当に就任したローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏の新デザイン戦略に従い、フロントデザインを一新。新しいフロントデザインは、新型ルーテシア(参考記事/ルノー・ルーテシア試乗レポート、ルノー・ルーテシア発表)と同様に、これまでよりも大きく角度を立てて取り付けられたルノーロゴを採用。このロゴマークを中心に、左右のヘッドライトまで繋がるブラックグリルバンパー、ブラックのアクセントが際立つ新デザインのアーモンド形ヘッドランプが、新型 カングーに生き生きとした新しいフロントマスクを作り出している。
なお本国ではまず商用車シリーズが6月に新デザインに変更され、その後、日本にいち早く新デザインが導入されたことになる。
今回のマイナーチェンジにより、モデルラインアップは従来のシングルグレード設定から標準グレードの「ZEN(ゼン)」と、仕事や遊びでの使い勝手を高めた「ACTIF(アクティフ)」の、2グレードに変更されている。「ZEN」のボディカラーは3色の新色を含む9色のバリエーションが、「ACTIF」は2色の新色を含む5色の設定。
なお搭載されるエンジンはK4M型の1.6L・DOHC・16バルブのマニホールド噴射式がそのまま搭載されている。出力は105ps/5750rpm、最大トルクは148Nm/3750rpm。トランスミッションはマニュアルモード付き4速プロアクティブATのみの設定。また今回から両グレードともESPが標準装備化されている点も評価できる。