ゼネラルモーターズ・ジャパンは2016年1月27日、キャデラック“Vシリーズ”の2モデルをリリースした。「CTS-V」は6.2LのV8型スーパーチャージド・エンジンを搭載し、時速60マイル(約96.6km/h)まで3.7秒で加速するスーパースポーツセダンだ。もう1台はプレミアム・セダンのエントリーモデルという位置付けながら、3.6LのV6型エンジンにシリーズ初のツインターボを搭載した「ATS-V」。こちらも時速60マイルまで3.8秒というセグメント最速レベルの加速性能の持つ。
キャデラックのVシリーズは初代が米国で2004年に登場し、日本向けには2009年に第2世代が輸入されている。今回日本に導入されたのは、第3世代のミッドサイズ・スーパー・スポーツセダン新型「CTS-V」だ。洗練されたラグジュアリーセダンとサーキット走行能力という、1台で2台分の要素を兼ね備えたキャデラックの新たなフラッグシップだ。
エンジンは6.2LのV型8気筒OHVエンジンに小径ローター採用のスーパーチャージャーをドッキング。最高出力649ps(477kW)/6400rpm、最大トルク855Nm(87.2kgm)/3600rpmというスペック(北米測定値)を発揮する。これにパドルシフト付きの8速オートマチックトランスミッション、ローンチコントロール、アルゴリズム・シフティングを搭載しており、時速60マイル(約96.6km/h)まで3.7秒で到達するという驚異的な加速性能を誇っている。
フットワークも新型CTS-Vは鍛え上げられており、改造や特別なチューニングなしにサーキット走行を可能にしている。ホイールは先代よりも45%も剛性を向上。ミシュランタイヤはスポーツ走行時に優れたグリップ力を実現するとともに、優れた乗り心地と高い耐摩耗性を発揮する。さらに第3世代のマグネティック・ライドコントロールとトラクションマネジメントを搭載。前者はツアー/スポーツ/トラック(サーキット)/スノー&アイスの4つのモードにより、関連するファクターをコントロールして、ドライビング状況に合わせて最適化。後者はトラックモード専用で、トルク制御とブレーキ介入の制御などにより、5つの設定が可能になっている。
新型CTS-Vのエクステリアは、ほぼすべてが専用だ。フェイシアからフェンダー、ボンネット、リヤスポイラー、ロッカーモールディングに至るまで、一つひとつが揚力低減や冷却性能向上に貢献するようデザインされている。内部空気を逃がすためのベントを設置した軽量カーボンファイバー製エンジンフード、グリル開口部を大きくとった専用のフロントフェイシア、空気が車体の床下を流れて揚力を生じさせることなく、車体の前面をダウンフォースで下に押し下げる効果をもつフロントスプリッターなどが採用されている。
消費税を含む新型CTS-Vのメーカー希望小売価格は「Spec-A」が1330万円、「Spec-B」が1470万円、オプションの有償ペイントが12万9000円となっている。「Spec-A」と「Spec-B」の内容、ボディカラーについては以下のようになっている。
そしてもう一台の新型“Vシリーズ”が、キャデラックのVシリーズ史上、最小かつ最軽量でありながら圧倒的なパフォーマンスを誇る3.6Lのツインターボ・エンジンを搭載した新型「ATS-V」だ。ECE規格で最高出力470ps(346kW)/5800rpm、最大トルク603Nm(61.5kgm)/3500rpmを発揮。時速60マイル(約96.6km/h)まで3.8秒という発進加速性能はセグメント最速レベルで、サーキット走行においても優れたハンドリングを楽しめるクルマとなっている。
キャデラックのVシリーズ史上初のツインターボエンジンの特長は、パワーを速く、より長く維持できるよう設計されていることだ。低慣性チタンアルミナイド製タービンを備えたターボチャージャーは、レスポンスの良いトルクを発生。また特許出願中の高効率クーリングシステムは、パッケージングの効率を最適化し、ブースト圧を最大化。そして軽量チタン製のコネクティングロッドは、タービンの慣性を低減し、高速でスプールするターボチャージャーを補完する。さらに高性能潤滑システムはサーキットで発生する高い横Gに対しても、最適な油圧と冷却性能を維持できるよう設計されている。
マクファーソン・ストラット式のフロントサスペンションはレスポンスを高め、横方向のコントロール性を向上させている。新しいライド&ハンドリング用サスペンションリンクを一体化し、伝統的なゴムブッシュに代わってゼロ・コンプライアンスのクロスアクシス・ボールジョイントや高いバネレートのスプリングとスタビライザーバーを採用。ロール剛性を50%高めたZF社の可変アシスト量制御電動パワーステアリングはシステム剛性を高め、ステアリングの精度を向上。ドライバーへの情報伝達能力も改善されている。
一方で5リンク式のリヤサスペンションはロールセンターの移動を適度に抑制して、横方向のコントロール性を強化。効果的なアンチスクオット・ジオメトリーを特長とし、より高度なボディモーションコントロール性の向上により、フロントサスペンションをサポートする。剛性を高めたブッシュ、新しいサスペンションサブフレーム、高いバネレートのスプリング、高剛性のスタビライザーバーといったコンポーネントも貢献している。
駆動系では標準装備の電子制御LSDが最適なトラクションをサポート。プロペラシャフトを大きくし、ハーフシャフトの非対称性を高めた(ドライバー側のシャフトの剛性を高めた)ことにより、加速中のパワーホップも緩和されている。なおブレンボ社製のハイパフォーマンスなブレーキシステムも標準装備。これによりサーキット走行での高い耐久性、不変性、高い性能を提供。このブレーキシステムは、オフセットして配置された6ピストンのキャリパーを備えて大径化したフロントローターと、4ピストンキャリパーを備えたリヤローターで構成されている。
兄貴分のCTS-V同様に、ATS-Vにも第3世代のマグネティック・ライドコントロールとトラクションマネジメントを搭載。前者は1/1000sec単位で路面状態を読み取り、磁性流体ダンパーにデータを送る。装着される4つのダンパーはすべてダンピング特性を個別に制御することが可能。今回の改良により、そのレスポンスが40%も向上している。具体的には時速60マイルで路面1インチ(約2.54cm)ごとに、最適なダンピングフォースを計算する。
なお「Spec-B」に標準装備となるカーボンファイバーエアロパッケージは空力性能と質量最適化をさらに高いレベルに改善。このパッケージには、コンポジットロッカーエクステンション、より高くなったボディ同色リヤスポイラーとともに、よりアグレッシブなフロントスプリッター、フードベントトリム、リヤディフューザーが含まれている。
消費税を含む新型ATS-Vのメーカー希望小売価格は「Spec-A」が990万円、「Spec-B」が1090万円、オプションの有償ペイントが12万9000円となっている。各グレードの内容やボディカラーについては以下のようになっている。