メルセデス・ベンツ日本は2022年7月14日、 電気自動車シリーズ第3弾となる「EQB」を発売した。メルセデス・ベンツの電気自動車シリーズは、これまでEQC、EQAがラインアップされており、この「EQB」が3機種目になるが、より上級のEQEセダン、最上級のEQSセダンの日本導入も予告されており、日本市場においてもメルセデス・ベンツのBEV化の波は押し寄せてきている。
EQB(開発コードはX243)は、全長4685mm、全幅 1835mm、全高1705mm、ホイールベース2830mmで、Dセグメントに相当する5ドア/ハッチバックだ。ロング・ホイールベースを活かした3列シート/7人乗りで、シートを折り畳めば大きな荷物も搭載できるなどステーションワゴン的な使い勝手を持つ電気自動車だ。
EQBは2021年春に中国で発表され、中国でのFF駆動モデルの販売が開始された。そして年末からヨーロッパで4MATICモデルも含めて販売が開始され、2022年からアメリカで販売が開始された。したがって、コンセプト的には中国市場における小型MPVという狙いで開発されている。
EQBのラインアップはフロントに永久磁石同期型モーターを搭載するFF駆動のEQB 250、前後アクスルにモーターを搭載するEQB 350 4MATICの2機種だ。
EQB 250のモーターは190ps/385Nmを発生。EQB 350 4MATICは前後のモーター(フロントは非同期型、リヤは永久磁石同期型)の合計出力は292ps/520Nmと強力だ。動力性能は、EQB 250の0-100km/h加速は8.9秒、最高速度は160km/h(リミッター作動)。EQB 350 4MATICの0-100km/h加速は6.2秒、最高速度は160km/h(リミッター作動)となっている。
なおEQB 350 4MATICは、通常はリヤのモーターで駆動し、高負荷時など運転状況に合わせてフロントモーターも駆動する前後可変駆動配分システムとなっている。
回生ブレーキは手動選択式で、「D+」は回生なしのコースティング、「D」は軽度の回生ブレーキ、「D−」は中レベルの回生ブレーキ、「D Auto」は前走車との車間距離、登坂/降坂などの道路状況などにあわせる最適な強度の回生ブレーキが選択できる。このため、ワンペダル・ドライブを行なうことはできない。
いずれのモデルも搭載するリチウムイオン・バッテリーの容量は66.5kWhで、WLTCモードでの航続距離はEQB 250が520km、EQB 350 4MATICは468kmとなっている。
充電は、200V普通充電は6kWまで、急速充電はCHAdeMO規格で最高100kWの高出力に対応している。
EQBのデザインは、EQシリーズ共通のプログレッシブ・ラグジュアリーがテーマになっており、前後のオーバーハングが短いBEVならではのプロポーションを持つ。一方でボンネット高さが高く、キャビン部の高さもあり、都市型クロスオーバーらしい逞しさを感じさせるフォルムになっている。なお、高速での電費を向上させるためボディ細部まで空力的なチューニングが行なわれ、Cd:0.28を実現している。
インテリアもEQシリーズ共通のデザインテーマとなっており、アルミルックのチューブ形状のデザインがドア、コンソール、助手席側ダッシュボードなどに採用されている。インフォテイメントはMBUXを踏襲。
EQBは3列シートのレイアウトだが、3列目シートは成人用としては窮屈で、通常は折り畳んで使用することになる。2列目シートは前後に140mmのスライド調整が可能。シートバックは6:4の分割可等式になっている。
キャビン内のエアコンはヒートポンプ式を採用。また、プリエントリー・クライメートコントロールも装備しており、乗車前にMBUXやMercedes meアプリで出発時刻を入力しておくと、冬にはウインドウの霜を除去したり、夏にはあらかじめ室内を快適な温度にしておくこともできる。ECOモード走行時には、室内の快適性を損なうことなく、エアコンを緻密に自動制御することにより、消費電力を効率的に抑え航続距離の延長に寄与する。
インフォテイメントのMBUXは、自然会話式の音声認識による車両操作に加え、BEV専用のプログラム、さらに「充電ステーションを探して」、「出発時刻を8時に設定して」など、電気自動車の機能にも対応している。
またエレクトリック・インテリジェンス・ナビゲーションは、ナビゲーションのマップデータから得た勾配情報、充電ステーションの位置情報、車両の充電状況、気温情報などを総合的に判断し、どこで充電すべきかも含めた適切なルートを案内することができる。
運転支援システムは、従来のメルセデス・ベンツ同様に最新のシステムを搭載しており、通信によるコネクテッドサービスも完備していることはいうまでもない。