2011年10月12日から13日にかけて、ドイツのバーデンバーデンで開催された第15回「International VDI Congress(ドイツ技術者協会が主宰する国際会議)」と「Electronic Systems for Motor Vehicles」展で、アウディ/BMW/ダイムラー/ポルシェ/フォルクスワーゲンのドイツ自動車メーカー5社が合意した「統合充電システム」が公開された。
ドイツ技術者協会(VDI)とは、国際自動車技術者連盟の傘下にある団体だ。実はこの統合充電システムについては、上記のドイツ主要5社だけではなく、アメリカの両雄と言うべきフォードとGMとの緊密な協力を通じて開発されたものだということも明らかにされた。ドイツの5メーカーが2010年9月に充電システムの規格統一に合意したことは、本サイトでも既報しているが、さらにアメリカ勢も巻き込んだ上で、具体的なシステムをついに公開したことになる。
この新たな単一の車両側充電ポートを装備することで、既存のすべての充電方式(単相交流充電、急速三相交流充電、家庭用電源による直流充電、公共充電ステーションでの超急速直流充電)に対応する。もちろんこの統合充電システムには充電通信機能や電気、および安全アーキテクチャーも統合されている。
一方、日本では自動車メーカーや東京電力、その他関連産業が参加して、2010年3月に急速充電システム&規格を決める「CHAdeMO(チャデモ)協議会(CHArge de MOveに由来)」をスタートさせ、三菱のiMiEVや日産のリーフも急速充電システムはこの規格を適用しているが、その一方で家庭充電用に200V三相交流ポートも備え、さらに200V用のポートを使用する100V用アダプターも別売するというスタイルになっている。
タイミング的には日本が急速充電規格に関しては一歩先んじたカタチだが、ドイツの主要5社は約半年遅れで、急速充電だけではなく通常充電も統合した規格化の公開を実現した。このコンセプトは2011年1月、ドイツの5社以外にアメリカのフォード、GMとも連携のもとに国際標準化機構に案を提出するというステップを経て、今回の共同公開に至った。
この規格では、急速充電と通常充電を共通化したポートで行うのが大きな特徴だ。今回のバーデンバーデンの会場では、参加メーカー車両への統合充電システム装備例も展示された。この統合充電システムは2012年半ばに実用化されることを見込んでおり、その後市場に導入される。
ちなみにEVの開発に関して日産と提携しているフランスのルノーは、充電規格に関しては日産と同じCHAdeMO規格を採用せず、ドイツ規格=EU規格を指向している。
EVの充電規格をめぐる日欧の主導権争いの行方はどうなるのだろうか?