ミニのベーシックな3ドア、5ドア、そしてコンバーチブルのマイナーチェンジが2021年5月に行なわれ、今回その5ドアのディーゼルエンジン搭載モデルに試乗してきた。
ミニの可愛らしく愛らしいそのルックスを眺めると、なんだか穏やかな気分になるものだが、走り出してみると、相変わらずその攻撃的な走行キャラクターには笑いが止まらなくなる。走りとデザインのギャップがこれほど大きく感じるモデルも少ないだろう。
ダイナミック性能ではゴーカートフィーリングとよく言われるが、ステア、アクセル、ブレーキといった曲がる、止まる、走ることに関してのダイレクト感は紛れもなくスポーツカーのそれだ。
今回試乗したクーパーSD5ドアには2.0Lディーゼルターボエンジンに8速ATが組み合わされ、170ps/4000rpm、360Nm/1500-2750rpmの出力がある。プレミアムCセグメントクラスに多くみられるスペックだ。
トランスミッションは8速ATを搭載しているが、クーパーSD以外では7速DCTを搭載している。エンジンラインアップは1.5Lと2.0Lがあり、それぞれガソリンターボとディーゼルターボがラインアップし、大幅な変更は今回行なわれていない。
もともとディーゼルエンジンの特徴として低回転域でのトルクが大きいことから、レスポンスが伴うとガソリン車よりも扱いやすいと感じる場面が多々遭遇する。ほんの僅かアクセルを踏むだけでクルマが反応すれば、ステア操作にもレスポンスが欲しくなってくる。そうしたスポーツカーに求める性能と同様にこのクーパーSDはレスポンスしてくるのだ。
今回のマイナーチェンジではエクステリア、インテリアのデザイン変更が中心で、4タイプのデザインパッケージもラインアップに加わっている。
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もともとミニ自体がカスタマイズを楽しむことが伝統的に行なわれてきているモデルだけに、ユーザーもサードパーティを含めカスタマイズを楽しむ傾向が強いモデルと言える。そうしたユーザーニーズへ応えるラインアップと意匠変更というのが今回のマイナーチェンジだ。
さらに安全装備類のアップデートが行なわれていることは大きな変更のひとつ。コネクテッドも含めて、これらの機能は個体専用装備ではなくBMWモデル全車に装備されていく機能だけに、アップデートは順次行なわれているのだ。
一方でブランドにおける品質要素を分析する狩野モデル(商品の品質要素の分析)から引用すれば、ブランドには「魅力品質」があって、これは無くても商品は成り立つが、あるとライバルとの違いや魅力になる品質で、例えば、すごくきれいなボディ塗装とかであり、アウディの組み立て精度の高さやマツダのMBD開発から産まれたソウルレッド塗装などが当てはまる。
そして「一元的品質」というのがあって、あればあるほどユーザーが喜ぶ品質で、例えば、レザーの質感とか、走行性能などが相当する。それと「当たり前品質」がありこれは、無ければ商品にならない品質だが、あってもユーザーの満足にはいたらない品質で、今の時代であれば、エアコンとかが相当する。
いずれも技術の進歩によっていつでも当たり前品質になってしまう可能性を含んでいるものの、ミニには魅力品質と一元品質を継続する力を備えたモデルだから、多くの人に長く愛され続けているということが言えるのだろう。<レポート:髙橋明/Akira Takahashi>
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