【パナソニック/テスラ】パナソニックがテスラへEV用リチウムイオン電池の供給契約をし量産化へ

2011年10月11日、パナソニックとテスラモーターズは、EV車用リチウムイオン電池の供給契約を締結したと発表した。


↑テスラ・ロードスター&モデルS


↑テスラ・モデルS

今回供給するリチウムイオン電池は、テスラの高級EVセダン「モデルS」に搭載されることになっている。パナソニックは、今後4年間でテスラが生産するEV車8万台分以上のリチウムイオン電池を供給することになる。これにより、テスラは既に6000台を超えるとされる予約分を含め、2012年に量産体制に入るとしているモデルSの生産に十分な電池供給量を確保するとともに、モデルSの目標とするコストと利益の実現に目処をつけることができたという。

↑パナソニックが供給する電池は「18650」という汎用規格サイズ

パナソニックとテスラは、次世代電池の開発やEV市場の拡大を加速させるため、すでに協力関係を築いてきていた。2009年に両社は最初の供給契約を交わし、2010年には協力関係の強化とEV産業の成長を実現するべく、パナソニックがテスラに対し3000万ドルを出資している。

パナソニックが供給するリチウムイオン電池は、ニッケル系正極を用いた独自タイプで、高エネルギー密度と出力性能を実現。このニッケル系正極の技術をベースに、パナソニックとテスラは共同で次世代電池を開発、EVの要求を満たす性能や寿命の最適化に取り組んできた。

モデルSに搭載予定の新しい電池は、テスラ・ロードスターでの1500万マイル以上の走行や数1000時間におよぶ電池パック試験により、高性能を実証したという。テスラの共同創業者で会長兼CEOのイーロン・マスク氏は、「世界のリーディング電池メーカーであるパナソニックが、EVの性能や価値を高めるためにテスラをパートナーに選んだことは、我々の技術に対する力強い後押しになる」また、「モデルSのバッテリーパックに、パナソニックの次世代電池が組み入れられることにより、卓越した走行距離と高性能を実現できる。パナソニックと素晴らしいパートナー関係を持つことができて、大変光栄です」とコメントしている。

テスラモーターズは、2010年5月にトヨタと電気自動車の分野で業務提携契約を結び、かつてGMとトヨタの合弁生産工場であったNUMMI工場の一部を買い取っている。なおこの契約締結にはトヨタがテスラ社の5000万ドル分の株式を購入することも含まれていた。

↑テスラのセダン、モデルS。パナソニックからのバッテリー供給で量産化へ

テスラは、2008年発売の最初のモデルであるロードスターについで、4ドアセダンのモデルSを2010年に発売するとし、2009年3月に正式発表したが、その後開発の遅れのために2012年発売としている。

テスラ・ロードスターは、ロータス・エリーゼのシャシーを使用し、カーボンボディ、アルミ製プラットフォームを採用したハンドメイドのスポーツカーである。その一方で搭載するリチウムイオン電池は、自動車専用を開発する他車とはまったく発想が異なり、市販民生用の汎用タイプ(単1乾電池型)を6831個まとめて搭載する。

民生用であるため安価だが、出力が低い、信頼性や耐久性も自動車用電池に比べに格段に低いのが欠点だが、多数搭載し、早期に連化した電池セルを他のセルでカバーするという制御ロジックを採用しているのが特徴だ。高い動力性能、390kmという航続距離は、1235Kgという軽量な車両重量に多量の電池を搭載する手法で、電池重量は約450Kgといわれている。

モデルSは4ドア+ハッチバックのボディで、5座席+補助2座席という居住スペースを確保し、プレミアム・フルサイズセダンを目指し、価格は600万円程度としている。ちなみにモータートルクは415Nm、0→100km/hは5.6秒。航続距離は搭載する電池容量の違いで、250km、370km、480kmの3タイプがあるという。

また、車造りそのものもロードスターで採用した手法は不可能で、量産を前提に、フロントはハイマウント型ダブルウイッシュボーン、リヤはマルチリンクと本格的で、車体も量産性を考慮した構造、材料が求められるはずだ。なお、テスラ社の2011年4月〜6月(第2四半期)決算は売上高が前年同期比約2倍の5817万ドル(約44億8000万円)であったが、最終損益は5890万ドル(約45億3700万円)の赤字(前年同期は3851万ドルの赤字)だった。ロードスターの販売は伸びたものの12年の発売を目指すモデルSの開発・生産投資がかさみ、赤字も大幅に増えたとされている。

同社では、すでに約6000台のモデルSが予約されたと発表している。今回のパナソニックからの電池供給で大きな問題のひとつは解決したが、車両の開発はまだまだ難関を越えなければならないと思われる。

 

パナソニック公式ウェブ

テスラモーターズ公式ウェブ

 

 

 

 

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