フォード・エクスプローラー試乗記 最新のエコブーストエンジン搭載

マニアック評価vol376

DSCN3662
ビッグマイナーチェンジを行なったフォード・エクスプローラー。10月31日の発売に先立ち、いち早く試乗した

フォード・エクスプローラーがビッグマイナーチェンジを行ない、「XLT EcoBoost」グレードのエンジンを換装し、またエクステリア、インテリアの変更もあった。2015年10月31日の発売に先立ち、いち早く試乗することができた。<レポート:髙橋 明/AkiraTakahashi>

DSCN3701

エクスプローラーはその大柄なボディからじつにアメリカンな印象のあるSUVで、2.0Lターボのエコブーストエンジンを搭載したときは「このボディに2.0Lで大丈夫なのだろうか?」という想いがあったことを思い出した。今回はそのエコブーストエンジンがマスタングにも搭載されている最新仕様の2.3L+ターボEcoBoostに換装されたことになる。

DSCN3698DSCN3700

排気量は300CCプラスされ、出力も243ps/366Nmから261ps/420Nmへとアップ。JC08モード燃費は逆に5%向上し、8.2km/Lから8.6km/Lとなった。この2.3Lエコブーストを搭載するモデルはFFモデルの「XLT EcoBoost」グレードになる。グレード構成を見ると「LIMITED」「XLT」は4WDで、V6型3.5L自然吸気エンジンを搭載している。また、2016年には「Titanium」グレードが追加され、そちらにはV6型3.5L+ターボというマッスルなパワートレーン(370ps/474Nm)を搭載して導入される予定だ。

DSCN3704

エクスプローラーのFFモデルにだけこの2.3Lターボのエコブーストが搭載されたというわけで、価格は489万円(税込み)というエクスプローラーのエントリーグレードにポジショニングしている。そもそも、エクスプローラーは北米需要を重視したモデルで、フォードの進めるONE FORD戦略とは少し路線が異なると思うが、フォードジャパンにとっては販売台数からもブランド戦略の中核となる基幹モデルという位置付けのモデルでもある。

DSCN3668

エクステリアはRugged(ラギッド)=力強さ、というキーワードで刷新されている。このあたりもキネティック・デザインを進化させた「フォードグローバルデザイン」とは異なるコンセプトでデザインされていることが分かる。

DSCN3665
LEDランプを新採用したフロント周り
DSCN3702
ボディに密着した形に変更されたルーフレール

そのラギッドなデザインだが、フロントグリルのデザイン変更やLEDランプを新採用している。また、ルーフレールがボディに密着した形に変更し、ルーフスポイラーのデザイン変更などで空力性能を改善しているという。インテリアは主に質感と快適性の向上を狙っており、大幅変更というより細部の見直しによる改良ということだろう。<次ページへ>

DSCN3675
フォード・エクスプローラーの室内。広さはもちろんのこと、走らせて見ると静粛性の高さに驚かされた

試乗してみると、一番驚くのは静粛性の高さだ。試乗の日は大雨で風も強い状況だったが、フロントガラスにあたる雨の音も小さい。資料にはないが、ラミネートウインドウが採用されているのではないだろうか。それほど静かだ。そしてロードノイズも小さいし、風切り音も聞こえない、というと大げさかもしれないが、高級車の静粛性を持っていた。大きな入力があったときでも、ダダンという音が何処か遠くのほうでしているように聞こえた。

そして、ステアリングセンターの座りの強さも印象的で、アメリカンなイメージを大きく変える。アメリカンSUVにありがちなステアリングの応答遅れがなく、欧州のSUVのように微小舵にも反応するようになっている。しかしセルフアライニングトルクが強く、高速道路の直進では安定感にも繫がるので良いが、ワインディングでは少し邪魔なくらいに感じる。

DSCN3694
フォード・エクスプローラーのメーター周り
DSCN3691
エンジンスタートはプッシュ式

新たに搭載されたエンジンは、滑らかで静かだ。高級車のガソリンエンジンとイメージを同じにするが、エクスプローラーが持つアメリカンな印象とは少しリンクしない。エンジン自体は高回転まで滑らかにまわり、エンジン音も室内にはあまり入り込まないので、非常にセンシティブな印象だ。一方でエクスプローラーらしいおおらかさとでも表現するのか、そのフィールとのイメージが合致しなかった。

DSCN3669DSCN3670DSCN3671

もっとも個人的な感想で、乗る人によってその感じ方は違うかもしれない。エンジンとパワーステアリング制御が欧州チックになったこの印象を望んでいる人もいるし、エクスプローラーが持つアメリカンな雰囲気が大好きだという人もいるので、受ける印象は異なるはずだ。

DSCN3680

逆に北米だけに目を向けた商品を開発するのは厳しく、グローバル戦略にベクトルの舵を切らなければならない。そうした意味では、エクスプローラーのポジショニングは難しいところにいる、ということかもしれない。

DSCN3659

ボディサイズは全長5050mm×全幅2000mm×全高1820mm、ホイールベース2860mmで、全長が+30mm、全高+15mmサイズアップしている。車両重量は2040kgと2トン超えだ。しかし、2.3Lエコブーストはものともせず、力強く加速し滑らかに走らせる。組み合わされる6速ATにはパドルシフトも装備され、いざというときには素早く加速、減速できるスポーティな一面も持っていて、さまざまな顔を持っているという印象だった。

フォードアーカイブ
フォード・エクスプローラーアーカイブ

ページのトップに戻る