【メルセデス・ベンツ】究極のSLKクラス「SLK 55 AMG」の圧倒的な凄味

メルセデスベンツSLK 55 AMGの画像

メルセデス・ベンツ日本は2012年5月9日、2シーターオープンカーであるSLKクラスのハイパフォーマンスモデル「SLK 55 AMG」を発表・発売した。、従来モデルに比べ最高出力や最大トルクを向上させながらも、気筒休止システムやECOスタートストップ機能などの最新テクノロジー採用で、燃費性能を70%以上向上させたことが最大のニュースだろう。

3世代目となる現行SLKクラスは、直列4気筒の1.8Lスーパーチャージャー付きエンジン搭載のSLK200と3.5LのV6エンジン搭載のSLK350が、2011年5月より日本でも発売されている。しかしながら、2世代目からシリーズのフラッグシップとして設定されたV型8気筒5.5Lエンジン搭載のSLK 55 AMGは少し遅れて昨年9月のフランクフルトショーでワールドプレミアされ、このほど日本にも導入されることになった。新型の消費税を含む希望小売価格は1090.0万円で、ハンドル位置は左のみ。なおデリバリーについては6月頃より開始される予定だ。

内外装の随所にAMGのテイストを盛り込む

新しいSLK 55 AMGのエクステリアは3代目となったSLKの基本フォルムを踏まえながらも、各部にAMG独自のテイストが加えられている。フロントにはAMGモデル専用のラジエターグリル(ハイグロスブラック&クロームルーバー)、同じく専用のフロントバンパーと LEDドライビングライトを装備。そしてリヤセクションには3 つのフィンを備えたブラックディフューザーとAMGスポーツエグゾーストシステム(デュアルツインクロームエグゾーストエンド)、ダークティンテッドテールライトが精悍さをアピール。さらに AMG トランクリッドスポイラーリップはリヤアクスルに働く揚力を抑えることで、高速安定性を高める効果も発揮する。

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インテリアではジェット機を連想させるエアコン吹き出し口、ブラッシュドアルミニウムのインテリアトリムを採用。またダッシュボード中央にはIWCデザインによるAMG専用アナログ時計を備えている。上部と下部をフラットにしたAMGパフォーマンスステアリングや、スポーツドライビング時にもしっかりと身体をホールドするAMGスポーツシートには、高品質のナッパレザーが採用されている。

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新しいV8はツインターボから自然吸気に路線変更

今回の技術的なハイライトが、新開発された自然吸気のV型8気筒エンジン「M152」であることは明らかだ。この新エンジンは、CLクラスやSクラスに搭載されているツインターボのV8であるM157をベースに開発されている。したがって98.0×90.5mmというボア×ストロークや排気量5461ccというディメンションをはじめ、ECOスタートストップ機能やガソリン直噴というメカニズムなど、多くの共通点を備えている。

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しかしながら、新しいM152ではインテークダクトやシリンダーヘッドを新設計するとともに、バルブ駆動やオイル供給システム、クランクケースなどに多くの改良を加えている。さらに新世代のスプレーガイド式ピエゾインジェクター(噴射圧力200バール)を採用したガソリン直噴ユニットにも注目したい。加工時にダミーヘッドを組み付けて真円ホーニング加工されたライナーレスの100%アルミニウムのクランクケース、連続カムシャフト・タイミング・アジャスター付きの4バルブデザイン、12.4という高い圧縮比とされている。

そして燃焼効率の大幅な改善を実現したのが、新開発のAMGシリンダーマネジメント(気筒休止システム)だ。走行中にパーシャルロードとなった場合に2/3/5/8番のシリンダーを停止して、燃費を大幅に低減させるというもの。実は同様のシステムはモータースポーツの最高峰であるF1カーのV8エンジン(最高出力約750hp)にも採用されている。低速のコーナリング時やセーフティカー出動時、ピットストップなどで、8本のシリンダーのうち2本または4本を停止させている。

新型ではさらなる燃費対策として、オルタネータマネジメントも採用している。これはエンジンブレーキ使用時やブレーキング中に運動エネルギーを熱として放出させず、電気に変換してバッテリーに蓄えるものだ。また車載ネットワークとオルタネータマネジメントの組み合せにより、オルタネータの電圧を低く抑えることで、エンジンへの負荷を軽減。これによる燃費節約量はNEDC基準で走行100kmにつき約0.15Lとなり、ブレーキが頻繁に必要となる市街地では0.2Lまで増大する。

こうした最新テクノロジーを投入した結果、新しいSLK 55 AMGは最高出力310kW(422ps)、最大トルク540Nmを発生させると同時にJC08モード燃費11.2km/Lを達成。従来モデルに比べてパワーを約17%、最大トルクを約6%向上させながらも、燃費性能を70%以上向上させることとなった。ちなみに0〜100km/h加速は4.6秒、最高速度は250km/h(リミッター作動)という圧倒的な動力性能を誇っている。

新型AMGスポーツエグゾーストシステムを初採用

ところで新型では、両側にエグゾーストフラップを搭載した新型AMGスポーツエグゾーストシステムをAMGとして初めて採用し、スポーティなドライビングにふさわしいエモーショナルなサウンドと、パーシャルロードで求められる控えめな音を両立させている。このシステムは2個のリアサイレンサーそれぞれにフラップを設け、アクセルペダルの踏み込み量やエンジン回転数に応じて、ロジック制御により可変的に動作させている。

低負荷および回転数2000rpm以下ではフラップは閉じたままで排出ガスの経路を長くし、追加した減衰部を通過させている。その結果排気音が快適に感じられる音量まで小さくなるとともに、不快な周波数の音が効果的に抑制される。その効果は特に気筒休止システムが動作する4気筒状態で顕著に感じられる。

一方で加速時にはフラップが 15度〜30度〜50度 まで開き、排出ガスの一部は長い経路を通して音量を抑え、残りは短い経路を通る。これにより、響きのよいエンジンサウンドが発生。さらに8 気筒モードでエンジン回転数が高いフルロードの場合は、両側のフラップを完全に開くことでV8 エンジンならではのパワフルなサウンドを発生させている。

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走りを支えるメカニズムにも最新テクノロジーを満載

トランスミッションには、コントロールエフィシェンシー(C)/スポーツ(S)/マニュアル(M)の3つの走行モードを備えたAMGスピードシフトPLUS 7G-TRONICを採用。シフトダウン時の自動ブリッピング機能、フルロードでのシフトアップ時に瞬時に行われる点火および燃料噴射の停止によって、シフト時間を短縮。また遠心振り子式のトーションダンパーをエンジンマウントに採用することで、4気筒モード時に発生する振動を最小限に抑えるとともに快適性を改善している。

優れた減衰力特性を持つショックアブソーバーを採用したAMGスポーツサスペンションは、コーナリング時の車両安定性を高めるトルクベクトリングブレーキと舵角に応じてギア比を変化させるダイレクトステアリングを組み合わせることですぐれた運動特性と俊敏なハンドリングを実現している。

AMG 専用の3ステージ ESP はセンターコンソールのボタンにより、 ON/SPORT/ OFF の3モードに切替え可能だ。ブレーキはドリルドベンチレーテッドディスク(フロント: 360×36mm/リヤ:330×22mm)を搭載した AMG 強化ブレーキシステムを採用。ペダル操作に対する優れたレスポンスと強大な制動力、高い耐フェード性を実現している。

新型SLK 55 AMGにはスポーツ性を一段と高める「AMGハンドリングパッケージ」がオプション設定されている。このパッケージにはハードなチューニングが施されたAMGスポーツサスペンション、コーナリング性能を高めるリミテッドスリップデフなどが含まれ、インテリアにはグリップにアルカンターラをあしらったAMGパフォーマンスステアリングやAMGカーボンインテリアトリムを用意。上質感がさらに高められている。

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■メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG主要諸元
●全長×全幅×全高=4150×1845×1300mm ●ホイールベース=2430mm ●重量=1640kg ●エンジン=V型8気筒DOHC直噴/5461cc ●最高出力=310W(422ps)/6800rpm ●最大トルク=540Nm(55.1kgm)/4500rpm ●トランスミッション=電子制御7速AT ●JC08モード燃費=11.2km/L ●駆動レイアウト=FR  ● タイヤ(前・後)=235/40 R18・255/35R18 ●ハンドル位置=左 ●乗車定員=2名

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メルセデス・ベンツ 公式ウェブサイト

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