【ジャガー】 ハイブリッド・スーパーカー C-X75の市販化決定

ジャガーブランドの75周年のマイルストンとなるスーパーカー、C-X75の生産、発売が2011年5月9日に確定した。

C-X75プロジェクトはジャガー75周年(1935年にSSジャガーというブランドを創立)を期してスタートし、2010年9月のパリモーターショーで「C-X75コンセプト」として出展されている。このコンセプトモデルはマイクロガスタービン・エンジン2基とモーターを組み合わせたレンジエクステンダー型ハイブリッドカーという画期的なクルマであった。

2基のマイクロガスタービンの出力は合計70kW(190ps)で、強力なモーターとの組み合わせにより、0→100km加速は3.4秒、航続距離は900kmとされている。

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↑C-X75発表会の模様

今回決定された市販仕様は、新開発の小排気量・高出力エンジンを採用しているが、ジャガー社はマイクロガスタービンとモーターの組み合わせは今後も継続的に開発を行うとしている。というのは、ランドローバー・ジャガー社の親会社であるタタ社ブレイドンヅェッツ社の主要株主でもあり、ブレイドンジェッツ社の革新的なマイクロガスタービン技術をクルマに使用する構想があるからだ。

ちなみにマイクロガスタービン・エンジンは、軽油や天然ガスなど多様な燃料を使用でき、軽量で、モーターと組み合わせることでメリットが引き出せるなど、将来のジャガー・ハイブリッドカーにふさわしいパワーユニットとされているのだ。

C-X75は、コンセプトカーとしてデビューした時のデザインをそのまま継承して市販化される。そのデザインは、エアロダイナミックスの追求とスーパーカーとしての存在感を両立させる革新性を追求している。またC-X75の空力デザインとカーボンファイバーボディ技術はウイリアムズF1チームとのコラボレーションにより開発されたことも特徴のひとつといえる。

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↑C-X75コンセプト

リヤのフロア下面には可動式ウイングを装備し「C-X75のようなスーパーカーは、最先端のデザイン、新しい環境テクノロジーのスマートな応用、モータースポーツに触発された性能を論理的に形として示すもの」とラルフ・スペッツCEOは語っている。

カーボンファーバー製のボディ&シャシーは大幅な軽量化と高い剛性を両立させることができ、今後の高性能ハイブリッドカーには不可欠とされるが、C-X75はF1マシン製造技術をベースにそれを実現した。ただしF1技術を使用するため少量生産が前提という制約は存在すると思われる。

現時点ではC-X75のエンジン、パワートレーンの詳細は明らかにされていないが、ダウンサイジングコンセプトによる高出力エンジンと、前後アクスルを駆動する2基のモーターを組み合わせた4WDで、シリーズパラレルハイブリッド・システムと予想される。

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↑C-X75コンセプトの模式図

エンジン、バッテリーはおそらくフロア面にレイアウトされ、低重心、優れた前後荷重配分が実現しているだろう。また、エンジンを作動させずバッテリーのみで50kmのEV走行ができることは明かされている。そのパワーユニットであるエンジンとモーターを作動させた状態では、0→100km/h加速は3秒を切る加速性能で、最高速は320km/h以上とされ、まさにスーパーカーのパフォーマンスを備えることになる。

一方でCO2排出量は99g/km未満としていることからも、次世代ユニットを搭載したハイスペック・スーパーカーの誕生であり、それはジャガーの将来像を示す役割を担うスーパーカーといえる。

ちなみに、C-X75の生産・販売は限定250台とされ、価格は約1億円としている。

文:編集部 松本晴比古

ジャガー公式Web

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