BMW 新型X1 xDrive20i xLine試乗記 プラットフォームを一新し、居住性、使い勝手が大幅に向上

マニアック評価vol402

BMW 新型X1 xDrive20i xLine試乗
新型X1 xDrive20i xLine

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BMWのSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)、つまりSUVのエントリーモデルとなるX1は2015年10月にフルモデルチェンジした 。これまでのE84型からF48型に生まれ変わった。F48型は2015年のフランクフルトモーターショーでワールドプレミアを行ない、間髪を入れず日本にも導入された。<レポート:松本 晴比古/Haruhiko Matsumoto>

X1は従来は1シリーズと共通のFRベースであったが、新型X1はUKL(FFモジュール)プラットフォームを採用し横置きエンジンのFFベースになったことが大きな変更点である。つまり、2シリーズと共通の車系に生まれ変わったわけである。

従来型のX1には「sDrive」と呼ばれるFRモデルと「xDrive」名称の4WDモデルがあったが、新型も同様で、FF駆動のsDriveと4WDのxDriveがラインアップされている。従来型は全長4485mm、全幅1800mm、全高1575mm、ホイールベース2760mmであったが、新型は全長4455mm、全幅1820mm、全高1610mm、ホイールベース2670mmで、ホイールベースは短縮され、全長は-30mm、全高は+35mmとなっている。

BMW 新型X1 xDrive20i xLine試乗
従来型よりキャビンフォワードとなっているが、ノーズ部分はデザイン的に強調

FFパッケージングにより全長方向は短縮し、全高を高め、結果的には従来型よりリヤ席の膝スペースが大幅に拡大されている。つまり乗員はよりアップライトなポジションに着座することでキャビン、ラゲッジのボリュームを稼ぎ出しているのだ。もちろんSUVなのだから、アップライトなドライビングポジションとなっても不自然ではない。

BMW 新型X1 xDrive20i xLine試乗BMW 新型X1 xDrive20i xLine試乗

新型X1のラインアップは、1.5L・3気筒直噴ターボエンジンを搭載するsDrive18i、2.0L・4気筒直噴ターボエンジンを搭載するxDrive20i、同じ2.0L・4気筒直噴ターボだが高出力版を搭載するxDrive25i。グレードは標準モデル、xLine、MSportの3種類が設定される。(ただしxDrive25iはxLineとM Sportの2グレード)。もちろん1.5LエンジンはB38A15A型、2.0LはB48A20A/はB48A20Bで、いずれも最新世代のBMW新世代モジュラーエンジンとなっている。では早速試乗してみよう。

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◆インプレッション
試乗したのはxDrive20i xLineで、シリーズの中でど真ん中のモデルだ。エクステリアを見ると従来型のデザインの特徴を巧みに盛り込み、ややロングノーズだったFRベースからFFベースに変わったことに気付かないように配慮していると感じらる。同時に、最新のBMWデザインの要素も採り入れており、ボディフォルムは個性やデザイン的なインパクトはないが、見慣れた最新のBMWであることは誰でも理解できる。

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キャビンでは大きく改良されたのがリヤ席だということが実感できる。フロントシートとの間隔が広がり、さらに着座位置も64mmも高められているのだ。このためリヤシートの乗員の視野が広くなり圧迫感がなくなって居住性が改善されている。またオプションでリヤシートは前後に130mmスライド調節できる機能も設定されている。ラゲージ容量は、先代モデルから85L拡大され、505Lに。さらにリヤシートのバックレストを全て倒すと1550Lの容量が得られる。またラゲッジフロア下には100Lの隠しスペースもある、といった具合にSUVとしての居住性、利便性が大幅に向上している。

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リヤシートだけではなくフロントシートの着座位置も36mmアップしているが、SUVカテゴリーとしては普通の、いわゆるコマンド・ポジションで視界は広い。インスツルメントパネルのデザインや操作系は、すでに見慣れたデザインで、正直を言えばあまり新しさは感じられない。

xDrive20i xLineに搭載される2.0L直噴ターボエンジンは192ps/280Nmで、重めの1660kgという車両重量を引っ張るに不足はなく、低速トルクも強力で、フレキシビリティも十分だ。組み合わされるトランスミッションは8速ATで、エンジンとのコンビネーションも良好だ。

BMW 新型X1 xDrive20i xLine試乗
横置きに搭載される「B48A20A」型2.0L直噴ターボ。192ps/280Nmを発生

今回からxDriveのシステムは横置きエンジンの採用に伴い、電子制御式インテリジェント・オンデマンド式に変更されている。つまり通常の舗装路ではFFベースで走行し、必要な時には後輪にもトルクが配分されが、もちろん普通に走っている限り前後の駆動トルク配分は体感することはできない。オーバーステアやアンダーステアが検知されると、前後のトルク配分が自動的に変化し、車体を安定させる方向にコントロールするといった制御も行なうシステムも備えている。

通常はFF走行となるこのシステムは当然ながら燃費にも有利で、従来型のxDrive20iが13.6km/Lだったが、新型はエンジンの効率の向上分も加えてJC08モード燃費は14.6km/Lに向上している。

ステアリングはBMWらしい滑らかでシャープなフィーリングで、多めの路面インフォメーションが伝えられる。ドラインビング・パフォーマンス・コントロール(ECO PRO モード付)でコンフォートを選んでもステアリングはやや重めで、ランフラットタイヤならではの乗り心地で硬めだ。モードをスポーツモードにすると、ステアリングの操舵力はさらに重くなる。BMWらしくスポーツ・フィーリングを強調しているのはわかるが、SUVとしては少しやりすぎの感がある。

タイヤはランフラットの225/50R18(ピレリP7)
タイヤはランフラットの225/50R18(ピレリP7)
グローブボックス内面は植毛仕上げ
グローブボックス内面は植毛仕上げ

横置きエンジンになったが前後の荷重配分は56:44で、かなりリヤに荷重がかけられていることがわかる。ハンドリングは軽快で、さらにパフォーマンスコントロールと呼ばれるエンジントルク制御+ブレーキトルクベクタリングが常時作動しているので、ワインディングを走ってもイメージ的にはニュートラルな特性に感じられる。

箱根の荒れた舗装路を走ると乗り心地の面で硬すぎ、ゴツゴツ感があるが、SUVとしてのパッケージングは大幅に改良されCセグメント+のSUVとして完成度が高いモデルで、ドライバー支援システムなどの装備も充実され、競合するアウディQ3、メルセデス・ベンツGLA、フォルクスワーゲン・ティグアンと十分対抗できる仕上がりになっていると感じられた。

BMW X1 シリーズ諸元表

BMW X1シリーズ 価格表

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BMW公式サイト

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