メルセデス・ベンツ日本は、「新型メルセデスAMG GT4ドアクーペ」を2022年1月20日に発表し、予約注文の受付を開始した。
「メルセデスAMG GT4ドアクーペ」は、メルセデスAMG社の独自開発による新たなスポーツカーだ。広い室内空間および4ドアの利便性を兼ね備えて おり、パフォーマンスやデザイン性を求めながらも、日常生活での使い勝手にも妥協をすることができないユーザーニーズに応えるモデルだ。
新型メルセデスAMG GT4ドアクーペの特長
「GT43」と「GT53」には、直列6気筒エンジン「M256」と「インテグレーテッド・スターター・ ジェネレーター(以下ISG)」を搭載。ISGはエンジンとトランスミッションの間に配置された、最高出力21PS(16kW) 、最大トルク250Nmを発生する電気モーターで、オルタネーターとスターターの機能も兼ねている。
この電気モーターと「48V電気システム」により、従来のハイブリッド車のような回生ブレーキによる発電を行ない、約1kWhの容量のリチウムイオンバッテリーに充電する。エンジンが低回転時には、その電力を利用して動力補助を行なうことで、高い効率性と、力強い加速を実現。
スターターが従来より高出力な電気モーターとなることで、エンジン始動時の振動を抑え、エンジンスタートおよびアイドリングストップの際の再スタートの快適性が向上している。また、アイドリング時には、電気モーターの充電電流を調整することで、エンジン回転数を低回転で安定的に保つことを可能にし、効率性、快適性および静粛性に寄与する。
さらに、このモーターはシフトチェンジ時にも使用され、エンジンが理想的な回転数に達するまでの時間を最小限に抑えるためのアシストも行なっている。そのため、シフトチェンジに必要な時間が短縮され、スムーズでタイムラグの少ないシフトチェンジが可能だ。
「M256」エンジンは、直列6気筒レイアウトの採用によりエンジン左右のスペースに補器類を配置することが可能になったことに加え、従来はエンジン回転を動力源としていたエアコン、ウォーターポンプなども電動化されたため、エンジン前部のベルト駆動装置が不要となり、よりコンパクトなエンジンになっている。
また、エンジン近接型の触媒を採用し、より効率的な排出ガス処理を可能にし、さらに、12mmオフセットされたシリンダーや、シリンダーウォールにスチールカーボン材を溶射コーティングするNANOSLIDE摩擦低減加工を施すことで、フリクションを低減しており、高回転まで伸びやかな加速と振動が少ないという特徴を実現している。
さらに、ターボが効果を出しづらい、低回転域で過給を行なう「電動スーパーチャージャー」を搭載することにより、ターボラグを解消している。「電動スーパーチャージャー」と「ISG」による動力補助および排気ターボチャージャーとの組み合わせで、あらゆる回転域で俊敏なエンジンレスポンスを実現している。
「GT43」は最高出力367PS(270kW)、最大トルク500Nm、「GT 53」は最高出力435PS(320kW)、最大トルク520Nmを発揮。
ドライブモード
高性能エンジンのパワーを四輪に最適配分するメルセデスAMGが開発した四輪駆動システム「AMG 4MATIC+」を搭載。前後トルク配分が50(前):50(後)から0(前):100(後)の範囲で可変トルク配分を行なうことで、ハイパワーを四輪へ最適に配分。発進時はもちろん高速走行、ハイスピードコーナリング、そしてコーナーの立ち上がり加速などにおいて絶対的な安定性を誇り、思いのままのドライビングを 楽しむことができる。
ドライブモードは「GT43」と「GT53」で5モード用意されており、センターコンソールのAMG DINAMIC SELECT およびAMG パフォーマンスステアリングのスイッチで様々な状況に最適な制御を選択することができる。
各ドライブモードでは、エンジン、トランスミッション、サスペンション、エグゾースト、ステアリングの制御が変更可能な他、各モードに自動選択される「ベーシック」、「アドバンスト」、「プロ」、「マスター」の4つのモードがあり、四輪駆動システムやESPの制御を変化させている。
例えば、ドライブモード「レース」「マスター」モードは、ヨーレートの引き上げや、アクセルペダル、ギアシフトシステム、リア・アクスルステアリング、リアの電子制御リミテッド・スリップ・デフ、あるいは四輪駆動システムのブレーキ力配分のレスポンス高速化などを行なっている。
また、ドライブモードとは独立して、マニュアルシフトへの切り替えや、車高およびエグゾーストサウンドの調整などがセンターコンソールの液晶表示ボタンで操作することができる。
サスペンション
従来のマルチチャンバーを備えたAMG RIDE CONTROL+エアサスペンションに、新たにダンパーの外側に2つの圧力制御バルブを追加。1つはリバウンドダンピングを制御するバルブ、もう1つはコンプレッションダンピングを制御するバルブだ。
これにより、ホイールのリバウンドと収縮のステージをそれぞれ別個に制御することが可能となり、最小減衰力と最大減衰力の特性差を広げ、快適性を高める一方で、スポーティなドライビングダイナミクス の両立を実現した。
メルセデスAMG GT4ドアクーペのシャーシの開発では、モータースポーツの分析およびシミュレーション手法が採用されている。
フロントセクションは非常に剛性が高く、正確なステアリングとフィードバックが得られる。中央部からリアエンドは、ガセットやクロスメンバーを追加、ラゲッジフロア部にCFRPを採用するなど軽量、 高剛性を実現している。
デザイン・装備
「メルセデス・AMG GT4ドアクーペ」は、快適な後席環境や積載性を確保する一方、メルセデス・ベンツの「Sensual Purity(官能的純粋)」というデザインの基本思想にのっとって、官能的なスタイリングに仕上げられている。
フロントは、伝統的なクーペの構造的特徴であるロングボンネットと二つのパワードームが採用されている。上下方向に細く、幅の広いデザインのマルチビームLEDヘッドライト、AMGのトップモデルが纏う、縦にルーバーが入ったAMG専用ラジエター グリル、逆スラントした「シャークノーズ」、流麗な「Aウイング」デザインなど、AMG GTファミリーならではのパフォーマンスを感じさせるデザイン要素をふんだんに盛り込んでいる。
リアにも上下方向に細いLEDリアコンビネーションランプやリトラクタブルリアスポイラーなどAMG GT ファミリーの特徴が表現され、「GT43」と「GT53」には円形のデュアルエグゾーストエンドが採用されている。
サイドはサッシュレスウィンドウと後方に向けて大きく傾斜した上下方向に細い ウインドスクリーンを採用し、4ドアの利便性を持ちながら、クーペの流麗なルーフラインも保っている。
「メルセデス AMG GT4ドアクーペ」のインテリアの大きな特徴は乗車定員が 5人であること、そして高い積載性だ。
リアシートは大人であっても十分な空間が確保されており、ラゲッジスペース容量は最大で456リッター、さらにリアシートを格納した場合、最大1,324リッターまで広がる。
MBUXインテリア・アシスタントを標準装備(全モデル)
インテリアデザインは高級感がありながら、パフォーマンスの高さも感じさせるデザインで、面積が広く、ワイドさを強調するインテリアトリムやタービンエンジンを想起させるエアアウトレット、2つの高精細12.3インチワイドディスプレイを一枚のガラスカバーで融合したコックピットディスプレイなど、基本デザインを最新のメルセデス・ベンツモデルと共有している。
MBUXでは、手のジェスチャーで様々な操作が可能になった。例えば、Vサインによって、お気に入りの機能のショートカットをメディアディスプレイに表示したり、ルームミラーの下で手を上下させることでリーディングライト、助手席シート上方に手を伸ばしてサーチライトのオン・オフができるなど、利便性が向上している。