自動車業界向けに自然会話AI技術を提供するセレンスは2022年10月19日、ルノー・グループと電気自動車向けの次世代コパイロット技術の開発に向けて複数年契約を締結したと発表した。
両社は、車両との自然な対話が可能な車内体験の大幅な向上を目的とした共同開発チームを構築し、ドライバーと同乗者に対して、事前に各種機能のアドバイスや説明、提案、容易な操作をガイドする車内コンパニオンを開発することになる。
車載音声アシスタント「Cerence Assistant(セレンス アシスタント)」をベースとした車内コンパニオンは、次世代のルノーのモデルに搭載される予定だ。この製品は、2022年10月17日から23日まで開催中のパリモーターショーのルノーのブースでデモンストレーションが行なわれた。
自然な対話が可能なコパイロットの新機能は、次世代のルノーモデルの「オープンリンク」インテリジェントコネクテッドシステムに搭載され、AI技術の活用により、次のような新たな利用法が可能になるのだ。
・搭乗者に新しい車両機能の初期設定方法やガイドツアーなどを紹介:その時のドライビングと場所、地域に最適なEV充電ステーションを案内。例えば、映画館での駐車時や帰宅途中に寄り道する際は、普通充電器の使用を、高速道路の運転や長距離を移動する際は急速充電器の使用を案内する。
・温度調整や適切なタイミングでの車両のドライブモード推奨など、便利でインテリジェントな機能を予測してドライバーに提案する。
今回の共同開発について、ルノーの最高科学責任者のリュック・ジュリア氏は、「次世代のルノーHMI(ヒューマンマシンインターフェース)におけるセレンスとのパートナーシップは、直感的で自然なインタラクションを提供し、ドライバーと同乗者に真の価値をもたらします」と語っている。
また、セレンスのステファン・オルトマンCEOは、「ルノーの卓越した自動車技術のノウハウは、同社の次世代車載アシスタントの構築に大いに反映されています。Cerence Assistantとセレンスの幅広いAI技術ポートフォリオを核としたルノーの新しい車内コンパニオンは、すべてのルノードライバーにとってより安全で、より楽しく、より生産的な走行を可能にします」と述べている。
電気自動車化を推進するルノー・グループにとって、今後の電気自動車はセレンスの自然会話による音声アシスタント・システムは不可欠なコンテンツと位置付けられており、これは他の自動車メーカーにも大きな影響を与えると予想することができる。