【メルセデス・ベンツ】 Cクラスビッグマイナーチェンジで、上質なインテリアへ

メルセデス・ベンツ日本は内外装の刷新、パワートレインや安全装備、機能装備など合計2000ヵ所に及ぶ変更を行った、新型Cクラスを2011年5月30日に発表・発売した。

主な変更点をみてみると、まずインテリアの質感の向上が目を惹く。全面的に新設計としたダッシュボードには高品位な表面素材を採用し、見た目と手触りでも先代モデルとの違いが一目瞭然である。センターにはコマンド・ディスプレイ(ナビ画面)が収められており、操作はシフトレバーの手前にあるコマンド・コントローラーで行う。メーター中央の回転計、速度計なども含めメーターパネルは一新され、助手席側まで拡大されたインテリアトリムパネル、センターコンソールのトリムパネルの拡大などで室内の印象を多く変えている。さらに、シルバーシャドウをあしらったスイッチ類、ナッパーレザーのステアリング、夜間の室内の雰囲気をやわらげるアンビエンライトなど細部にわたり手が入れられており、Eクラスレベル、いや、それ以上といっても良いほど、クラスを超えた上質な室内になっている。

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↑ダッシュボードやメーターパネルを刷新

そのセンターに位置するコマンドシステムは、インターネット接続により、グーグルマップによるナビゲーションや、さまざまな情報にアクセスすることが可能である。また、Bluetoothオーディオ機能、USBメモリーやSDカード、iPodからの音楽データ再生など最新のデバイスに対応できる機能をもっている。なおナビシステムは三菱電機製。

搭載されるパワートレインにも変更がおこなわれている。C200には優れた燃費性能とクリーンな排気ガス性能をもつ新世代の1.8L直列4気筒直噴ターボエンジン(271型)が搭載されている。出力は184ps/5250rpm、270Nm/1800rpm〜4600rpmとなっている。同じエンジンで過給圧が変更された高出力タイプのエンジンはC250に搭載され150ps/5500rpm、310Nm/2000rpm〜4300rpmがラインアップされている。

そしてこの2モデルのミッションは従来の5ATから7ATへと変更されている。この7ATは7G-トロニックプラスと呼ばれているものでメルセデス・ベンツがオリジナルに開発しているトランスミッションになる。パドルシフトを備え、ツインクラッチとそん色なく、すばやいシフトチェンジが可能でスポーツドライブを楽しむことができる。また、多段化されたことで高速巡航時のエンジン回転数を低く抑えることが可能で、当然、燃費性能にも貢献している。

そして新たなエンジンを搭載するモデルC350がラインアップされた。3.5LV型6気筒直噴エンジン(M276型)で、リーンバーン(希薄燃焼)運転をするエンジンだ。燃料を従来よりも少ない状態で運転するために、当然ながら省燃費となる。そのリーンバーンを可能としたキーテクノロジーは高圧噴射が可能なピエゾインジェクターであり、シーメンス、BMWと共同で開発された高性能噴射弁である。そして従来のM272型の90度V型から60度V型の新設計エンジンとなっている。出力は306ps/6500rpm、370Nm/3500rpm〜5250rpmと300psオーバーを誇る。さらにC350モデルにはECOスタートストップ機能(アイドルストップ)を装備、燃費性能の点でも高い経済性能を持っているのが特徴だ。

C-Klasse (W 204) 2011

↑ECOスタートストップ機能を搭載

エクステリアの変更点では、まず機能美なポイントとして、アルミボンネットと空力特性がある。ボンネットはアルミニウム素材とすることで約10kgの軽量化ができ、またエアロダイナミクスボディはCd値:0.26という優れた空力特性を持っている。こうしたエンジン単体だけでなくさまざまな部位での効率化により、欧州仕様では従来モデルと比較して最大31%の燃費低減を実現している。そしてCクラスのセダン/ステーションワゴンに搭載されるエンジンはすべて直噴エンジンとなり、全モデルでエコカー減税の対象となった。具体的には約12万円〜16万円程度減税されることになる。

↑10kgの軽量化を達成したアルミボンネット

そして、ヘッドライトなどの変更も同時に行われており、LEDを多用した新設計のヘッドライトユニットの採用や、“C”シェイプのポジションライト、同様にリヤのウインカーやブレーキランプ、スモールランプなどにもLEDを用いたコンビネーションランプへと変更している。そしてフロントのラジエターグリル、フロントバンパーのデザインを変更し、より低く構えたダイナミックでスポーティな印象を強めたデザインとなっている。

C-Klasse T-Modell

↑“C”シェイプのポジションライト

安全機能については、居眠り運転による事故を未然に防ぐ「アテンションアシスト」やハイビーム、ロービームを自動的かつ連続的に切り替える「アダプティブハイビームアシスト」など、安全なドライビングをサポートする最新の安全システムが標準装備されている。また、車両前後のセンサーで縦列駐車が可能な場所を自動検知し、駐車をアシストする「パークトロニック(パーキングガイダンス機能)」を全モデルにパッケージオプションとして設定している。

C-Klasse Limousine (W 204) 2010

↑アテンションアシスト

さらに、このCクラスには、本年末ごろにクーペモデルが追加となり、さらにAMGモデルもラインアップされる。クーペモデルはまったくの新ラインアップであり、その意味も含めて新型Cクラスという言葉を使っているのだろう。このクーペモデルにも1.8L直噴ターボ、3.5LV型6気筒が搭載されるはずだ。そしてこの1.8Lの4気筒エンジンにもアイドルストップ機能が追加されることを期待したい。

C-Klasse Coupテゥ

AMGモデルでは、軒並み“63AMG”モデルはダウンサイジングコンセプトにより5.5Lターボへとエンジン換装が行われているが、CクラスのAMGにはNAのまま、つまり6208CCの従来エンジンが搭載されるようだ。となるとNAでV型8気筒のビッグパワーを楽しめるのは、もはやこのCクラスとスーパーカーのSLSだけとなってしまう。

今回のCクラスMCでは、全体的にアグレッシブなエクステリアデザインと上質感を高め、また走りの点でもアジリティ(俊敏・軽快)さがさらに向上したように感じる。そしてAMGモデルも含めて考えてみると、BMWのM3や3シリーズ、アウディA4とRSとの直接対決を全てのポイントで競っているようだ。ただ、ベンツならではの味を残しつつ、アジリティ、スタビリティ、居住性といった点が独自のベクトルで開発されていることに期待したい。この点については試乗の機会があったときに報告したい。

文:編集部 髙橋明

メルセデス・ベンツ公式Web

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