EV戦略で十分な収益を確保
GMは、EV戦略を展開する上で、十分な収益構造となり、今後の事業の柱とするべく、EV戦略を以下のように構築している。
まず、バッテリーはGMとLG化学との合弁事業により生産され、電池セルのコストは1kWhあたり100ドル以下に抑えることが見込まれている。セルには独自に開発した低コバルト含有化学素材を使用。引き続き技術面、製造面での改良を重ねることでさらなるコスト削減も可能と想定されている。
このバッテリーパックを使用した新型グローバル・プラットフォームは、デザイン、パフォーマンス、パッケージング、航続距離、価格などのバリエーション展開が可能で、ピックアップトラック、SUV、クロスオーバー、乗用車、商用車など幅広い車種を開発することができるフレキシブルなモジュラー・プラットフォームだ。そのため、開発コストを大幅に低減することができる。
また新型EV車両およびプラットフォーム&アーキテクチャーは、現行世代のEVよりさらにシンプルな構造で部品点数を最小限に抑えるよう設計される。例えばGMが市場に供給している内燃機関とパワートレーンの組み合わせは550種類にも上るのに対し、新プラットフォーム採用モデルは19種類のバッテリーと駆動ユニットの構成になると想定され、よりシンプル化、合理化が行なわれる。
さらにGMは、新開発のEVプラットフォームを構成するバッテリーパックは他社にライセンス供与して収益を上げることも想定している。そして土地、建物、工具、ボディショップや塗装工場などの多くを、既存の生産設備に活用することができるので、EV事業を拡大する際の投資を他社より抑えることができるとしている。
第三者機関によれば、アメリカにおけるEV台数は2025年から2030年にかけて2倍以上になり、平均で年間販売台数およそ300万台に達すると予測している。GMでは、人気の高い車両セグメントのEVの発売が増えることで充電ネットワークが拡大し、さらにユーザーの総所有コストが低下するにつれて販売台数が大幅に増加する可能性があると考えている。
EV車種の展開
GMは2020年からシボレー、キャデラック、GMC、ビュイックの全ブランドで、新型EVを発表する。シボレー・ブランドの次の新型EVは「ボルトEV」の新バージョンで、2020年後半の発表を予定している。
2021年夏には2022年モデルの「ボルトEUV」がそれに続き発表される予定だ。「ボルトEUV」は、キャデラック・ブランド以外では初となる業界初の高速道路用ハンズフリー運転支援システム「スーパークルーズ」を搭載するモデルとなる。GMは2021年中にもこの「スーパークルーズ」を10種類のモデルに導入し、2023年までには22モデルに増やす計画だ。
また2020年1月、サンフランシスコで一般公開したシェアリングサービス向けの電動式自動運転車「クルーズ・オリジン」は、GMの第3世代EVプラットフォームと「アルティウム」バッテリーを採用した初の量産車となる。
次に発表が予定されているのは、4月に公開されるラグジュアリーSUVの「キャデラック リリック」で、詳細は今後明らかになる。
2020年5月20日には、「アルティウム」バッテリーを搭載する「GMC ハマーEV」の公開を予定し、「GMC ハマーEV」は、GMで最初の電気自動車専用組立工場であるデトロイト・ハムトラミック工場で、2021年秋に生産が開始される予定だ。
このようにGMのEV戦略はいよいよ2020年から本格的に始動を始めている。
Twitter:https://twitter.com/autoprovenet
facebook:https://www.facebook.com/autoprovepage/
Youtube:https://www.youtube.com/user/autoprove/