マニアック評価vol296
2014年9月29日に発表された新型プジョー308/308SWに、型式認定取得前というホットな状態で試乗できたので、その様子をレポートする。
新型プジョー308/308SWは2014年11月5日より発売開始されるが、ひと足早く試乗する機会に恵まれた。試乗は型式認定取得前ということでナンバーがない。千葉県袖ヶ浦にある袖ヶ浦フォレストレースウエイというクローズドサーキット試乗となった。
新型プジョー308/308SWは、PSAが新規に開発した新しいプラットフォームとなり、搭載するエンジンは208に搭載している3気筒PureTech1.2Lターボエンジンにアイシンと共同開発した6速ATの組み合わせというフルモデルチェンジとなる。ボディサイズは全長4253mm(4585mm)×全幅1804mm×全高1457mm(1471mm)、ホイールベース2620mm(2730mm)*()内はSW
2014年10月のパリショーで発表するプジョーのポジショニングはプレミアムクラスへのアップグレードを明言し、これまでの位置付けとは少し異なる。そのため、クルマそのものも上級化されている。例えば、ドアの閉まり音やインテリアの質感は間違いなく向上している。
上質な室内に乗り込み「あ~高級になったなぁ」と感じながらふっとステアリングに目をやると、208のときに驚かされた小径ハンドルがこの308にも採用されている。メーターの視認はステアリングの上から見る、独特のポジションになる。
メーターパネルは2眼式なのだが、右側のタコメーターが逆回転するレイアウトになっている。これにも驚かされる。円形の中の針は4時のあたりが0rpmを示し、11時付近が5000rpm、9時あたりはレッドゾーンの6000rpmの表示になっている。視認性などの賛否はあろうが、この遊び心はフランス車ならではのユニークなものだ。
試乗車にはパドルシフトが装備されていたが、コラムポストに固定するタイプだった。6速ATは滑らかにシフトし、上級モデルにふさわしい変速フィールだ。資料ではダイレクト感を強調していたが、トルコンを上手にチューニングし、ロックアップ制御との組み合わせによりスポーティなドライブが楽しめるようなチューニングがされていると感じた。
エンジンは1.2Lで3気筒ターボなのだが、スポーツモードを選択するとサウンドが変わる。実はエキゾーストサウンドチューンもされている。これはスピーカーから流れる音のチューンで、外で聞こえる排気音に変化はないのだ。また、スポーツモードではメーター表示が白から赤色に変わり、アクセルとシフトレスポンスが向上する。さらにステアリングのフィールもよりシャープに変化するようになっているので、気分は盛りあがる。
サーキットの短時間試乗で最も印象に残ったのは、やはりプジョーらしいサスペンションのフィールだった。とてもストローク感があり、フランス車に対する期待どおりのしなやかで、粘りのあるサスペンションだ。
それでいて急激な破綻が起こるわけでもなく、意図的なスピンモードを作ってもタイヤに負荷がかかりつつ回頭する。その瞬間ブレーキに触れても素直な減速をし、ドライバーを不安な気持ちにさせない安心感の高いサスペンションだった。決してアンダー傾向が強く出たり、リヤタイヤの接地感がなくなるようなことがなかった。ちなみに装着するタイヤはミシュランのパイロットスポーツでタイヤサイズは225/45-17。他に205/55-16というサイズもある。
このサスペンションの印象はボディ剛性の高さからも引き出されているようにも感じる。つまり、しっかりしたボディがあるからこそ、サスペンションがしっかり働き、ストローク感のあるフィールを作り出していると感じるわけだ。
ボディの高剛性は超高張力鋼板の採用だけに留まらず、接着材などのボディ組み立ての部分でも新しい技術が投入されていると予測できる。そして高剛性のボディはしっとり感と高級感にも寄与し、安心感を支える基礎にもなっているわけだ。
今回の試乗では高速域でのフィール、路面コンディションが整った条件でのテストだったが、それでも石畳を不快な乗り心地にはならないだろうと想像させるものがあった。
この新型プジョー308/308SWは2014年のジュネーブショーで「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞している注目のモデルであり、詳細なレポートは公道での試乗を待ちたい。
■プジョー308価格
■プジョー308SW価格