【ジャガー】2014年モデル ジャガーXJ 英国高級ブランドを堪能する 

マニアック評価vol233
ジャガーは高級サルーンの中でもブランド力が高く、スポーティでスタイリッシュなイメージがあり、そのジャガーXJのラインアップが充実している。2013年10月には既報だがXJRもラインアップに加わり、2.0Lターボから5.0Lスーパーチャージャーまで出揃っている。メルセデス・ベンツのSクラスやBMWの7シリーズとは明らかに存在感が異なり、同じ高級サルーンというカテゴリーながら、XJは異質で存在感がひときわ高いブランドではないだろうか。そもそも、ジャガーブランドは1920年代に自動車のボディを製造するコーチビルダーとしてスタートしていることに、そのブランド力が起因するだろう。

2014ジャガーXJ
2014年モデルは2.0Lターボからスポーティな「R」シリーズXJRまでラインアップする

創業当時からアルミ材を使ったボディ製造が得意であり、ベースとなる車輌よりデザイン性に優れ、美しく仕上げることからスタートしている。エクステリアもインテリアも元のクルマよりカッコが良ければ、評判を呼び人気が出て売れるというわけだ。その後自動車メーカー、とりわけ高級車メーカーとしての道を進み現在、我々が知るジャガーブランドにその系譜となる。

XJ真横XJリヤ

BMWが高級サルーン7シリーズを開発するときのベンチマークとしたのが、そのジャガーXJでありドイツプレミアムブランドが当時目指していたものを既にジャガーは確立していたということになる。ある意味、ブランド力という点では当時からメルセデス・ベンツと片を並べ、ラグジュアリーサルーンとしてのポジションをリードしているブランドという見方もできる。もっとも英国車にはさらに高級なベントレーやロールス・ロイスブランドもあり、ドイツ車にはないヒエラルキーが存在している。

そのジャガーブランドのフラッグシップ・サルーンが「XJ」であり、環境対応モデルからハイパフォーマンスモデルまで充実したラインアップを揃えているのだ。2012年モデルでは日本には5.0LのV型8気筒スーパーチャージャーモデルしか存在しなかったが、13年モデルではV型6気筒SC、そしてダウンサイジングコンセプトの2.0L+ターボもラインアップに加わり話題になった。さらに2014年モデルでは全モデルに8速ATを搭載、XJブランド史上最もハイパフォーマンスンなモデルとして「XJR」も導入され、選択肢がかなり広くなっているのだ。

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2014年モデルからはトム・ウォーキンショー・レーシングに由来する「R」モデルが加わった

XJRの試乗レポートは既にレポートしているが、5.0LV型8気筒にスーパーチャージドエンジンが搭載されている。550ps/680Nmのビッグパワーは0-100km/hを4.6sec、最高速度280km/h(リミッター)という強力なパフォーマンスを持っている。そしてベントレー、アストンマーティン、マセラティなど超高級車御用達ブランドZF社製の8速ATが滑らかにステップシフトする。

エクステリアではエアインテークが特長的な専用デザインのフロントバンパーが採用され、ロアフロントスポイラーも装備される。リヤの大きなスポイラーはハイパフォーマンスモデルであることをひと目で分からせる。フロントグリル中央にはレッド・ジャガー・クラウワーバッジ、右下には新デザインの「R」バッジが装備されている。

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シャシーもRモデル専用にチューニングされ、パワーステアリングの制御もチューンされている。インテリアには新たしい「R」ロゴが施され、フロントシートにはソフトグレインレザー仕様の「R」スポーツシートが採用されている。ジャガーブランドには他にXK、XFがあるが、XJRの導入でトム・ウォーキンショー・レーシングにルーツを持つ「R」シリーズが拡充したことになり、スポーツサルーンとしての一面もアピールしている。

また、このXJRのホイールベースは標準タイプの3050mmで、他モデルと同様サイズで価格は1695万円(消費税込)となっている。そして後席の快適性を重視したロングホイールベースの5.0スーパースポーツも導入を継続し、こちらは1835万円(消費税込)となっている。

XJ2.0Lターボ
2.0Lターボと3.0Lスーパーチャージャーの区別は外観からはわからない

さて、注目は2.0L+ターボの「2.0Luxury」。なんと価格は900万円。XJブランドが1000万円を切る価格というのも大きな魅力だ。ダウンサイジングコンセプトを取り入れ、大排気量から小排気量へとダウンしつつも、走りの性能は見劣りしないというのがコンセプトとなるが、直列4気筒+ターボのこのエンジンは240ps/340Nmというスペック。若干のアクセル早開きというチューンをすることで、出足を軽快にし、2.0Lであることを全く感じさせない制御がしてある。フル加速をしたときや超高速域となればさすがに、5.0L並みの・・・とはいかないが、力不足を感じる場面はないだろう。14年モデルからはアイドリングストップ機能も付きJC08モードは11.5km/Lと、ひとクラス下のモデルと同等の省燃費も魅力だ。

メーター液晶メーター

日本では排気量絶対主義と考えるユーザーがまだまだ多いが、時代の変化とともに少しずつ考え方が変化してきているのも事実だ。特に文化人などからその考え方の波は押し寄せることが多く、今後の展開にも注目したい。なお、XJには排気量の違いを数字で示すエンブレム類がなく、外観からは見分けが付かない。

ジャガーXJには3.0Lスーパーチャージドモデルもある。ラインアップ上中間グレードに位置するが、もっともボリュームゾーンになるモデルで、「3.0Premium Luxury」と「3.0Portfolio」の2グレードがある。それぞれ1100万円と1300万円である。搭載するエンジンはV型6気筒エンジンで、340ps/450Nmというスペックを備え、一般的には300psオーバーの「ハイパワー・セダンに部類に分類される。0-100km/h加速も5.9秒、最高速度250km/hという動力性能は申し分ない。

インテリア

XJのハンドリングは意外にも軽快なのだ。どのグレードにも共通するのだが、動き出した瞬間、「軽い」というイメージを持つ。それはアルミボディという点もあるが、ステアリングのアシストチューニングに起因する。14年モデルでは若干手応え感を強く出す方向に変わったが、それでも軽く軽快なステアリング操舵感は大柄なボディでも不安なく操舵する大きなアドバンテージだ。

乗り心地は言うまでもなく、プレミアムサルーンに相応しいフラットライドな乗り心地である。Sクラスと比較してヘッドクリアランスが・・・とか、7シリーズでは、後席の膝前のスペースが・・・などと比較するのは野暮だ。自らがハンドルを握っても、また後席に座っても満足度の高いモデルといえるだろう。

ワインディンなどは、スポーツモードも備わり、シフトのピックアップも変わり、またパドルシフトも使ってダイナミックに走行する姿も似合う。アクセルを大きく踏み込めばエンジンサウンドが程よく室内に入り込み、5.0Lモデルでは獰猛とも言えるエンジン音を響かせる。ジェントルなイメージのXJには不釣合いではないか、というほどアグレッシブに変化し、それがまた魅力的でもある。

◆満足度が高いのはその佇まいか

XJフロント

このクラスともなれば、ある一定の満足感は満たしている。つまり、どこに取り立てて満足感が高く、所有欲を奮い立たせてくれるのか?というポイントになるだろう。

それは、冒頭で書いたように、ジャガーはコーチビルダーを起源としているだけに、インテリアの造りこみやエクステリアの造形は他の追従をゆるさないセンスの良さにある。レザーはシートだけに限らず、ダッシュボードやドア内張り、天井はバックスキンを使用するなど、ゴージャス感が高い。

静粛性が高い室内では英国高級オーディオブランドMeridianが迫力のあるサウンド、ピアノや弦楽器の奏でる繊細な旋律を耳に伝える。2台のサブウーハー、2.8インチフロントドアウーハーを含む14台のスピーカーが心地よいサウンドを響かせる。一部グレードではオプションとなる「825Wサラウンドシステム」は20台ものスピーカー、2つのサブウーハー、Audyssey MultEQサラウンドイコライゼーション技術を搭載し7.1chのサラウンドが楽しめ、車内コンサートを開催する。クルーザーのキャビンをイメージさせるつながり感のあるラウンドインテリア、先端技術の液晶メーターパネルなどなど、高級品を知る人を唸らせる魅力が備わるブランドである。

エクステリアでは5135mmという5m超えの大型ボディに流れる滑らかなルーフライン。4ドアのサルーンでありながらながらクーペスタイルのようなシルエット。ルーフエンドがトランクリッドへと解けていくデザインアングルの処理、ロングノーズから伝わるアグレッシブなイメージと力強さ、流麗なシルエットはジェントルな佇まいとして目に映る。

ドイツ車に共通する走行性能や内外装ともに質実剛健なプロダクトをベースに高級感やゴージャス感を加えていったモデルとは大きく異なり、豊富な形容詞を駆使しなければ伝えられない走行性能と内外装デザイン持つモデルといえるだろう。レザーのいい匂いがするジャガーは自分の目で確かめ、触れ、五感で味わうことを勧めしたいモデルだった。

2.0Lターボシフトメーター

エンジンルーム後席インテリア

センターコンソールメーター運転席

インテリアフロントシート助手席

リヤ7:3真横前7:3

 

価格表

XJR

諸元表1

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