FIAT 600ハイブリッド 自由きままにそして豊かなライフスタイルを彩る愛車【試乗記】

フィアット600にマイルドハイブリッドモデルがつい先月、5月27日に発表されたが、さっそく乗る機会があり実車はどうなのか、お伝えしていこう。

EVの「フィアット600e」は2024年9月に発表され、その時エンジン車も遅れて導入と説明しており、待っていたユーザーもいただろう。追加されたエンジン車は3気筒1.2Lターボエンジンのマイルドハイブリッドで、6速のDCTを組み合わせたモデルだ。

このエンジンにモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドは、2モーター式で1つはベルトドライブのスターター&ジェネレターのBSG、もうひとつはエンジンとミッションの間に駆動もするモーターを挟んでいる。マイルドHEVで駆動もするモデルは珍しいが、とは言えバッテリーサイズが0.9kWhと小さいのでフルハイブリッドのようにはEV走行はできない。

高速道路の巡航中に車速が一定になる時や、駐車場での切り返しでクリープ移動するような場面ではEV走行するレベルだ。スペックでは30km/h以下までEV走行するとあるが、条件が整わないと難しいようだ。しかし、その恩恵は大きくミラーサイクル運転をするエンジンの能力は、23.2km/Lというクラストップレベルの省燃費に貢献しているのだ。

ちなみにこのパワーユニットは、ステランティスグループの中で共有しており、このフィアット600ハイブリッドの他、プジョー308、シトロエンC4などで採用しているユニットだ。

市街地を走行してみると、静粛性の高さに驚きがあった。Bセグメントサイズのコンパクトカーでハッチバックスタイルのため、後席からの音の入りは課題になることが多いが、そうした音の入りが少なく、小さな高級車とも言えるレベルの静粛性だった。

また乗り心地もしなやかでマイルドな印象を受ける。近年、しっかりした走りを追求したコンパクトカーが多い中、ゆったりとしなやかな動きをされると、標榜する「ドルチェ・ヴィータ」を体感している気になる。直訳は「甘い生活」だが、イタリア人の自由で気ままな生活は、より豊かな暮らしになるという意味が込めているらしい。だから、ゆったりとそして静かに走る様はドルチェ・ヴィータなのかと。

ボディサイズは全長4200mm、全幅1780mm、全高1595mm、ホイールベース2560mmで、1.2L 3気筒ターボは100kW(136ps)/230Nmと6.3kWのモーターを搭載している。駆動方式はFFだ。

全長は短くコンパクトながら幅は1780mmあるので、十分なサイズだと感じられ室内ではスモール感は全くない。シートの座り心地もソフトで包み込まれるタッチで、かつホールド性も感じるので安心感にも繋がるのだ。

最大の特徴はやはり、顔だろう。この可愛らしい顔にヤラレる人達が目に浮かびそうになるが、独特のデザインと個性を発揮し「愛車」感が溢れる表情を持っている。フィアットでは「ビッグスマイル・デザイン」と呼んでいるようだが、世界中で唯一無二のデザインだと高評価なのは納得する。

装備系ではADAS(先進運転支援システム)の運転支援と安全装備系をほぼ網羅しており、長距離移動でも、またリージョナルな使い方でも安心で安全な機能がドライバーをフォローするというスタイルだ。またハンズフリーリヤゲートも装備しており、ひとクラス上の装備を標準にしている点も高評価だ。

インテリアは2本スポークのステアリングが個性的だが、違和感はない。シンプルなデザインでステアリングボトムがフラットな形状は現代風であり、イナーシャも感じない。

空調や温度調整、ラジオボリュームなどはフィジカルスイッチが綺麗に整列したレイアウトで、これはジープ・アヴェンジャーと共通のインテリアになっている。またギヤシフトレバーも廃止されスイッチでギヤを選択するシンプルなレイアウトだ。

モニターは小ぶりなサイズで、好感が持てる。近年ラップトップモニターと同等サイズのモデルが増えている中、ゆったりとした動きの中で豊かな時間を過ごすことを思えば、情報過多になりがちな大型モニターよりは標準的な痩せ型モニターが逆にシンプリスト的なおしゃれに見えてくるものだ。

不思議なポイントではセンターコンソールにフタがなく、フタがオプションになっていることだ。ステランティスのスタッフによれば「女性の多くは、フタは不要と言い、バッグが置きやすくていいという意見がある一方、男性はフタがあったほうがいいという意見もありました」と。結果オプション設定となり、1万7000円ほどでフタが付く。また、デザインは数種類あるそうだ。

フィアット600ハイブリッドは、ハードな工業製品をここまでまろやかな味に感じさせるモデルに仕立て、オーナーのライフスタイルを彩り、自分らしく魅せるアイテムとして馴染むクルマなのだ。

価格

「600 Hybrid」発売を記念した特別限定価格
「600 Hybrid」発売を記念し、600台限定でローンチプライスを設定しメーカー希望小売価格は、3,999,000円(税込)。

諸元

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