【メルセデス・ベンツ】B180 BlueEFFICIENCY試乗:メルセデスが描く未来像が見えた!

マニアック評価vol109

メルセデスベンツB180BlueEFFICIENCYの画像
B180 BlueEFFICIENCY パッケージ装着車

2012年の1月〜3月期のドイツ・プレミアムカーの世界販売台数で、ついにアウディがBMWを抜きトップを奪った。2011年後半の実績はBMW、アウディ、メルセデスベンツの順であった。もちろん販売台数でみれば、コンパクトカークラスの手駒が少ないメルセデスが不利なのはいうまでもない。それに加えてメルセデスは、公用車、カンパニーカー、個人ユーザー層は年齢が高いといったイメージが強い。ベンツはこの点を十分自覚しているからこそ、新生Bクラスと、少し遅れて登場する新型Aクラスは、「ネクスト・メルセデス」の重要モデルとされ、若い世代のユーザーにスポーティさを強くアピールする。もちろんそれだけではなく、近い将来にはハイブリッドやEV、燃料電池などの環境対応システムを組み込もことも前提に開発されているのだ。

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新型Bクラスは、先代と同様に多用途性を備えながらも、プレミアムCセグメントのど真ん中を狙った最新の2ボックス・ハッチバックで、プラットフォームはもちろん、エンジン、トランスミッション、シャシーなどすべてがゼロから開発された、渾身のニューモデルと受け止めて差し支えない。

新型Bクラスのルックスは、ジュネーブショーで発表されたAクラスと共通のデザイン・テイストでまとめられているが、ボディサイズと比べて不釣り合いなほど大きなメルセデス・グリル、新たに採用されたボディサイドの2本のキャラクターラインが特徴になっている。Cクラスのようなフロントグリルはメルセデスのアイコンとして不可欠なのだろう。またタイヤの外径が意外と小さいので足元のダイナミックさが薄い印象を受けた。なお、今回日本に導入されたB180ブルーエフィシェンシーは、ベースモデルであり、よりパワーフルなB200は遅れて導入される模様だ。

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インテリアは、Cセグメントのトップクラスの質感を実感するためにはパッケージオプションを選ぶ必要があり、実際試乗車もオプション装着車になっていた。しかしインテリアに関してはCクラス並みのクオリティ感があり、メルセデスのファミリーとして、これも盛り込みたかったという意図が感じられる。

Bクラスは一般的なハッチバックより全高は高めで、より多用途性を追求するというコンセプトなので、実用性の面では、大きな容量のラゲッジスペース、リヤ席での足元スペースや頭上の空間の余裕具合はトップレベルだ。そういう意味で、このクルマは家族でロングドライブの旅行をするようなシーンには最適といえる。なお、ドライバーシートはメルセデス特有の硬めのクッションで、70kg程度の体重では多少乗せられ感が強く、これがメルセデスらしさともいえる。

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↑インテリアもパッケージをフル装着状態。シートバックのトレイもオプション

では、B180ブルーエフィシェンシーの走りはどうか?
いつものレストランでいつものコースメニューを注文したのに、まったく違う料理がテーブル上に並べられたような気がしたのが正直なところだ。

ステアリングの操舵力やペダル類などの操作系がとても軽い仕上げになっている。ある意味では運転していて楽なのだが、その一方でもう少しフィードバックを感じることができた方が安心感が高められると思う。またステアリングに関してはもっと直進時の締まり、クリアさが欲しいと感じた。

その一方で、Bクラスはセレクティブダンピング、つまり可変ダンパーを備えているが足回りは硬めだ。その理由は、車高を下げる目的でスポーツサスペンションが標準装備かされていることと、ランフラットタイヤが標準になっているからだろう。もちろん硬いとはいってもゴツゴツ感があるわけではないが、オーバーダンピングではと思わせる乗り心地だ。ハンドリングはややクイックな傾向だが素直でしっかりしており、ロール、ピッチのいずれも抑えられたフラットライドといえる。

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↑標準の205/55R16 
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↑スポーツナイトパッケージ車の225/40R18

 

なお、ローダウンされたサスペンションが標準になっているため、最低地上高が105mmと国産スポーツカーより低いので、コンビニ、ファミレスの出入りはもちろん、一般的な車輪止めでも気を使う必要がある。

走行中の室内は静かで遮音に力を入れたことが感じられた。ただ、加速でのエンジン音は味気なく感じられた。

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パワーユニットはダウンサイジング・コンセプトで作られた最新のスペックを備えるが、122ps/200Nmと出力は控えめだ。

実際、乗り込んでのファーストインプレッションは、アクセルの踏み込みのレスポンスは穏やかで緩慢にさえ思われる。特に軽いアクセルの踏み込みでの反応がおとなしい。ターボならではのトルク盛も希薄で、燃費を相当に重視したチューニングになっている気がした。そういう意味で、このエンジンのスポーティさは感じられない。おそらく電子スロットルが極端な遅開きになっており、加速したいシーンでは思い切りアクセルを踏み込む必要があるわけだ。

同じく新開発の7速DCTも予想外だった。予備知識がなければATと勘違いするフィーリングで、変速タイミングに一呼吸があり、加速での変速、減速でのシフトダウンのいずれもAT的で、同様のDレンジでもマニュアルシストでもフィーリングは変わらない。これがメルセデスらしさだという意見もあるのだが、意図的なチューニングなのかどうかはわからない。

オールニューのBクラスは、短距離レーダーを使用した対物衝突警告システム(CPA)、ダンパー減衰力やエンジン出力を選択できるダイレクトセレクト、クルーズコントロール、トルクベクタリング・ブレーキなど、今後このクラスでのスタンダードとなる装備を先取り装備していることは評価できる。

ある意味これらの装備は、Bクラスはこれまでのセグメントの垣根を取り払った新しいカテゴリーの提案していることのシンボルかもしれない。

メルセデスベンツ日本公式サイト

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