【ルノー】メガーヌエステート試乗記 デザイン、ハンドリング、信頼性が高く、実用性を持つニューカマー

マニアック評価vol159
2012年12月現在、メガーヌのラインアップは5ドアハッチバックと今回追加されたエステート。さらにメガーヌRS(3ドアハッチバック)の3モデル。エステートは11月から国内での販売が開始されたばかりで、Cセグメントに位置するメガーヌにとってボディバリエーションの追加は、販売戦略上大きな後押しになるだろう。


ルノー メガーヌエステート フロント03

ラインアップをおさらいすると、メガーヌルノー・スポール(RS)は2.0Lターボ+6MTで最もホットなモデル。ボディタイプは3ドアハッチバックで、モータースポーツからのフィードバックをハンドリングに活かしたチューニングが行われ、ルノースポール社が開発したモデルだ。その後発売されたのが、量販モデルと位置付けられるメガーヌ5ドアハッチバックだ。こちらは2.0Lの自然吸気エンジンに6速マニュアルモードを持つCVTが組み合わされている。出力は140ps/195Nmというスペック。

ルノー メガーヌエステート フロント01ルノー メガーヌエステート リア02

ルノー メガーヌエステート フロント02ルノー メガーヌエステート リア01ルノー メガーヌエステート サイド

そして2012年11月に追加されたのがエステートで、パワーユニットはメガーヌ5ドアハッチバックと同様の2.0L 自然吸気+CVT仕様である。Cセグメントに属するモデルはBセグメントと並んで、販売激戦区でありユーザーのニーズも多岐にわたる。したがってボディスタイルもハッチバックだけでなく、ワゴンタイプや近年ではクロスオーバー的なデザインのものも出てきて、ますますバリエーションが増えているカテゴリーでもある。ボディサイズはハッチバックより240mm長い全長4565mm×全幅1810mm×全高1490mm(+30mm)でホイールベースは+60mmの2700mmとなっている。

2012年8月にはこのエステートのGTが限定60台で販売されている。このときは左ハンドルで、2.0Lターボ+6MTだったが、即完売という経緯がある。その激戦区へ新たに投入してきたのがメガーヌエステートである。エクステリアは5ドアハッチバックのマイナーチェンジに合わせるようにフェイスリフトが行われ、LEDのポジションランプの採用やボディ同色のサイドプロテクションモーにするなど、先代ハッチバックとは少し印象が異なっている。もちろん、エステートは国内初登場となるので、サイドビュー、リヤビューは初見となる。

ルノー メガーヌエステート リア03

5ドアハッチバックのマイナーチェンジに合わせてモデルラインが整理され、以前はプレミアムラインとGTラインがあり、それぞれグレード違いというより、味付けの違いが明確にあったグレード構成をしていた。プレミアムラインはフランス車らしいストロークのあるやさしい乗り味であり、GTラインはどちらかと言えばドイツ車的なしっかりした乗り味のセッティングをしていた。今回のマイナーチェンジでプレミアムラインはフェードアウトし、GTラインのみ継続販売されることとなった。したがって、5ドアハッチバック、エステートともにグレードはGTラインとなり、スポーティなイメージのあるモデル構成へと変わったわけだ。

ルノー メガーヌエステート ハンドルルノー メガーヌエステート フロントシート02ルノー メガーヌエステート フロントシート03

ルノー メガーヌエステート 運転席ルノー メガーヌエステート ダッシュボード

↑↑  インテリアはスポーティな印象に仕上がっている  ↑↑

さて、実際にハンドルを握ってみると、シートはバケットタイプが用意されシートバックのサイドのホールド性が高い。ヘッドレストには「GT-line」のステッチが入りスポーティさがある。ステアリングやダッシュボードにも赤の印象的なラインが入り、ここでもスポーティさが演出されている。

ルノー メガーヌエステート メーター
3眼メーターでポーティな印象
ルノー メガーヌエステート ペダル
少し左へオフセットしているA、Bペダル

 

メーターは3眼でセンターにスピードメーター、左にタコメーター、右に燃料計とデジタルのインフォメーション表示がされるようになっている。スピードメーターは奇数表示され最高速は270km/hまで刻まれている。ペダル配置だが、左へややオフセットされているものの、それほど違和感のあるレイアウトにはなっていない。おそらく、普通にはわからないレベルと思われる。これはイタ・フラ車を右ハンドルにしたときに多くみられる傾向で、さらにキャビンフォワードしたモデルだと、左へオフセットしながらペダル位置が手前になるという窮屈なポジションになることもあるが、メガーヌエステートでは特に気になるレベルではなかった。

ルノー メガーヌエステート フロントシート01
バケットタイプのシートが用意され、スポーティ度を増している
ルノー メガーヌエステート リアシート
後席膝前の広さはあるがシートバックはもう少し傾斜がほしい

 

ルノー メガーヌエステート ラゲッジルーム01ルノー メガーヌエステート ラゲッジルーム02

リヤシートの広さはクラスレベルの広さを確保しているものの、シートバックの後継角が立ち気味のため、何度も座り直す必要があり、長時間ドライブは疲れる。ラゲッジは6:4の分割ができ使い勝手はよさそうだ。また、積載量も372Lと十分な大きさを持っている。もっとも、フロントシートはアジャスト範囲が広いので、長距離ドライブも気軽にこなせる。

ルノー メガーヌエステート 走り01

走り出してみる。ステアリングの反応は欧州車の基本をしっかり抑えてあり、直進のすわりがよく安心感がある。そのため高速での移動には気を使わず、淡々と距離を稼ぐような走り方ができると感じた。100km/hで2100rpm付近を示すので、エンジン音も静かで静粛性はクラストップレベルだろう。これには、もうひとつ理由があると思う。それは外装処理でパネルとパネルとの隙間を狭くし、風切り音の低減がされていることだ。そして、6速マニュアルモードをもつCVTだが、ステップ式を意識したチューニングが行われており、CVTのネガな部分はあまり感じない。

ルノー メガーヌエステート 走り04

ハンドリングは舵に対する反応が正確で、小舵角でもクルマはわずかに反応するし、切り足しをすればロールとヨーモーメントがそれなりに増す反応を示す。ルノーをよく知るユーザーにはロールが少なく回頭性が高く感じるだろうし、ドイツ車を多く乗ってきたユーザーなら、似た印象を持つだろう。それだけ引き締まったイメージのチューニングがされたモデルということができる。特にフロント周りの剛性を高く感じることができるので、ステアリング操作に対する安心感は高かった。

ルノー メガーヌエステート エンジン
2.0L自然吸気エンジン+CVTという組み合わせ

エンジンはルノー/日産共同開発しているM4R系のMR20型で2.0Lの自然吸気エンジン。汎用性の高いエンジンであるため、日産車にも搭載しているエンジンだ。140ps/195Nmというスペックは平凡で、パンチの利いた加速をするというわけではないが、ハンドリングが良い分ワインディングを快適に走ることは容易であった。

ルノー メガーヌエステート 走り02ルノー メガーヌエステート 走り03

今回の試乗は東京から東名高速を使い、西伊豆方面へドライブした。高速、ワインディング、市街地と全行程450km程度を走り燃費は10km/Lをわずかに上回る程度だった。しかし、テストという側面もあるため全開加速やワインディングでの加減速など、やや過剰に行っている点を考慮すれば、11km/L〜12km/L程度は走るのではないだろうか。

ルノーというフランスのメジャーブランドであり、エクステリアにはそのデザイン性が存分に発揮されている。パワーユニットには日産の技術も投入され、日常使いでの信頼性も高い。そしてルノールポールがチューニングをしたハンドリングといったところがユニークセールスポイントとなるモデルだ。さらに、ボディカラーは6色で、ブラン ナクレM、ブルーマルトM、グリ エクリプスM、ノワール エトワールM、ルージュディナM、マロングラッセMとあり、いずれも味のあるカラーになっている。この外反色もフランス車、ルノーらしい渋い設定で、これ見よがしに乗るブランドではなく、国内で乗りこなすにはそれなりのセンスを要求されそうなモデルだった。

ルノー メガーヌエステート エンブレムルノー メガーヌエステート シフトノブ

 

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COTY
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