メルセデス・ベンツCクラスにクロスオーバーモデル「ALL Terrain」が2022年1月に加わり、早速試乗してきたのでお伝えしよう。
現行のW206型Cクラスは2021年6月に国内発表され、その時はセダンとステーションワゴンのボディタイプをお披露目した。ハイライトはSクラス並みの装備とルックス、そしてガソリン、ディーゼルともにISGを搭載した電動化モデルというのもトピックのひとつだった。
今回の試乗車は、W206型ステーションワゴンの最低地上高を+40mm高くし、フェンダーアーチを黒く縁取りした「Cクラス オールテレイン」だ。ステーションワゴンよりロードクリアランスがあり、アプローチアングルやデパーチャーアングルに余裕があるモデルになる。
ボディサイズは前後バンパー形状が変更されているため、若干サイズ変更がある。ワゴンと比較し全長は4760mmで+5mm、全幅は1840mmで+20mm、全高は1495mmで+40mm。ホイールベースは変更なく2865mm。全幅はホイールアーチにカバーが装着された分幅広になっている。しかし一般的な立体駐車場に入るサイズには収めている。
今回導入されたオールテレインは「C220d4MATIC オールテレイン」で、パワートレインは2.0L 4気筒ディーゼルターボにISGを搭載したマイルドハイブリッドだ。ISGはトランスミッションとエンジンの間に配置されるレイアウトで20ps(15kW)/208Nmの出力のモーターを搭載している。価格は796万円。
エクステリアデザインやインテリア、そして安全装備類などはいずれもW206型Cクラスに準ずるもので、オフロードを意識したデザインになっている。
Cクラスにはオールテレインモデルが初投入となるが、その背景はEクラスのオールテレインの人気が高く、ボディサイズがDセグメントサイズで欲しいという声が世界中にあり、Cクラスオールテレインの誕生になったということだ。
+40mmの最低地上高になったことで、ノーズ下部を打つ心配はなくなり、アプローチアングル拡大は安心材料として実感できる。
さて、試乗してみるとドライビングポジションでは、シート下端は当然高くなっているが、実際にはシート高の調整機能を使うためワゴンとの違いは大きくは感じない。それでいてクリアランスの安心感がプラスされるのだからありがたい。
また黒いフェンダーアーチと前後バンパー下のシルバークロームアンダーライドガードの存在で、クロスオーバー感が強調される。
W206型になってロングノーズとなり、後退したキャビンのサイドビューは素直にかっこいい。シングルルーバーのフロングリルデザインもオラオラ感はないものの、センターにある大きなスリーポインテッドスターがメルセデスであることを主張し、存在感がある。
こうしたスタイリッシュなエクステリアと存在感、そしてクロスオーバー故に親しみを感じさせるというのがオールテレインの特徴のひとつだと感じられるのだ。
インテリアの豪華さはSクラス譲りで、センターコンソールからダッシュボードへと途切れなく続くデザインに11.9インチの大型ディスプレイ、メーターパネルには12.3インチのデジタルメーターと続き、ドライバーの指紋認証、あるいは音声認識する生体認証機能をもっていることなど、プレミアムブランドらしい豪華装備に満足度も高い。
さらに9速もあるトランスミッション、エンジン始動にはISGが活躍しディーゼルエンジンでありながら振動のないエンジンスタートを行なう。このメリットは大きく、始動時のブルンと震える振動がなく、滑らかにディーゼルエンジンがかかるのは、高級感がプラスされる。フロント4リンク式、リヤマルチリンクのサスペンションはしなやかに動き、そして静粛性の高い室内で上質さを満喫できる。
手にすれば、明らかに暮らしを彩るアイテムになることは間違いなく、ひとクラス上の水準に引き上げてくれる魅力たっぷりのオールテレインだと感じた。<レポート:高橋アキラ/Takahashi Akira>