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メルセデス・ベンツは2019年7月4日、2.0L直噴ターボエンジンを搭載するコンパクトクラスの中で世界No1の動力性能、究極ドライビング・ダイナミクスを備えた、スーパースポーツモデル「メルセデスAMG A45 S 4MATIC+」、「メルセデスAMG CLA45 4MATIC+」を発表した。
新開発エンジンで422psを発生
現行モデル(W176型)のメルセデスAMG A45 4MATICは、2.0L(M133型)直列4気筒DOHCツインスクロールターボで381psを発生し、このクラスで最もハイパワーモデルだったが、W177型となったニューモデルではそれでも飽き足らず、ついに422psという途方もないパワーを発生するエンジンを搭載している。
より正確にいうと、W177型のメルセデスAMGモデルは、「AMG A35 4MATIC」と、「AMG A45 4MATIC+」、そして「AMG A 45 S 4MATIC+」という3種類のモデルを新たにラインアップし、このコンパクトなスーパースポーツ・モデルをさらに強化しようとしている。
「メルセデス・ベンツAMG A 35 4MATIC」は2018年12月に発表されたAクラスのAMGモデル第1弾で、A220、A250(いずれも日本未導入)と共通のM260型2.0L 4気筒エンジンをAMGチューニングして306ps/400Nmを発生。駆動方式は4WDだ。2.0Lエンジンで306psというレベルは十分すぎるほどハイパワーだが、メルセデスAMGとしてはそれだけにとどまらず、よりハイパワーエンジンを搭載する「AMG A45 4MATIC+」を設定した。
メルセデス・ベンツとしては、2.0L横置きエンジンを搭載するCセグメントで、BMWや、アウディ、フォルクスワーゲンなどのCセグメントスポーツモデルを突き放すようなダントツのスポーツモデルを作るというポリシーは徹底している。
M139型エンジン
AMG A45 4MATIC+に搭載されるのはM139型の2.0L 4気筒直噴ターボだ。実は従来型のW176型のAMG A45 4MATICはM133型エンジンだった。M133型は2013年に登場しており、他のAクラス用2.0Lエンジンとは違って、ほとんどがハンドビルドされるAMG専用の高出力エンジンで、リッターあたり出力190ps/Lという出力レベルで、かつての三菱ランサーエボリューションX用エンジンに次ぐ高出力市販2.0Lエンジンであった。
今回のW177型AMG A45 4MATIC+に搭載されるM139型はこのM133型の後継エンジンとして開発され、リッターあたり出力はなんと210ps/Lとなり、文句なしに2.0L 4気筒では史上空前の世界一高出力なエンジンとなる。このM139型エンジンは387ps/480Nm仕様と、「S」モデル用の422ps/500Nm仕様の2タイプが設定されている。もちろんこのエンジンも、1基あたり1人の熟練工が責任を持って仕上げるシステムだが、最新の生産設備を使用し、最新のインダストリー4.0の技術を併用して高精度に組み立てられるのも特長だ。
このエンジンは、自然吸気スポーツエンジンのように鋭くレスポンスし、387ps仕様では480Nmを4750-5000rpmで発生。422ps仕様では500Nmを5000-5250rpmで発生する。そしてエンジンの最高回転数は7200rpmと高い。ダウンサイジングターボのように低速トルク型ではなく、リニアにトルクが盛り上がるスポーツカーにふさわしい特性になっている。
またエンジンレイアウトは前方吸気、後方排気を採用し、エンジンルーム内の空力特性を高めている。ターボはツインスクロール式で軸受はローラーベアリングタイプとしている。最高過給圧は2.1barで、市販エンジンでは最高レベルだろう。
なおターボ本体は油水冷に加え冷却風を導入してより冷却性能を向上。また高過給圧を使用するため「S」モデルは2ステージ式インタークーラーが初採用されている。
シリンダーはチルキャスト重力砂型鋳造で、クローズドデッキ構造とし、最大160barの燃焼圧に耐える高強度な構造だ。シリンダー面はF1エンジンにも使用されるナノスライド鏡面処理が加えられている。
インジェクターは200barの高圧直噴を行なうピエゾ インジェクターと6.5barの電磁バルブ式による低圧のマニホールド噴射を併用するデュアル噴射システムを採用している。マニホールドへの噴射は高負荷時に作動する。
エンジンの冷却は完全2系統冷却式で、シリンダーヘッド部は機械式ポンプで、クランクケースは電動ポンプで冷却水が循環するシステムだが、低・中負荷では電動ポンプは停止し、シリンダーヘッド、ターボなど高温系のみが冷却される仕組みだ。
8速DCTと「4MATIC+」
トランスミッションは専用開発されたAMGスピードシフトDCT-8G(8速DCT)で、その名称に違わず1000分の1秒のレベルでチューニングされた超クイックシフトが実現している。シフト/ドライブモードは、スリッパリー、コンフォート、スポーツ、スポーツ+、レース、マニュアル、インディビデュアルが設定され、レースモードではローンチ制御、シフト時のバックファイア音も発生するようになっている。このバックファイア音は点火タイミングを意図的にずらすことで発生させている。
駆動方式は4WDで、新名称の「4MATIC+」とはAMGトルクコントロールシステムを新採用し、アクティブ制御による完全可変前後配分を採用している。リヤホイールにより大きな駆動トルクを配分。さらにリヤの左右輪には「AMGトルクコントロール」と呼ぶ多板クラッチを備えており、これによりトルクベクタリング効果を生み出すとともに、ドリフトモードが可能になっている。
A45 S 4MATIC+の0-100km/h加速は3.9秒(CLA45 S 4MATIC+:4.0秒)そしてA45 4MATICの0-100km/h加速は4.0秒(CLA45 4 MATIC+:4.1秒)だ。最高速度は電子リミッターで250km/hに制限されているが、Sモデルは工場出荷時に270km/hに設定してある。
デザイン
新しいメルセデスAMG A45 4MATIC+(ハッチバック)、メルセデスAMG CLA45 4MATIC+(4ドアクーペ)モデルは、これまでのW176型よりさらにアグレッシブな、ひと目見て強烈なパフォーマンスを備えたモデルであることがわかるようにデザインされている。
エクステリア デザインは、たとえクルマが駐車していても、驚異的なダイナミック性能やドライビングプレジャーを備えていることがわかる。またAMGの高性能モデルファミリーであることがわかるように、このコンパクトクラスにも初めて、よりワイドで12個の垂直ルーバーを備えたAMGラジエーターグリルが採用されている。
フロントエンドはシャークノーズ、スリムで深く埋め込まれたヘッドランプ、そしてパワードームの付いたフラットなボンネットは、フロントセクションをより低く見せ、ボディフォルム全体をウエッジシェイプとする起点になっている。
A45 4MATIC+の強い存在感は、ワイドなフロントフェンダーにより強調される。一方、CLA 45 4MATIC+はもともとワイドなフロントトレッドでフェンダーはA45 4MATIC+ほど張り出していない。
サイドビューでは、ワイドなAMGサイドスカートがこれらのコンパクトスポーツカーをより低く見せている。なおこのサイドスカートは シルバークロームパッケージを選ぶとインサート部はシルバークロームで、AMGナイトパッケージを選ぶと高輝度のブラックとなる。
標準モデルのホイールは10スポークデザインの8.5J×18インチで、タイヤサイズは245/40R18が組み合わされる。より高出力な「S」モデルは、A45 S 4MATIC+の場合は8.5インチ幅、CLA45 S 4MATIC+の場合は9インチ幅の5ツインスポークデザインの19インチホイールを装備し、タイヤサイズは245/35R19、255/35R19(CLA 45)を装備する。
標準モデルのブレーキは、白いAMGの文字が描かれたグレー塗装のブレーキキャリパーを備え、Sモデルは、黒いAMGの文字が描かれた赤い塗装の6ピストン ブレーキキャリパーを備える。
ボディ
このモデルのボディはべースのAクラスに比べ、大幅に強化されている。これは、高速走行時にもトレッド剛性、キャンバー剛性を高め、より正確なステアリング反力特性を得るためだ。
エンジン下面にはボルトで固定された軽量のアルミニウムプレートが追加され、せん断抵抗力を高めることで車両前端でねじり剛性を向上させている。さらにフロントサスペンションのストラットタワー部はタワーブレースバーによって補強されている。
これらによりサイドメンバーをAピラーにより強固に結合させ、フロントセクションの動きを最小限に抑えている。アンダーボディの前部と後部の斜めのブレースにより、さらにボディ底面の剛性を向上。その結果、サスペンション システム全体が限界域でも非常に正確に反応でき、前後車軸の縦方向と横方向ののねじれが大幅に減り、ローリングやピッチングを軽減している。
なおサスペンションはオプションで「AMGライドコントロール アダプティブ ダンピングシステム」も選択できるようになっている。
この強烈なAMG A45 4MATIC+シリーズは、2020年モデルとして発売される予定で、ヨーロッパでのデリバリーは2019年秋から開始されると予想されている。