メルセデスベンツは、ジュネーブでAクラスのワールドプレミアを行った。ディエター・ツェッチェCEOは、「このAが意味するのはアタックのAで、これからのメルセデスの先頭に立つ機種」と強調した。メルセデス・ベンツは、2011年の販売台数がアウディに抜き去られたことや、従来から言われているメルセデスのユーザーは年齢層が高いという現実を打破するために、より若いユーザー層の獲得という意図もこめて、新型Aクラスを開発したのだ。新型Aクラスが搭載するエンジンは、109ps〜211psで、最もCO2排出量が少ないA160は99g/kmを達成するなど、さまざまな面でCセグメントのトップを狙っている。
↑ジュネーブショでベールを脱いだAクラスとD.ツェッチェCEO
Aクラスのコンセプトは、俊敏なハンドリングによるスポーティな性能の強調と、他のメルセデスと同様に、高次元の安全性を両立するとしている。安全性の象徴はレーダーセンサーとアダプティブ・ブレーキアシストを組み合わせたドライバーアシストで、「コリジョンプレベンテーション・アシスト」と名付けられている。またプリクラッシュセーフティ(プレセーフ)も装備され、このクラスで最高レベルの安全装備を誇る。
Aクラスのデザインは、2011年の上海ショーに出展された「コンセプトAクラス」をベースにしており、クラシックなハッチバックデザインを革新するデザインと位置付けられ、メルセデスのキャラクターをきちんと表現しながら新次元のスポーティさを強調しているという。このため、開発の早い時期からAMGがスポーツ仕様であるスポーツエディションの開発、チューニングに参加しているという。また、Aクラスは空力性能も格段に向上され、Cd=0.26で、この点でもCセグメントの頂点に立っている。
全高は旧型に比べ180mm低められ、ボディサイズは、全長4291mm、全幅1780mm、全高1433mmだ。インテリア・デザインも、ボディと同様にスポーティさを強調し、さらにダッシュボードやセンターコンソールなどの質感の向上にも気が配られている。また新たな試みとしてスマートフォン(iPhone)を一体化し、スマートフォンで表示や各種のコントロールができるようにしている。ベンツ社は新型Aクラスを「走るiPhone」とまで位置付けている。艤装材はクールなメタル調で統一している。
新設計のガソリン・エンジンは、1.6L、2.0Lがラインアップされ、A180が115ps、A200が156ps、今後追加されるA250が211psのハイパワー仕様となる。いずれも直噴ターボで、多段噴射、多段点火を行い、一定の領域ではリーンバーン燃焼も行われる。なお1.6Lエンジンは可変バルブリフトを行うカムトロニックを採用している。
ディーゼルはA180 CDIが109ps/250Nm、A200 CDIは136ps/300Nm、A220 CDIは170ps/350Nmの出力だ。ガソリン、ディーゼルのいずれもスタート&ストップを装備。トランスミッションは新開発の6速MT、オプションで7G-DCTが選択できる。
シャシーでは、リヤに新開発の4リンク・サスペンションを採用。4MATIC(4WD)仕様も追加される。サスペンションはスタンダード以外にオプションのスポーツ・サスペンション+ダイレクトステアリングも選択できる。EPSも改良され、これまでより、よりダイレクトなフィーリングになっている。この新型Aクラスは今秋からヨーロッパで発売される予定だ。
Aクラス以外でワールドプレミアを行ったのがSL 63AMG、SLK 55AMGだ。いずれも従来よりパワーアップすると同時に30%の燃費低減を達成している。SL 63AMGはオールアルミ・ボディとなり、125kgも軽量化された。エンジンパワーは30psアップの564ps。AMGアクティブ・ボディコントロール、AMG MCT7速トランスミッションを装備する。燃費は9.9L/100kmだ。
SLK 55AMGは、新開発の気筒休止システムを搭載する自然吸気5.5L・V8型エンジンを搭載している。出力は422ps/540Nmで、燃費は8.4L/100km。
↑SL 63 AMG ↑SLK 55 AMG
E300ブルーテック・ハイブリッドは、ディーゼル・ハイブリッドを採用している。この仕様はセダン、ワゴンいずれにも設定している。注目の燃費は、フルサイズセダンとしては驚異的な4.2L/100kmの燃費を実現している。4気筒ディーゼル・エンジンは204ps/500Nm、このエンジンをアシストするモーターは20kW/240Nmを発生する。
7人乗りのマルチバン、VitoはEV仕様が出展された。モーターは60kW/280Nm。リチウムイオン電池は床下にフラットに配置されている。航続距離は120kmとされ、商用ユースも考えたリアリティの高いモデルといえる。
スマートは、新たなデザインの可能性をプレゼンテーションした。スマートforusは55kWの出力を持つ、モーター駆動のEVピックアップタイプとなっている。都会における新たなパーソナル・ライフスタイルの提案という感じだ。
スマートfortow2012年モデルは、スポーティさと質感の高さをミックスしたエクステリアと、これまでより一段と質感を高めたインテリアを備えている。
ドイツ製の55kWモーターを搭載するスマートEVは、すでに30カ国で実証実験中であるが、このEVモデルは今年中に発売する計画だとしている。なお電池はリース方式を予定して、車両販売価格を安くすると見られる。なお、よりスポーティな仕様のブラバスモデルも設定されている。
↑スマート・エレクロリック ↑2012型スマート forttow