Aクラスの上級モデルA250 シュポルトがモデル追加された。シュポルトはSPORTの意でドイツ語読み。搭載するエンジンがA180の標準モデルは1.6Lターボで、250シュポルトは2.0Lターボ。そのため出力にも差がある。そしてAMGがセットアップしたという、とてもスポーティなA250SPORTとはどんな乗り味だったのかレポートしよう。
まずA250SPORTの価格は420万円。標準モデルのA180は284万円。エンジン出力では210ps/350NのSPORTに対し、122ps/200NmというA180。トランスミッションはともに7速のDCTを搭載している。パワーがこれだけ異なれば当然サスペンションのセッティングも異なり、そのチューニングにはAMGのテクノロジーが注入されている。
乗り出してみると、まずアシが固いという第一印象を持つ。低速でも高速でも一様に固く、路面コンディションの悪い場所では跳ねてしまいそうなほど。サーキット走行も視野に入れたセッティングなのか、日常使いとしては固めのセッティングだが、これがAMGの考えるスポーツサスペンションということなのだろう。ちなみにタイヤサイズは235/40-18でA180は225/45-17が標準装備だ。
もっとも、道路環境の違いというのも考慮すると、日本の高速道路の凸凹など荒れ具合はドイツからしたら想像できないだろうし、制限速度域の違いも大きいので、スポーツモデルとしての許容範囲は変わってくる。
ステアリングの反応も敏感で微小舵でもレスポンスする味付けになっている。ただ、操舵しているときに外乱が入ると、タイヤが取られるのを修正しようとする電動パワーステアリングのゲインを感じることもあったので、このあたりはサスペンションとタイヤサイズ、電動パワーステアのチューニングなどのせめぎ合いがうかがい知れる。
また、操舵フィールとしては標準車は軽めに感じたが、A250 SPORTではほどよい重さと路面からのインフォメーションは得られ、さすがスポーツモデルという印象だった。
エンジンは210ps/350Nmなので十分にパワフルで力強く、スポーティな走りを可能にする。そして7速DCTもA180よりシフトチェンジのレスポンスは早く感じた。特にタコメーター自体がチューンされ、シフトチェンジをすると一気に回転数が下がるように変更されたため、視覚的にもクイックなシフトチェンジを印象付けられる。
そして標準車の試乗でも少し気になったことだが、スタート時のアクセルのレスポンスがもう少し欲しいという要件だ。アクセルをジワッと踏んだときの走り出しのレスポンスがいまひとつの印象で、結局さらに踏み込んでしまうことになり、燃費的にも良くない。しかし、エンジンの回転があがり、峠道を元気に走れば、少しのアクセル開度でも反応はするので、DCTの半クラッチ制御とエンジンの超低速回転時の特性のマッチングというところに言及できるのかもしれない。
シフトのモードはスポーツ、エコ、マニュアルとあり、S(スポーツ)モードではブレーキングすると自動でブリッピングしながらシフトダウンをするので、楽しくなる。また、パドルシフトは標準で装備されているので、積極的に走りが楽しめた。
インテリアはスポーツ感ある雰囲気にまとめている。エアコンの噴出しリングに赤のラインをいれたり、ダッシュボードのステッチやシートに赤い糸を使用するなど、アクセントをつけている。
高級なプレミアムブランドのモデルには共通したイメージがある。それはメーカーによって異なり、それが味でもあるから魅力的に写るのだが、メルセデス・ベンツで言えば上質な乗り心地と上品なインテリアなどからくる高級感であり、ベンツマークもしかり、ブランドイメージ自体が高級である。
今回のA250SPORTの乗り心地はその高級なメルセデスらしいという表現ができるのだろうか。それより、より高級でスポーティなAMGらしいのだろうか。この先、A45AMGも導入される。その時には是非乗り比べをしてみたいと感じた試乗だった。そして、激戦区の輸入車CセグメントのAクラスもモデルラインアップを拡充し、標準モデル、スポーツモデル、そしてエボリューションモデルとあり、さらにA45AMGとなるのだ。