2012年2月29日、米国のゼネラルモーターズ(GM)とフランスのプジョー・シトロエングループ(PSA)が、資本・業務提携することで合意した。資本関係ではPSAが約10億ユーロの増資を実施して、GMがそれを引き受けることで、GMがPSA株式の7%を取得。PSAではGMが、プジョー家に次ぐ2番目の大株主になる見込みだ。
業務提携の部分では、プラットフォーム、コンポーネント、モジュールなどの共有化と、購買合弁事業(サプライヤーからの共同購入)の創設という2本の柱が示されている。さらに今後の課題として、物流面での協力関係についても検討している。しかしながら、両社が引き続き、独立して競争しながら自動車の販売を行い続けていくことも明言されている。
プラットフォームなどの共有化について、まず両社が取り組むのはスモール&ミディアムサイズの乗用車、MPV、クロスオーバー車だという。共通のプラットフォームで製造された最初の自動車が2016年までに出荷される予定だと、時期が明らかにされたことにも注目すべきだろう。
GMのダン・アカーソン会長兼CEOは、「このアライアンスは両社にとって大きなチャンスをもたらし、GMがヨーロッパにおいて長期的で持続可能な収益を得ることにつながります」とコメント。またPSAのフィリッペ・ヴァリン会長は、「このアライアンスは今後さらに発展させる可能性を秘めています」と述べた。
ちなみに2011年の世界販売台数では、GMが1位でPSAは8位。合計すると1250万台余りという規模になるが、当面はプラットフォームの共通化や、部品の共同購入などで提携のメリットを探ることになる。昨年は過去最高の利益を出して世界トップに返り咲いたGMだが、北米と中国での好調に比べると、欧州市場では依然として苦戦している。そこで復活を遂げるために選んだパートナーがPSAだったということになる。PSAは、創業者一族の経営に対する発言権が大きく他社との業務提携には慎重なため、当初は業務提携が成立するかどうか危ぶまれたが、とりあえず業務提携は締結されることになった。
PSAは、債務危機に代表される欧州の景気低迷の影響を受けて、直近の11年度下期では自動車部門が営業赤字に転落している。GMとの提携は、お互いの弱点を補強しあえるメリットもあると判断したことは想像に難くない。GMによれば今回のアライアンスにより、約5年以内におよそ20億ドルの相乗効果が期待できるとしている。自動車業界の再編の動きに、再び注目すべき時期に入ったと言えるだろう。