ドイツ自動車メーカーがEVの充電コネクターの統合規格を発表

マニアック評価vol13
9月16日、ドイツ・インゴルシュタット発:アウディ、BMW、ダイムラー、ポルシェ、VWの5メーカーが集まり、電気自動車(EV)の充電コネクターモジュールの規格を統合することで合意した。

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↑左はi-Miev右はドイツの充電ステーション

EVは新しく誕生してきただけに、アウトプットされた商品に細かな統一規格はまだ整備されておらず、その代表例がコネクターモジュール、いわゆるコンセントだ。ドイツ5社による合意は今後大きな意味をもってくるだろう。

その内容だが、電気には直流や交流があり、また電圧にも単相100V、単相200Vと三相200Vがあり、三菱自動車のi-Mievや日産自動車のリーフなどは、供給される電力ごとに差込口をかえたり、ケーブル自体を変えたりして供給源に適応するようになっている。

これまでに開発されてきた国内外のEV用コネクターシステムは、自動車産業全体のコラボレーションにより、信頼性の高いコネクタープラグが開発された経緯があり、車両側と充電インフラの双方で使用されることになる。こうしたモジュラーコンセプトは、性能、セキュリティ、安全性などの面で完璧とはいえないが、改良が進む中で、ドイツから新しい統合規格が提案されたのだ。

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↑i-Mive用充電ケーブル

世界的に充電コネクターモジュールの規格を統合することで、EVのユーザーはどのEVメーカー、どの電力会社であっても、簡単にダイレクトに電気エネルギー網に接続することができるメリットが得られる。5メーカーの開発担当責任者は、モジュラーコネクターのシステムを以下のふたつにすることを決定した。

1)コネクターシステムの基本は、単相、三相交流は「IEC 62196-2 Type2」に準拠する。

2)直流用のコネクターは現在開発中のタイプとする。

この規格に対して、ドイツ5社は他のメーカーも加わるよう呼びかけており、多くの他メーカーも規格に加わることで、この規格がグローバルスタンダードになることは間違いないだろう。

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↑左がリーフ、右がプジョーのiOnの充電風景

このコネクターシステムは、単相、三相交流電源に適合するよう設計されている。さらにコネクターのアダプターパーツの採用により2013年までには直流電源からも充電できるようになる。自動車メーカーは、できるだけ早急に急速充電システムのインフラが整備されることを望んでおり、したがって、直流高電圧によるきわめて短時間の急速充電に期待が寄せられている。

基本システムと拡張システムからなるモジュラーコネクター・システムは、日本においても様々な充電方法に最適にマッチするだろう。一般的な家庭用の単相交流による充電から、現在整備されつつある公営、民営の三相交流へと充電方法は変化すると見込まれ、これにも対応するからだ。

また、アダプターの使用により、日本で整備がはじまった直流電源による充電を可能にもしている。したがって、この5社合意の統合規格モジュラーコネクター・システムは、今後の様々な直流電源よる急速充電にも適合し、さらにCAN、PLC(電力線通信)にも適合してくるはずだ。

iMiev(普通充電) iMiev(急速充電)

↑i-Mievの普通充電と(右)急速充電。使用するコネクタータイプが違う。

そして、この合意によって、いろいろな電力供給源にたいして、各自動車メーカー間で共通のコネクターとなるだろう。各国、各地域の電力会社が直流充電ステーションを整備するにあたり、ユーザーメリットのあるこの規格の方向性に従うことで今後の発展が期待でき、直流電源による充電にともなう技術的に複雑な問題や充電時間も最適なレベルに低減できるだろう。

ドイツメーカーは標準化の次のステップとして、他の自動車メーカーや他分野サービス提供者、ネットワーク業ともコラボレーションの可能性を検討しているという。車両とISO/IEC 15118に準拠した充電ステーションの情報通信の標準化により、安全性向上や充電課金においても有用と考えられているからだ。

この規格標準化の意義は、ガソリンスタンド設備と車両の給油口の世界共通規格と同じように、充電コネクターと適切なインターフェースの規格統合は、今後のユビキタスEV時代にとってきわめて重要であり、ユーザーが従来のガソリン車は、どこのガソリンスタンドでもなんらのアダプターなしで給油できるのと同様に、簡単に充電できるため必要不可欠なのである。

AutoProveのひと言

このように、EVでは日本が先行したと考えられているにもかかわらず、いちはやくドイツメーカー連合が充電コネクターの統合規格化を打ち出した。ドイツ勢はもともと規格化に熱心といわれるが、EVとその周辺インフラ技術に関してもドイツはリーダーシップを握るつもりなのだ。日本では日本電動車両協会規格「JEVS G 105-1993」が存在するが、国際規格と今後どのように整合させるのだろうか?

文:編集部 松本晴比古

COTY
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