【メルセデス・ベンツ】Eクラスのリーンバーンエンジンで省燃費に

マニアック評価vol87
Eクラスのラインアップでパワートレインの変更や、レーダーセーフティパッケージなどの装備も変更されるマイナーチェンジが行われた。これまで2011年7月にクーペ/カブリオレにMCが加えられてから、順次変更されているが、2011年11月にE300とE350に新型のパワートレインが搭載された。

 

試乗したモデルはE300 Blue EFFICIENCYアバンギャルドで、新開発のV型6気筒エンジンとレーダーセーフティを搭載したモデルである。

これまで搭載されていたV型の6気筒エンジンはM272型と呼ばれる90度のバンク角を持つエンジンだったが、新開発されたエンジンはM276型と呼ばれ、バンク角60度としたまったく新しく開発されたエンジンを搭載し、ビッグマイナーチェンジといえる。

V6エンジン
リーン燃焼する新型のV型6気筒エンジン

このエンジンの最大のトピックはリーンバーン運転をするエンジン、という点だ。簡単に説明をしておくと、1gのガソリンの燃焼には14.7gの空気が必要であり、理論空燃比は14.7:1となる。この比率より濃い混合気での燃焼がリッチ燃焼で、薄い燃焼がリーン燃焼である。つまりリーン燃焼は、少量のガソリンで燃焼するということであり、ユーザーメリットとしては省燃費ということになる。

正確には常にリーン燃焼で走行しているわけではなく、最先端の直噴技術であるBlueDIRECTテクノロジーを駆使し、リーン燃焼(成層燃焼)と理論空燃比で燃焼する均質燃焼、そしてリーンと均質が組み合わされた均質成層燃焼が行われているのだ。スロット開度、車速などの状況に応じて、最適な燃焼が行われ省燃費走行をしているわけだ。

Eクラス ブルーエフィシェンシー アバンギャルド

なお、この技術が成功した背景には、200barという圧力で燃料噴射が可能なピエゾインジェクターの開発があり、このスプレーガイデッド式噴射弁は1万分の1secの反応速度で1回の吸気工程に最大5回の燃料噴射を可能にしている。当然この高精度インジェクターは部品価格に反映されているのだが、この噴射弁の開発はBMWと共同で行われており、また、これまでの噴射弁サプライヤーがボッシュからコンチネンタル・オートモーティブグループのシーメンス製へとチェンジされ、市販化が実現している。もっともBMWはひと足はやくこのリンーバーン運転するモデルを市場にリリースしている。リーンバーンの実現 世紀のBMWテクノロジーを参照して欲しい。

Eクラス

実際に試乗してみて、このリーン燃焼するエンジンはドライバーに感じられるのだろうか?答えはノーである。当然のことながら、テクノロジーを感じさせないものが先端技術であるというエンジニアのプライドにかけて、まったく分からない。一部、4000rpm付近で噴射弁の音が聞こえるというジャーナリストもいるようだが、「特殊な耳を持った人」という解釈でいいと思う。通常、燃焼状態の切り替えが分かる、感じる、ことはあり得ないのだ。

となると、このエンジンのインプレッションに関してはいわゆるパワー感とかトルク感といったものがどうだったのか?という報告になる。

新型のEクラスに乗り込むとシートまわりには変更がなく、電動でドライビングポジションを最適な位置へアジャストできる。言うまでもないが、ステアリングもチルト&テレスコピック機能を搭載している。

Eクラス

スタートボタンを押すとクランキングを感じないほど、短い時間でエンジンが始動しアイドリングを始める。実は、このアイドル時が超リーンバーン運転をしているときで、空燃比は公表されていないが55:1付近での運転であり、かなり希薄燃焼しているのだ。それでも成層燃焼なのか、希薄燃焼なのかという違いは感じない。そして極微低速域での動き出しから、すぐにEクラスが持つ滑らかでしっとりとした走りへと変わっていく。

エンジンは185kw(252ps)/6500rpm、340Nm/3500rpm-4500rpmという出力特性でNAエンジンとしては広範囲に最大パワー・トルクを発生させているエンジンであることが分かる。そしてEクラスにも7G-TRONIC PLUSのAT式トランスミッションが搭載されているため、どんどん高いギヤへとシフトアップされていく。市街地走行の40km/hから60km/hの速度域では常に2000rpmを上回らないで、滑らかにしっとり走行する。ちなみに100km/hでの回転計は1500rpmを指していた。

今回のMCではECOスタートストップ機能(アイドリングストップ)が搭載されたことも、トピックのひとつだろう。リーンバーンのエンジンに最新鋭のトランスミッション、アイドルストップ機能を組み合わせて大幅な燃費低減を実現したといえる。JC08モード及び10・15モード燃費は12.0km/Lとなっている。欧州車の場合、このモード燃費はほぼ実用燃費であることはいうまでもない。最大約48%の燃費向上があり「平成21年排出ガス基準75%低減レベル」を取得し「平成22年燃費基準+20%」を達成し、エコカー減税は重量税、取得税各50%〜70%減税、およびグリーン税制優遇制度(翌年度自動車税50%減税)の対象モデルとなっている。

直進安定性が高くしっかりした走行であることは、いまさら言うまでもなく、またコーナリングにおいてもしかり。ただ、アクセルペダルの操作感は以前より軽くなってきているように感じた。そしてステアリングの操舵感も軽くなってきているという変化を感じた。

Eクラス

ちなみに、この日同じEクラスのディーゼル搭載モデルのE350 Bleu テック アバンギャルド ステーションワゴンにも試乗したのだが、装着されていた245/45-17のタイヤ銘柄が同サイズなのだが、ディーゼルはグッドイヤーのイーグルF1、ガソリンがコンチネンタルのスポーツコンタクト3であった。

また、2011年11月のMCでこの新型V6エンジンを搭載したのはE300とE350で、E300 4MATICの導入も開始された。あわせてE550も新開発の5.5LのV型8気筒から4.7LへとダウンサイジングされたV型8気筒エンジンに変更されている。また、レーダーセーフティパッケージに関しては別項を参照して欲しい。【メルセデス・ベンツ】世界初の24GHzミリ波レーダーを使った安全装備の日本導入が遅れた理由は?

E300Blue EFFICIENCYアバンギャルド

●全長4900mm(4870mm)×全幅1855mm×全高1500mm(1455mm) WB2875mm ●最大出力185kw(252ps)/6500rpm、最大トルク340Nm/3500rpm-4500rpm ●価格 E300Blue EFFICIENCYアバンギャルド 720万円(消費税込み)ステーションワゴン755万円(消費税込み)

E350Blue EFFICIENCYアバンギャルド

●全長4900mm(4870mm)×全幅1855mm×全高1500mm(1455mm) WB2875mm ●最大出力225kw(306ps)/6500rpm、最大トルク370Nm/3500rpm-5250rpm ●価格 E350Blue EFFICIENCYアバンギャルド 872万円(消費税込み)ステーションワゴン907万円(消費税込み)

 

 

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