2006年に日本を撤退した「オペル」が再び日本市場に帰ってくる。オペルは2020年2月18日に、東京都内でメディア向けの発表会を開催し、最初の投入車種が明らかになった。また日本語のオペルWEBサイトもオープンした。
オペルとは
オペルは1899年に創業した有数の歴史ある自動車メーカーで、第1次世界大戦前に貴族や富豪向けではなく医者など自営業者用の「ドクトルヴァーゲン」がヒット。小型で小回りの効く小型車から、メルセデスに比肩するラグジュアリーカー、高性能レーシングカーまでを製造する有力メーカーであった。
第1次大戦後には「アマガエル」という愛称で呼ばれ低価格でコンパクトなピープルズカーを生産し大ヒットした。そして現在でもオペル車はヨーローッパでは確固とした存在感を持っている。オペルの企業ステートメントは「我らは自動車とともに生きる」だ。
日本市場への攻勢
来日したオペルのミヒャエル・ローシェラーCEOは、「日本の市場は世界でも3番目の規模を持つ市場です。そしてオペルはドイツ車として高い評価を世界各地で得ています。だから、日本市場への再参入は、グローバル市場進出によるビジネスの拡大の重要な一歩と考えています」と語った。
オペル本社は、2021年後半日本市場へ再参入し、さらなる国際市場への攻勢のシンボルとし位置付けている。現在、オペルはフルラインアップの車種を展開しているが、日本市場へはドイツでベストセラーの座を争うCセグメント・ハッチバックの「コルサ」、多用途ファミリーカー(MPV)の「コンボ・ライフ」、CセグメントのSUV「グランド・ランドX」の3車種を導入する。もちろん、これ以後は順次モデル・ラインアップを拡大する計画だ。
オペルの電動化戦略
実はオペルは電動化戦略をいち早く採用しており、「コルサ」は、電気自動車モデル、内燃エンジンモデル、「グランド・ランドX」は内燃エンジン・モデルとPHEVモデルをラインアップしており、こうした電動化モデルも国内に導入する。さらに内燃エンジン・モデルもガソリンとディーゼルの両方をラインアップする計画だ。
もちろん2021年のオペル・ブランドの販売開始を前に、今後数ヶ月をかけて、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸など主要都市に販売ネットワークを構築。2023年には日本の人口面積比で80%以上のエリアをカバーするる販売店網を作り上げるとしている。
なおオペルは、日本においては徹底的にドイツ・ブランド、ドイツ・デザインを訴求する。そのため、販売店は「オペル AUTO HAUS(アウト・ハウス)」とドイツ語表記とする。
また、オペルはヴォクソールと合わせて、「持続的に収益を上げ、電動化を進め、グローバルでのポジションの確立」をテーマに、2020年代の半ばまでにヨーロッパ以外のマーケットで全生産台数の10%の販売台数を確保することが必達目標となっている。そのためオペルは既に日本以外にロシア、アジア、アフリカ、南米にも販売地域を拡大しており、2022年までに20カ国に進出するという。もちろん今後は中国市場への参入も大きなテーマだろう。