【ルノー】ハッチバックEV「ZOE」、次世代0.9L・3気筒エンジンが登場 ジュネーブモーターショー2012

ルノーは日産とのアライアンスを活用し、環境技術の中でEVの開発を優先しており、現状のテンポは日産を凌ぎ、EVに関しては世界No1といえるほどだ。今回のジュネーブショーでは小型ハッチバックのゾエ(ZOE)を発表した。ゾエはディテールまでこだわった美しいスタイリング、使い易いハッチバックのパッケージングを備えたピュアEVで、しかも1万5700ユーロ(フランス国内価格)からという驚きの価格を実現し、今秋2012年に発売するという。なお電池はリース方式で、リース料金は月額79ユーロとしている。


ゾエのボディサイズは全長4084mm、全幅1730mm、全高1568mm、ホイールベース2588mmで、コンパクトカーサイズにまとめている。
容量22kWhリチウムイオン電池を搭載し、新欧州ドライビングサイクル(NEDC)で210kmの航続距離を誇る。技術的には、新世代のブレーキエネルギー回生システム、高効率のヒートポンプ式エアコン、ミシュランの専用タイヤ(エナジーE-V)を採用しているのが注目される。とりわけ、ブレーキエネルギー回生は、従来より大幅に回生率と回生速度域を最大限に拡大しているのが注目だ。


また、ルノーとミシュランで共同開発したEV専用タイヤは、モーターの強力な駆動力を受け止めるコンパウンドやサイドウォール構造を備え、さらに転がり抵抗の低減と、一般タイヤレベルのグリップを備えているという。

このゾエは、同社が開発した「カメレオン」と名付けられた単相〜3相交流まで対応できる充電装置を内蔵し、もちろんスマートフォンによるリモート充電管理システムを用意されている。搭載するモーターは65kW、220Nmの出力だ。

ゾエ以外にパーソナルモビリティを目指したコミューターEVのトゥイジー(日産版の名称はニューモビリティコンセプト)、カングーEVなどをラインアップしている。

EVを強調する一方で、ルノーは環境対応技術を盛り込んだ、新エンジン・ラインアップを出展し、底力を見せ付けた。ガソリンエンジンは、エナジーTCe90(3気筒ターボ)、ディーゼルはエナジーdCi90だ。

dCi90は2011年秋に登場したdCi110の兄弟エンジンである。ルノーは今後16ヶ月間で、エナジーシリーズのエンジンを合計8機種まで拡充するという。


TCe90は徹底したダウンサイジングコンセプトを貫き、排気量899ccの3気筒としている。もちろん、このエンジンは世界トップレベルの燃費を狙った新開発エンジンだ。

このエンジンは現状で最も慣性モーメントが小さい小型ターボと可変バルブタイミング機構を組み合わせ、ドライビングの楽しさと燃費性能の両立を目指しているという。出力は90ps、トルクはワイドレンジで135Nmを発生。自然吸気1.4Lに匹敵する性能を持っている。

コンセプト、技術はF1グランプリ・エンジン直系で、DLCコーティングされたカムフォロワー、カーボンコーティング・ピストン、低摩擦金属蒸着ピストンリングなどを採用し、さらにカム駆動チェーンはテフロンコーティングされフリクションを低減している。ベースエンジンでありながら100ps/Lという高い出力レベルを実現しているのだ。

もちろん、ブレーキ回生、スタート&ストップも装備。また冷却マネジメント、可変オイルポンプも備える。なおこのエンジンはまずはじめに次期型クリオに搭載される予定だ。

cDi90ディーゼルターボは、カングーから搭載される。燃費は4.4L/100km、CO2は115g/kmで、もちろんクラストップの燃費となる。ターボは可変ジオメトリーではなく固定式、低圧EGRを採用している。この1.5L、90psエンジンは5月に発売され、7月には75psのcDi75も追加される予定だ。

このシリーズのエンジンはメガーヌやセニックにも順次搭載していくという。今回のジュネーブではメガーヌの大幅なフェイスリフトも発表され、燃費だけではなくルノーのクオリティ向上を訴求している。


ルノーグループでは、ルーマニアで生産されるダチアのミニバン「ロジー」がワールドプレミアを行った。5人/乗り・2列シート、または7人乗り・3列シートを選択できるミニバンで、価格はなんと9900ユーロ(107万円)から。低価格と走りのよさをアピールし、ヨーロッパ、新興国でのシェア拡大をはかるルノーグループの戦略的なモデルといえる。

ルノー公式サイト

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