2013年4月15日、GMとフォードは両社で先進的な新世代の9速、10速オートマチック・トランスミッションを共同開発することに合意し、合意文書を取り交わしたと発表した。この新世代ATは乗用車、クロスオーバーカー、SUV、トラック用など多用途に搭載されることになっている。
共同開発が決定したATはFF用、FR用が設定され、いずれもモジュラー設計を採用することで、幅広い車種の性能、燃費を向上させることができるとしてる。今回の共同開発により、設計や開発スピードを加速し、調達コストを低減する効果が期待できる。
「GMとフォードの開発チームはすでに新型トランスミッションの開発のスタートを切っています」とGMのグローバル・トランスミッション開発担当副社長のジム・ランソン氏は語っている。また、「この新開発ATは、両社にとって燃費を低減しつつ性能や快適性を高める新たなスタンダードとなることを確信しています」と語っている。
実は、今回のGMとフォードのトランスミッションの共同開発は3回目となる。最近ではFF用の6速ATを共同開発し、この高品質で信頼性が高いユニットはグローバル規模ですでに800万基が供給されている。こうした実績も踏まえ、フォードのトランスミッション開発担当チーフエンジニアのクレイグ・レイネッカー氏は、「最終的な目標は、フォードとGMで同一のトランスミッションを採用することです。ユニットを共通化することで両社に大きなコスト低減効果をもたらすからです」と語る。もちろんATの制御ソフトや車両とのキャリブレーションは両社がそれぞれのブランド特性に合わせて独自に行うことになっている。
共同開発される新世代トランスミッションは、FF用が9速、FR、SUV、トラック用は10速ATと推測できるが、詳細はもうしばらく後に公開されるという。同じアメリカのクライスラーはすでにZF製の8速AT(FR用)、9速AT(FF用)の採用を決めており、GM、フォードの両社が今回共同開発に踏み切ったことでアメリカでは8速以上の多段ATが主流になることが決定的になった。