2015年12月15日、先進素材の分野で有数のメーカー、コーニングはフォード GTのフロントガラス、リヤガラスなどにコーニング製ガラス「ゴリラ」が採用されたと発表した。フォードGTはこの軽量で高強度の先進光学ガラスの採用により約5.5kgの軽量化を果たしている。
コーニング社は、2007年にスマートフォン、タブレット用に高強度で耐傷性に優れたガラス「ゴリラ・ガラス」を市場に送り出し、現在は全世界で40メーカー、45億個のモバイル機器のディスプレイにゴリラ・ガラス採用されている。このゴリラ・ガラスの発売以降、さらに改良が加えられ、インテリア、建築用、航空機用、自動車用などのゴリラ・ガラスが開発されてきた。
コーニングは従来からの事業である触媒やDPFの製造以外に先進技術で作られたガラスの分野にも進出し、すでにBMW i8などにもガラスが供給されている。
フォードGTに採用されたフロントガラスは、車内側が軽量・高強度のゴリラ・ガラス、中間膜に樹脂接着層、そして車外側にソーダライム(ソーダ石灰)ガラスという3層構造になっている。一般的なフロントガラスと比較するとゴリラ・ガラスは5倍以上の強度を持ち、このため高い強度を持ちながら軽量・薄型と卓越した透明性を実現しているのだ。
コーニング社のウェンデル P.ウイークスCEOは、「軽量でタフな先進光学ガラス、ゴリラ・ガラスは業界を革新する製品で、フォード社との協力体制を通じて市場に投入できることを嬉しく思います。ガラスと材料科学の専門知識により自動車業界を支援することはコーニングの得意とするところで、今回もそれを実証しています」と語っている。
なおコーニング社とフォード社は排ガス制御技術に関しては40年以上にわたって協力体制を築いてきた実績がある。また2014年にはフォードの軽量化コンセプトカー「フュージョンMMLV」のフロントガラスとサイドウインドゥにゴリラ・ガラスが採用され、総ガラス重量を30%削減することに成功している。