マニアック評価vol151
2012年9月より、DS4に待望の6速ATを搭載したモデルDS4 Chic(シック)が導入された。これまでDS4では6速マニュアルか6速EGSという2ペダルのシングルクラッチ・トランスミッションが用意されていたが、シングルクラッチに馴染みの薄い日本では、ATを望むユーザーの声が多く、それに応えたわけだ。
シトロエンの6速ATは既にDS5やC5に搭載しており、定評のあるトランスミッション。PSAグループとアイシンAWとの共同開発による第2世代の6速ATで、スムーズなシフトチェンジを行う。2速から6速はロックアップ領域を拡大しているということなので、ダイレクトで素早いシフトチェンジが期待できる。ラインアップとしては、したがって、DS4のChicには6EGSと6ATが併売されるが、将来的にはEGSはフェードアウトすることになる。また、6速マニュアルのSport Chicは継続販売される。
一方エンジンではこれまでどおり1.6L直列4気筒+ターボのままだが、今回のAT導入にあたり、エンジンのチューニングが行われ6EGSの115kw(156ps)/6000rpmに対し、ATは120kw(162ps)/6000rpmと5kw(6ps)アップされている。これはATとのマッチングのための変更ということだ。1000rpmからターボが立ちあがり1400rpmで最大トルクを発生する低速域重視のセッティングになっている。ちなみに出力トルクに関しては変更なく240Nm。そして6MTも同じエンジンを使用し、これまでどおり200ps/5800rpm、275Nm/1700rpmというスペックとなっている。
試乗してみると、ATらしいなめらかな発進としスムーズなシフトチェンジで乗りなれたATという印象だ。試乗コースが高速道路をメインとしたルートであったため、ワインディングでのシフトフィールや各ギヤのねばり具合などのチェックはできなかったものの、Dモード走行中にキックダウンさせ、加速したあとスロットルを抜いた瞬間にシフトアップをするという昔ながらのAT制御ではなく、少しの間、ギヤをホールドする時間があった。つまり、Dモードでも、ある程度はスロットル開度の時間を加味した制御を行っているように感じた。とはいえプレミアムモデルとしての走りに相応しいAT制御になっていると思う。
エンジン回転では80km/hで1500rpm付近を、100km/hで2000rpm付近を示していた。最終減速比がマニュアルとEGSはともに4.052であるのに対しATは4.101と若干ローギヤードになっている。このあたりはエンジン出力とのマッチングで燃費とパワーのバランスするところでセッティングしていると思われる。なお、燃費は、6ATは11.3km/L、6EGSが11.7km/L、6MTが12.9km/Lとなっている。(JC08モード)
最近では100km/h走行時に、2000rpm以下となるクルマも見かけるが、主に燃費に振った性格のモデルに多く見られる傾向だ。DS4はエコカーイメージというより豪華で独創性溢れるモデルだけに、プレミアムに相応しい走りが必要だと思う。だから、高速での静粛性も極めて高く、ゴージャス感を損なうことなくゆったりと走行できた。
また、今回のAT導入と同時に時計のベルトをモチーフにしたデザインの「クラブレザーシート」がオプションで設定された。DS5に採用したドイツ・バイエルン産の最高級牛革を素材としたシートをDS4でも選択できるようになった。クルマのシートを超えた存在感があるクラブレザーシートが、より一層ラグジュアリー感を演出している。
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