ボッシュは2020年8月23日、フォードと不動産デベロッパーのベッドロック社はネットワーク接続されたフォード・エスケープのテスト車両を使用して自動駐車システムの実証実験を開始したことを発表しました。
デトロイト再開発地区での実証実験
この実証実験はデトロイトにあるベッドロック社の「アセンブリー・ガレージ」内においてボッシュのインフラシステムを活用し、テスト車両が自動で運転、駐車を行なうというものです。これは、駐車場内で車両が自動駐車する自動バレーパーキング・システムで、アメリカでは初となるインフラ協調のソリューションです。
実証実験は、ミシガン・セントラル駅を主体とする、フォードの新モビリティイノベーション拠点となるコークタウン地区で行なわれています。この地区には、世界中からモビリティイノベーターやベンチャー企業が集まり、都市交通の課題を解決し、あらゆる人のモビリティアクセスを改善し、ネットワーク化と自動化の進む世界に備えるための新たなソリューション開発や実証、ビジネスの立ち上げが進められています。
フォードのケン・ワシントン最高技術責任者は、「私たちは、人々がより自信を持って運転できるようサポートする優れた運転支援システムであるFord Co-Pilot360の展開を拡大する機会を常に探っており、自動バレーパーキング技術には大きな期待を寄せています。ボッシュとベッドロック社との協業は、周囲の状況をよりよく認識しながらも、少ない車載コンピューティングにより、デザイン、パッケージング、価格設定に寄与する高度な自動運転車両など、将来に向けた私たちのビジョンにも合致しています」と語りました。
この実証実験は、不動産デベロッパーのベッドロックがコークタウン地区で手がけた初めての住居再開発プロジェクト「アセンブリー・ガレージ」の1階で行なわれます。
このプロジェクトは、新しい建物や歴史的な建物と駐車やモビリティに関する最新技術を組み合わせるというベッドロックのビジョンを体現したものです。同社は他にも、「フリー・プレス・ビルディング」の1階部分の搬入口から入った車両を自動で地階に駐車し、返却も自動で行なうという、最近設置された米国中西部初の自動駐車場も手掛けています。
コネクテッド技術とスマートインフラによる自動駐車
ネットワーク化されたフォードのテスト車両は高度に自動化され、ボッシュのインテリジェントな駐車インフラとの車両対インフラ(V2I)通信を行ないます。インフラ側で設置されたセンサーは車両を認識し、その位置を特定して、歩行者やその他の危険回避を含め、車両の駐車動作を誘導します。インフラが車両の経路上に何かを感知した場合、インフラは直ちに車両を停止させることができます。
駐車方法は、ガレージに到着したドライバーは指定されたエリアに車両を停め、スマートフォンアプリを使用して車両の自動駐車動作を開始します。また、アプリを使用して、指定された引き取りエリアに車両を戻すよう指示することもできます。これにより、駐車操作に必要な時間が短縮され、ガレージで車両を探す手間からも解放されることになります。
自動駐車(自動バレーパーキング)システムは駐車場の所有者に、駐車場内の空間をより有効に活用できるという利点を生み出します。自動バレーパーキングにより、同じ広さのスペースに駐車できる車両台数が最大20%増加させることができるのです。このソリューションは、「アセンブリー・ガレージ」の事例のように後付けでの展開が可能なほか、新たな駐車場を建設する際にあらかじめインフラを組み込んだ設計を行なうことで、収容能力の最大化を図ることもできます。
駐車以外にも、充電や洗車など特定のサービスを受けるために車両みずからガレージ内のエリアへ走行することも可能となります。デモンストレーションプロジェクトの期間中、フォード、ベッドロック、ボッシュは、ユーザーがガレージから車両を呼び戻すまでに、車両が特定のサービスエリアを経て最終的に駐車するまでの間、どのように移動するかの実証実験を繰り返す計画です。