
プジョー3008がフルモデルチェンジを受け、ハイブリッドとEVの2タイプのパワートレインで登場した。EVモデルの「E3008」はやや遅れての導入で、2025年内とされている。
今回試乗してきたのは新型3008のハイブリッドで、C+セグメントのクロスオーバーSUV。「ハイブリッド」とステランティスでは命名しているが、内容はマイルドハイブリッド。つまり高電圧ではない48Vのモーターを採用している。

新型3008は3世代目となり、新しいプラットフォーム「STLA-Medium」を採用している。このプラットフォームはC/Dセグメント用に設計された電動車向けプラットフォームで、HEV、PHEV、そしてEVにも対応できるフレキシブルなアーキテクチャーだ。
ボディサイズは全長4565mm、全幅1895mm、全高1665mm、ホイールベース2730mmあり、Dセグメントサイズに迫る大きさになっている。しかし、実際の使用感では全幅の大きさがサイズ感覚を刺激するが、車両から降りて荷物の出し入れなどをしていると、意外と使いやすいサイズに思えてくる。ラゲッジフロアの高さや乗降性の良さなどから、そうした印象を受けるのだと思う。
ラインアップは「アリュール・ハイブリッド」「GTハイブリッド」「GTアルカンターラパッケージハイブリッド」の3モデルがあり、試乗したのはGTアルカンターラパッケージのハイブリッドだ。

さて、ハイブリッドの中身は1.2Lの直列3気筒(EB2DTS型)ターボエンジンに48Vの電動モーターが組み合わされている。出力はエンジンが136psでモーターは16kW(21ps)で、6速DCT(eDCS6)を組み合わせている。モーターは2モーター式で、ひとつはエンジンの出力軸とミッションの間のP2ポジションにレイアウトされ駆動も行なう。もうひとつはベルトドライブのスターター&ジェネレータのBSGになっている。
お気づきのように、このユニットはステランティスグループのモデルに共有されているユニットで、Bセグメントのフィアット600、アルファロメオのジュニア、ジープ・アベンジャーなどと共通だ。ただ、この3008はひとクラス上の車格のため、モーター出力がややアップされており、Bセグ用は6.3kWだが、3008は16kWと出力の違いがある。エンジンは同じ出力で揃っている。これは車重の違いに対応するなど、乗り味に電動感を出すための技術と理解できる。
実際の走行では動き出しはEVで走行し、走行中にもエンジン停止する瞬間はあるが、バッテリー容量0.9kWhと小さいため、EV感は薄い。しかし、エンジンが秀逸で非常にしずかで滑らかなので、EV感を期待せずとも静粛性の高い滑らかな走行フィールは得られる。さらにアイドルストップからの復帰も静かに行なわれ、車両に振動など一切伝わってこない。
乗り味はちょうどいいのだ。ちょっと曖昧な表現だが、プジョーは、時にドイツ車の方向を向くときもあり、しっかり剛性とどっしりした直進性を持たせたモデルになることや、猫足と表現されるロングストークのサスペンションになるときもあった。今回の3008はちょうどいいのだ。これも不思議でフィアット600ハイブリッドでは、しなやかなサスペンションの乗り味があったのだが、プジョー3008では違う味付けになる。もっとも使用するプラットフォームが異なり、標榜するコンセプトも異なるため、乗り味も異なるというわけだ。



さて、プジョーはやはりデザインの魅力が大きいと思う。エクステリアデザインでは、サイドウインドウモールが表に見えないデザインを初採用し、フロントからリヤにかけのシルエットは、キャビンを引き締まった見え方にし、そして薄さも強調され、精悍さも滲み出てくる。




フロントはフレームレスグリルがかっこいい。取り立ててめずらし技術でもないのだが、細部処理なのか、つながりなのか、新鮮に感じられ、中央のブランドエンブレムがプジョーを誇らしく感じさせるのだ。そしてアイデンティティとも言える3本のライオンの爪痕は前後にデザインし、LEDデイタイムランニングライトの役目も担い、ブランドの世界観を発信している。

インテリアは「お〜さすが!」と唸らせるデザインだ。ここまで洗練されているとプレミアムブランドのDSブランドとのカブリも気になるほどで、フランス車らしいおしゃれな内装だ。
インパネからドアトリムに繋がる水平基調の造形がキャビンの広さを見せ、またセンターコンソールへ斜めに切れ込む大胆なラインはインパクト大だ。


そしてドライブセレクターのデザインはまさにDSを思い出させ、高級車装備を匂わせる。上下をカットした異形ステアリングもだいぶこなれてきて、違和感なく操舵でき、このインテリアデザインと、滑らか走り、独特な装備などから特別感がある量産ブランドだとつくづく思う。



そして新開発されたプジョーパノラミックi-Cocpitは21インチのパノラミックスクリーンと融合し、フローティングデザインが、その洗練された工業製品であることが深く突き刺さる。機能面でもカーブドディスプレイになっており、視認性もよいのだ。





