2017年7月28日、ポルシェ本社は2019年からフォーミュラEに参戦することを決定した。これに伴い、FIA 世界耐久選手権(WEC)のLMP1カテゴリーからは2017年末、つまり11月16日〜18日に開催されるシリーズ第9戦・バーレーンをもって撤退すると発表した。
なおポルシェ・モータースポーツチームは、911 RSRによるGTカテゴリーに注力し、今後もル・マン24時間レースを含むWECシリーズとアメリカのIMSAウェザーテックスポーツカーチャンピオンシップ、その他の耐久レースにおけるGTカテゴリーへの参戦は継続する。
ポルシェのこの新しいモータースポーツ活動方針は、ポルシェが現在開発中のミッションEがシンボルで示されているよう「ポルシェ ストラテジー2025」の経営方針に沿ったものだという。
ポルシェはすでに2018年秋に始まる2019シーズンに向けて、フォーミュラE車両を開発するための取り組みを始めているという。
ーーポルシェAGの研究開発担当役員のミヒャエル・シュタイナー氏
「フォーミュラEに参戦し、そこで成功を収めることは、われわれが開発中のミッションEの論理的な成果となります。独自に開発したテクノロジーを採用できる自由度が増しているフォーミュラEは非常に魅力的なカテゴリーなのです。ポルシェは革新的なドライブコンセプトに取り組んでいます。極限のレベルで争われるフォーミュラEを、環境性能、効率性そして持続可能性を前進させるための最良の競争の場として捉えているのです」と語る。
またポルシェはGTカテゴリーでの活動をより活発化させるとしている。「多様なマニュファクチュアラーが参戦し、高いクオリティのレースを運営するWECとIMSAに対して911RSRに集中することを決意しました。ナンバーワンになるという目標を達成するには、投資が必要です」とシュタイナー氏は語る。
じつは現在のWECのLMP1に出場しているポルシェとトヨタ・チームは、2019年まで参戦を継続し、そのためにカーボンモノコックの変更はなし、ハイブリッドレギュレーションも大きく変更はしないということをFIAとル・マンの主催者ACOと合意していた。しかしポルシェの離脱により、FIA、AECは再検討を余儀なくされた。
FIA WECは、突然のポルシェの撤退声明に遺憾の意を表した。そしてFIAとACOは、2018年シーズンに向けて、より低コストなイノベーションをもたらすような新たなレギュレーションの導入を早急に検討することにしている。そして、かつてない規則により2018年シーズンは、間違いなく参戦するチーム、パートナー、そして耐久レースファンを興奮させるものになるとしている。