2013年6月30日、アメリカ・コロラド州で行われた第91回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムで、セバスチャン・ローブ(プジョー208T16パイクスピーク)が総合優勝を飾った。タイムは8分13秒878(平均時速145km)、これは2012年にリース・ミレンがマークした9分46秒164を大幅に更新するコースレコードである。
WRCチャンピオンであるローブが駆ったプジョー208T16パイクスピークは、875馬力と圧倒的パフォーマンスを持つ(プジョーマシン詳細)。四輪部門一番手のスタートとなったローブ&プジョーだったが、スタートがたびたび遅れ、チームでは天候の悪化を懸念。スタートを待つ間にローブも「雨雲が来るのが見えた」と、早くスタートをしなければコンディションが悪化するというギリギリの状況。そんな中でスタートしたローブは、プジョー・スポールのコンピュータのシミュレーションタイム(8分15秒)よりも速いタイムをマークした。
「シミュレーションタイムの8分15秒を上回ったのには驚いている」と、走行を終えたローブ。「スタート前は、全開でプッシュするべきか、確実に勝つためにペースを抑えて走るか。どちらの作戦がベストなのか悩んだけれど、最終的には限界まで攻めることに決めたのが良かったのかもしれない」と、パイクスピーク初勝利を振り返った。総合2位にはリース・ミレン(ヒュンダイRMR PM580-T)が入り、タイムはローブから49秒遅れの9分2秒192だった。
また日本勢が多く出場して注目を集めたエレクトリック・ディビジョン(EVクラス)は、TEAM APEVwithモンスタースポーツの田嶋伸博(モンスター田嶋)が、9分46秒530のタイムでクラス優勝を飾った。
走行前に雨が降り難しい路面コンディションとなったEVクラス。走行一番手は予選でトップタイムをマークするなど、イベントウィーク中に常に上位に顔を見せて優勝候補の一角だったミツビシのグレッグ・トレーシー(ミツビシのマシン詳細)。10分23秒649をマークしたが、続いて走行した同じくミツビシの増岡浩が10分21秒866でこれを逆転した。
クラストップに立った増岡だったが、田嶋がウェットとドライの混じる難しい路面コンディションの中で、カットスリックでスタート。昨年の優勝タイムを上回る9分46秒530でトップに立った。続いてアタックしたのは昨年の覇者で2連覇を狙ったトヨタ(TMG)のロッド・ミレン(トヨタのマシン詳細)。しかし10分24秒301とトップ3に及ばず。田嶋がクラス優勝を飾った。
田嶋は「路面は滑りやすく難しいコンディションでしたが、エンジニアと決めたセッティングが良好で、自分がガソリンカーでマークした2011年のコースレコードを電気自動車で超えられたことは大きな喜びです」と語っている。
またオリジナルマシンで出場を続ける横浜ゴム「チーム・ヨコハマ・EV チャレンジ」(詳細記事)の塙郁夫は、大雨によりシステムエラーでフィニッシュ直前にストップ、リタイアとなった。