フォードジャパンは、2011年に発売したSUV「エクスプローラー」に次世代低燃費エンジンのEcoBoostを搭載した追加モデル「XLT EcoBoost」を2月25日から発売を開始すると発表した。これまでの3.5L・V6型エンジンを搭載した「LIMITED」、「XLT」と併売とされる。エクスプローラー XLT EcoBoostは、直列4気筒2.0Lにターボ、インタークーラーを装備。6速ATとの組み合わせで、FF駆動のみの設定。最高出力は243ps、最大トルク366Nmを発生し10・15モード燃費は8.1km/L。燃料はレギュラーガソリンを使用する。
3列シート、7名乗車で、装備は上級グレードのLIMITEDなみの装備を備えながら、価格は440万円とし、XLTと同価格の設定。また従来モデル同様にエコカー補助金対象車になっている。
XLT EcoBoostはエクスプローラーの歴史の中で最小の排気量であり、最も燃費が優れたモデルで日本では初の2輪駆動仕様となる。 このEcoBoostエンジンは、フォードがグローバル市場をターゲットとした次世代エンジンである。2008年のデトロイトショーで新しい4気筒・2.0LターボとV型6気筒･3.5Lターボエンジンがベールを脱ぎ、EcoBoostエンジンと命名された。
EcoBoostは、フォードのグローバル戦略エンジンと位置付けられ、2013年には世界で年間150万基を生産し、北米市場で販売されるフォード車の90%をEcoBoost搭載車とする計画だ。もちろん、EcoBoostはヨーロッパ市場でも大々的に展開される。まさにEcoBoostエンジンはフォードの次世代主力エンジンとなるのだ。
開発の狙いは、ヨーロッパで主流になっているクリーンディーゼルのトルクフルな走りと、優れた燃費をガソリンエンジンで実現することで、ダウンサイジングとターボ過給の技術を採用している。2009年からアメリカ市場でまず最初に、EcoBoost のV6型ターボがフォード・フレックス、トーラス、リンカーンMKS、MKTに搭載されている。
そして2.0Lの EcoBoostエンジンは、アメリカでエクスプローラーの2012年モデルに初めて搭載され、EPA(環境保護局)の認定で市街地燃費が20MPG(約8.5km/L)、高速燃費は28MPG（約11.9km/L）とされ、北米市場で7名乗車のSUVでトップの燃費を実現している。
また、1月のデトロイトショーでワールドプレミアを行い、2013年デビューを予定している新型フュージョンにも全面的にEcoBoostエンジンがラインアップされ、この2.0Ｌターボエンジンも搭載される。
高出力と燃費性能の両立を目指したダウンサイジング・エンジン
EcoBoostエンジンは、まさに正攻法といえるダウンサイジング･コンセプトを採用している。
キーポイントは、低回転型ターボによる過給、高圧のコモンレール直噴システム、吸排気連続可変バルブタイミングだ。性能では2.0Lの4気筒で3.5LのV6型に匹敵する動力性能を引き出し、燃費は25%の低減を達成した。
スペインのバレンシア工場で生産されるこのオールアルミ製のDOHC、4気筒エンジンは1999cc（87.5×83.1mm）の排気量で圧縮比は9.3。出力は243ps/5500rpm、366Nm/3000rpmを発揮し、低回転、ハイパワー、高トルク型で、しかもリッターあたり120psというハイパワーも狙っていることがわかる。
DOHCのバルブ駆動はダイレクト式、吸排気とも連続可変バルブタイミング機構を取り入れ、レスポンスの優れた小型ターボ、最高148barのコモンレール式直噴を組み合わせている。インジェクターは7ホールのマルチホールとなる。
なおこのEcoBoostシリーズは、3.5L・V6型、2.0L・直4以外に、1.0L・3気筒エンジンもヨーロッパでは開発されており、この3気筒は小型車、ハイブリッドカー用とされている。1.0Lエンジンはオフセット･クランクシャフト、シリンダーヘッド内蔵排気マニホールド、先進冷却システムを備えているという。
この1.0Ｌエンジンは、3月のジュネーブショーにフォードのコンパクトサイズの多目的ハッチバック「B-MAX」に搭載され、ワールドプレミアを行う予定になっている。
●価格 XLT 440万円 ●全長5020mm×全幅2000mm×全高1805mm WB 2860mm トレッド（前/後）1710mm/1720mm ●車重2020kg ●最低地上高265mm ●定員7名 ●エンジン2.0L直4直噴ターボ ●最大出力243ps/5500rpm 最大トルク366Nm/3000rpm ●レギュラーガソリン ● トランスミッション6速AT ●サスペンション(前/後)ストラット/マルチリンク
