メルセデスAMG GTスペシャルインタビュー AMGの新戦略の意義

雑誌に載らない話vol115

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プレゼンでも熱弁をふるうAMG取締役会長トビアス・ムアース氏。AMGの新戦略について話を聞いた

メルセデス・ベンツのAMGから新たにデビューしたAMG GTの試乗会時に、ドイツ本社からAMG社の取締役会長トビアス・ムアース氏が来日していた。そして、プレスにはテーブルインタビューという形で多くのメディアに囲まれながら、記者たちの質問に応えていた。そこから見えてくるあらたなAMGブランドは、ユーザーにとって嬉しい情報がもたらされたものだった。

そのあらたなブランド展開に伴い、AMGのトビアス・ムアース氏は今後AMGファミリーが増え、派生モデルもリリースしていくと話す。2014年AMGはグローバルで4万7632台を販売し、その数を増やす方向へシフトとなり、間違いなく2015年は5万台を超えるという。しかし台数については常にドイツ・アファルターバッハの本社内でも議論があるという。DSCN8319

これまでAMGの超高性能スポーツモデルはドイツのAMG本社アファルターバッハでエンジンが組み立てられ、ボディはオーストリアのマグナシュタイヤー社で製造されていた。それを今回、完全自社製造開発へと変更し、エンジンはこれまで通り「one man one engine」の哲学の元、AMGマイスターと言われるエンジニアが一人1エンジンの組み立てを行なう。そしてボディはドイツ・ジンデルフィンゲンにあるメルセデス・ベンツの本社製造工場に移され、そこで高度な職人技術を持つエンジニアによってボディが製造されることになった。

とはいえ、生産台数への疑問符について、ひとつにはこの製造工場での生産能力を挙げていたが、AMGとしてのブランド力という観点からも議論されていると想像する。

ムアース氏は「AMGのブランドはスポーツカー、ハイパフォーマンスカーのブランドとしてアプローチしやすいブランドになることがターゲットですが、エクシクルーシブであることに心配はありません。われわれはエンジニアリング主導の会社であり、バックグランドはレースであり、エンジニアであり、その精神が推進力になっていて、限界を追及し妥協しないというのが私たちのブランドアイデンティティでもあります。それを私たちはインナーフォースと呼んでいます」と説明するように、AMGは創業者アウフレヒト氏のレース好きの精神を受け継いでいるということを暗に言っているのかもしれない。DSCN8321

そして、メルセデス・ベンツ社の匠たちは妥協せず、極限を追求する姿勢を持って開発しているということも強調する。だから「ボリュームが増えたとしても、なにかの問題が起こるという心配はありません」と自信を見せるわけだ。

これは、ブランド価値について投げかけた質問に対しての回答で、S63 AMG やこのGT Sがブランドヒーローであり、スポーツカーとしてのアンバサダー的役割を担うモデルであるとも続けた。さらに「ターゲットとしてどのセグメントでも競合他社と競争して表彰台に上がることだ」と。もちろん具体的なレースでの表彰台も意味するが、市販車マーケットにおいてもトップに君臨するブランドであるということを意味する。メルセデスAMG GT詳細解説019

このAMGの新戦略によって、AMGファミリーが増え、派生モデルも続々と出てくるわけで、おそらくAMGの価格はもう少し手の届くモデルが増えるのではないかと予測する。したがってこれまでのAMGに対するイメージは少し変化してくるのかもしれない。そして、このことは、ごく一部のお金持ちを除けば、多くの富裕層にとっては非常に嬉しい話となるだろう。

この新戦略はBMWのMをターゲットとした戦略と受け取れ、アウディのクワトロ GmbHやフォルクスワーゲンのR GmbHなども視野に入れた新たなブランド戦略へシフトしたということを意味するのだろう。 _I6X3406

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